茅ヶ崎エフエム、観光協会、東横イン、不透明な契約状態

なぜ、市庁舎の隣にホテルが建ったのか?

 昨年7月、市役所の隣に東横インホテルがオープンしました。
「なぜ、市庁舎の隣にホテルなの?」と思っている方も多いでしょう。(ホテル名が「東横イン茅ヶ崎市役所」なのでちょっと驚きました。ふつう「市役所前」とかですよね。)

市庁舎の建て替えがあった時、仮設の庁舎が作られました。新しい市庁舎が完成して、仮設庁舎が取り壊された跡地(市有地)をどう利用するか、民間事業者から提案を募集しました。その結果、

① 跡地(市有地)について、年額3360万で40年間の借地契約を市と結び、ホテルを建設する。

②ホテルには「地域貢献施設」としてギャラリーや会議室、ホールなど市民が幅広く使えるスペースを作る。

という東横インの提案が選ばれました。

その提案は、今、どうなったのか?

★ところで、ホテルがオープンして、「地域貢献施設」はどうなったのでしょうか?

現在、そのスペース(地域貢献施設)は、「茅ヶ崎エフエム」とその事務室、「茅ヶ崎カフェ」が使用しています。

ギャラリーや会議室などのスペースとして、市民に利用してもらうという提案はどこに行ってしまったのでしょう? 



地域貢献施設は、茅ヶ崎エフエムと茅ヶ崎カフェが使用している

茅ヶ崎エフエム、観光協会、ホテルの不透明な契約状態

 もう一つの問題は、地域貢献施設の運営主体は「観光協会」となっていますが、実際に使っているのは、観光協会ではなく茅ヶ崎エフエムとカフェです。

★観光協会、茅ヶ崎エフエム、東横イン、そして市の間で、地域貢献施設の貸し出しについて、どういった契約になっているのか、市も議会もはっきり確認できていません。

茅ヶ崎エフエムが開局してから、音による周辺住民への迷惑も出ていますが、観光協会が現場で解決に動いているようには見えません。ホテル施設の一部とはいえ、あくまで市役所という公共の場に面してること、本来は市民が主体となって使うスペースとして提案されたこと、確認の取れない契約や運営形態など、いったいどうなっているのでしょうか。 

3月議会の総括質疑で市に質問しましたが、あいまいな答えにならない答えが返ってくるだけでした。

契約として、何がおかしいのか、以下に説明していきます。


✴️「地域貢献施設」を、第三者へ賃貸するには、市の書面による承諾が必要

現在、茅ヶ崎エフエムとその事務所、茅ヶ崎カフェは、東横インの「地域貢献施設」を使用しています。

「地域貢献施設」は東横インの建物の一部に該当するため、東横インが地域貢献施設を第三者に貸す場合は、令和3年3月31日に茅ヶ崎市と東横インで締結した「事業用定期借地権設定契約書」に定めた条項が適用されます。(「事業用定期借地権設定契約書」は、以下、契約書とします。)

この契約書では、
第9条 - 2項 「事業代表企業は、本件建物の全部又は一部を、事業計画書に記載のない第三者へ賃貸する場合は、事前に本市の書面による承諾を得るものとする。」としています。

つまり、東横インは、地域貢献施設を、第三者へ賃貸する場合は、「茅ヶ崎市の書面による承諾を得る」必要があります。

市が承諾した書面が見当たらない

 ところが、市が承諾した書面が見当たりません。

 茅ヶ崎エフエムが開局したのは、昨年、令和5年10月です。それに先立つ6月に、市は東横インと観光協会から提出された「地域貢献施設における事業提案」に対して、東横インと観光協会に承諾の書面を出しています。市は、これが承諾の書面だと言ってますが、この事業提案書には、地域貢献施設を、どこが、どこへ、どう貸し出すのか、賃貸契約については何も書かれていません。

市は、賃貸契約書を受け取っていない

 さらに公開請求で分かったのは、市は地域貢献施設の賃貸について、東横イン、観光協会、茅ヶ崎エフエム、茅ヶ崎カフェ、そして市のあいだで相互にかわされた、何らかの契約書や協定書を受け取ってないし、作成もしていません。

★いったい市は、何をどう確認したうえで、賃貸の承諾を出したのでしょう?
不思議です。

「地域貢献施設」をどこに貸したのか?

 契約書によれば、東横インは、地域貢献施設を、第三者へ賃貸する場合は、「茅ヶ崎市の書面による承諾を得る」必要があります。

第9条 - 2項 「事業代表企業は、本件建物の全部又は一部を、事業計画書に記載のない第三者へ賃貸する場合は、事前に本市の書面による承諾を得るものとする。」

では、「東横インが、市の承諾を得て、地域貢献施設を貸した相手(第三者)はどこなのでしょうか? 」

3月議会で市に質問したのですが、市は答えませんでした。不思議です。

事前の市へのヒアリングでは、第三者は「観光協会」と説明してます。また、市は「東横インと観光協会に承諾の書面を出している」と主張してるのですから(実質は、承諾書面になっていませんが)、東横インは「観光協会」に地域貢献施設を貸したということになるでしょう。 

地域貢献施設を無償で貸したのか?

 契約書には「第三者へ賃貸する場合は」とあります。無償で(タダで)よいとは定めてないので、市は賃貸であると確認する必要があります。

では、「東横インは、その第三者にたいして、地域貢献施設を無償で貸したのか、有償で貸したのか?」

3月議会で市に質問したのですが、市は答えませんでした。不思議です。

★市は「東横インが、地域貢献施設を、***に対して賃貸することに承諾している」と、答えれば済む話です。なぜ答えられないのでしょうか?

それは、又貸しではないのか?

 そもそも、東横インが地域貢献施設を貸した第三者は「観光協会」なら、なぜ茅ヶ崎エフエムと茅ヶ崎カフェが地域貢献施設を使っているのでしょうか?

そして、市はなぜ「観光協会に賃貸で貸しています。無償ではない」と説明できないのでしょうか?

市と観光協会、東横インなどの打ち合せ記録では、「東横インと観光協会において、地域貢献施設の管理・運営にかかる協定を締結、施設は無償貸付」などの記録もあります。

しかし、茅ヶ崎エフエムとカフェは有償で施設を貸りているということですし、話を総合すると、東横インは観光協会に無償で地域貢献施設を貸し、観光協会は茅ヶ崎エフエムとカフェに施設を又貸しをして、お金をとっていることになります。

茅ヶ崎エフエムは昨年10月に開局、茅ヶ崎カフェは11月にオープンして、物品販売や飲食などのビジネスを始めています。これは、市が「事業用定期借地権設定契約書」に定めた地域貢献施設の貸し方について、適性であると認めて、事前に茅ヶ崎市が書面による承諾を出して可能になることです。

しかし、市は地域貢献施設の賃貸について、東横イン、観光協会、茅ヶ崎エフエム、茅ヶ崎カフェ、そして市のあいだで相互にかわされた、何らかの契約書を一枚も受け取ってないし、市が「承諾した書面」を出した事業提案書には、賃貸契約については何も記述されていません。

さらに、議会においても説明できない、回答できないのは、どういうことなのでしょうか? 不思議です。