6/20 一般質問「茅ヶ崎ゴルフ場の利活用について」

令和元年6月20日 第2回茅ヶ崎市議会定例会

「茅ヶ崎ゴルフ場の利活用について」一般質問をしました。

この時点では、まだ事業者が決定していませんが、気になるのは事業者の募集条件として「広域避難場所として確保する面積が前回の半分になっている」こと。この部分を中心に質問しています。

「杉本けいこ 市議会レポート Vol.1」でも一般質問の主な内容などを載せています。 

https://pinkgreen58.hatenablog.jp/entry/shigikai_report-1pinkgreen58.hatenablog.jp

今回質問したのは以下の6点です。

①広域避難場所として確保する面積について
②土地の転売などによる乱開発について
③用途地域の変更について
④みどりの保全、周辺環境の保全などについて  
⑤周辺道路の安全状況などの責任の所在について 
⑥将来の世代に確実に広域避難場所の広大なスペースを残すことについて 
 

 
「茅ヶ崎ゴルフ場の利活用について」 

◆杉本啓子 議員
 初めての一般質問になりますが、今、私がここに立っているきっかけとなった茅ヶ崎ゴルフ場の開発問題、さらに緑と公園の消滅が止まらない茅ヶ崎市の状況を中心に伺っていきます。

まず始めに、「茅ヶ崎ゴルフ場利活用事業」について。

今年、平成31年3月に、「茅ヶ崎ゴルフ場利活用事業」を実施する事業者を募集することが神奈川県から発表され、同時に募集要綱や計画条件、要求水準書などが発表されています。また6月には事業者からの質問に対して県の回答が発表されていることを踏まえて、茅ヶ崎市の考え方を伺います。

質問は6点あります。

広域避難場所として確保する面積について

 現在、茅ヶ崎ゴルフ場は、隣接する浜須賀小学校と合わせた敷地全体が、大規模な延焼火災に対する貴重なオープンスペースとして、広域避難場所に指定されています。

広域避難場所として確保する面積について、県は「少なくとも6万㎡以上の使用可能面積の確保が必要」としています。

私が県の財産経営課に「6万㎡以上」とした根拠をヒアリングしてみたところ、茅ヶ崎市が広域避難場所の見直しを行い、見直し前には約6万人だった茅ヶ崎ゴルフ場の要避難人口が、見直し後に約3万人となったため、1人2㎡×3万人で6万㎡とした、ということでした。

しかし、この茅ヶ崎ゴルフ場の要避難人口3万人という数字は、避難地区分けの結果としての人口であり、茅ヶ崎ゴルフ場に避難する人口を示すものではない、とうのが茅ヶ崎市の主張です。その一方で、県は、市が3万人という数字を出しているではないか、ゴルフ場への避難者が大幅に減少したという認識で、現在、開発事業者を募集しています。

茅ヶ崎市が広域避難場所の見直しを行い、茅ヶ崎ゴルフ場の要避難人口3万人という数字を出したことで、この3万人という数字を県に利用されるのでは?と懸念する声は住民からも出ています。

なぜなら、前回(平成28年)の事業者募集では、「広域避難場所や緑地の確保の数字をゆるめてもらえれば、利益を出せるので開発ができる」という事業者の声があったと、再三に渡って県の財産経営課から県議会に報告されていて、このときに6万人だった数字が今回3万人に減ったということは、まさに数字をゆるめることになり、事業者の利益優先の思惑と一致するからです。

広域避難場所として確保する面積が、12万㎡から、6万㎡にゆるむ 訳で、これは事業者が利益を出して開発できるとする数字と一致します。

茅ヶ崎市は、県と同様に、ゴルフ場への避難者が大幅に減少したので3万人でよいという考え方なのでしょうか? 市と県の要避難人口の考え方には大きな違いがあります。この点について市の見解を伺います。

○佐藤光 市長
 まず始めに、①広域避難場所として確保する面積 についてお答えします。

茅ヶ崎ゴルフ場利活用については、本年3月29日、土地所有者である神奈川県及び茅ヶ崎協同(株)により、当該地の持続性の利活用を実施する事業者を募集する要綱が発表されたところでございます。事業者募集要綱では、本市が求める広域避難場所として、少なくとも6万㎡以上の面積を確保するよう求めています。

広域避難場所の面積は、当然大きい方が有効であると考えておりますが、事業者募集においては一定の基準が必要となることから、本市が平成30年4月に発表した広域避難場所の指定状況における要避難人口である2万9103人を繰り上げ、3万人とし、使用可能面積を1人当り2㎡を乗じた6万㎡をひとつの目安として設定しているものであります。

要避難人口は、避難地区分けの結果としての人口であり、当該避難場所に避難する人口を示すものではありませんが、避難への影響を踏まえると、本市としても下回ることのできない数値であると認識しております。今後においても、本市が最優先事項としている広域避難場所の機能確保について、神奈川県と協議を進めてまいります。


◆杉本啓子 議員

 広域避難場所として確保する面積などについて 再度質問します。

茅ヶ崎市が広域避難場所の見直しをかけた結果、浜須賀小学校を含む、茅ヶ崎ゴルフ場の使用可能面積は、前に比べて約5万6000㎡も減少しています。

これは見直し前と比べると、大規模な延焼火災から安全に避難できる有効な面積が、以前の68%にまで減少したことを示しています。3割も減っているわけです。特に海岸側は、茅ヶ崎公園なども、軒並みこの安全な避難面積が激減しています。これは住宅の過密などで危険性が確実に高まっていることを示しています。

しかし、県は見直しのこの部分はまったく考慮に入れていません。特に、浜須賀小学校の校庭は単独では広域避難場所として安全とはいえず、周辺の延焼火災の危険度も高まっているとデータが示しているのにかかわらず、児童の安全のための配慮の必要性は県から事業者に示されていません。

3万人という数字を机上でいじっただけの面積6万㎡で、市は本当に安全が確保されると考えているのでしょうか、再度見解を伺います。 

添田信三理事・企画部長

市長よりもご答弁させていただきましたが、事業者募集要項では、本市が求める広域避難場所として少なくとも6万㎡以上の面積を確保するように求めております。

これは決して6万㎡に減らすことを目的とした数値でなく、本市として下回ることのできない数値であると認識しているものでございます。本市といたしましては、広域避難場所の面積は大きいほうが有効であるものと考えておりますので、今後も神奈川県等と協議を進めてまいります。 

土地の転売などによる乱開発について

◆杉本啓子 議員
 事業者の土地の転売をしばれるのは、せいぜい契約期間の10年間です。
しかも、前回の事業者募集では、県有地の転売について、県は「原則として認められないが、やむを得ない理由があるとして県が書面により同意をした場合に可能とする」としました。

また、借地権の譲渡や転貸しについても「原則として認められないが、やむを得ない理由があるとして県及び茅ヶ崎協同が書面により同意をした場合に可能とする」としました。今回も同様になった場合に、茅ヶ崎市は土地の転売や借地権の転貸しなどによる乱開発にどのように歯止めをかけていくかを伺います。 

佐藤光 市長
②土地の転売などによる乱開発について お答えいたします。

神奈川県等が実施する事業者募集に際しては、本市としても必要な調整を実施し、本市にとって有益なまちづくりが進むよう協議をしているところです。将来にたいして都市計画制度などを活用することで、当該地のまちづくりの目的に応じた土地利用を適切に誘導し、乱開発が起きないまちづくりを実現してまいります。

用途地域の変更について

◆杉本啓子 議員
 事業者が用途地域の変更を必要とする事業案を出してきた場合、周辺住民の意見の反映が最も重要となります。

都市計画のプロセスや用途地域を変更する手続きのプロセスで、住民は、以前から、早い段階からの参加を絶対に必要な条件と考えています。参加を強く望んでいます。住民はどの段階で参加できるのか、どのように住民の意見を市は反映するのかを伺います。 

○佐藤光 市長 
 ③用途地域の変更について お答えいたします。

平成27年に策定した「茅ヶ崎ゴルフ場の利活用基本方針」においては、まちづくりに求めたい機能の導入にあたっては、都市計画制度である用途地域の変更も検討するものとしており、現在実施されている事業者募集に際しても、利活用基本方針の実現に資する場合においては、用途地域の変更を前提とした提案も受け付けるものとされています。

用途地域の変更にあたっては、まちづくりに求めたい機能の導入とともに、公共の福祉に寄与するなど、まちづくりにとって有益であり、変更内容が妥当であることが求められます。

本事業においては、こうした内容を確認し、市民の方も含めた共通の認識とするために、土地所有者及び、優先交渉者の協力のもと、本市において「まちづくり計画」を策定することとしております。用途地域の変更については、この計画をもとに都市計画法に基づく手続きを進めていくものと考えております。

みどりの保全、周辺環境の保全などについて

◆杉本啓子 議員
 周辺住民へのアンケート調査では、住民の希望は「みどり・環境の維持」「広域避難場所の機能の維持」「ゴルフ場としての維持」が圧倒的でした。

「このまちで暮らす魅力」「大事にして残していきたい魅力」として圧倒的だったのは、静かな住宅街に住めること、健康的な気候や風土、緑が多いこと、ゴルフ場が身近にあること でした。

そして、住民が圧倒的に望まないものは「大型商業施設」「宅地開発の促進」です。

今回の募集条件でも、商業施設1つの面積は規制されていますが、数はまったく規制されていない。したがって広域の商業施設の開発は可能です。周辺住民の要望と県の事業姿勢のかけ離れ方について、市の考え方を伺います。

○佐藤光 市長 

 ④みどりの保全、周辺環境の保全について お答えします。

神奈川県との協議においては、「茅ヶ崎ゴルフ場の利活用基本方針」の策定の際に実施したパブリックコメントや、これまで実施してきた意見交換などでのご意見について、本市を通じて神奈川県などに伝えているところでございます。その結果、住宅及び店舗の規模について抑制していただけているところです。

また、本市としては、広域避難場所の機能やみどりの保全を踏まえると、当該地がゴルフ場として存在することが理想であるとの考えを神奈川県に伝えているところであります。今後におきましても、本市のまちづくりにとって有益な土地利用となるよう、引き続き神奈川県と協議してまいります。

周辺道路の安全状況などの責任の所在について

◆杉本啓子 議員
 県・茅ヶ崎協同(株)は茅ヶ崎ゴルフ場に面するラチエン通りを開発地区のメインの出入り口と位置づけています。

ラチエン通りは、現在、車がすれ違うのがやっとで、車と自転車と人がお互い譲り合って通行しているような状態で、道路の幅を広げることもほぼ不可能です。また、鉄砲道は周辺住民の毎日の生活を支えていて、駅につながるメイン道路となっています。

開発により生じるラチエン通りの通行の危険性の増大、鉄砲道の交通渋滞の発生、周辺住宅への深夜騒音や排気ガスの増大などについて、前回、県も市も事業者も責任の所在や対応策を明らかにしていませんでした。環境の悪化の影響を受け、我慢して生活するのは周辺住民である茅ヶ崎市民です。責任の所在と対応策について伺います。

○佐藤光 市長 

 ⑤周辺道路の安全状況などの責任の所在について お答えします。

事業計画区域周辺は、低層住宅の良好な住環境を守る第一種低層住宅専用地域に指定されており、過多な交通流入や騒音は抑制すべきであると認識しております。事業者による提案にあたっては、近隣の交通状況に配慮した交通計画を検討するとともに、周辺の住環境に対し、交通の流入の抑制策を講じていただき、市民生活の影響に配慮いただくよう事業者募集要項にも記載していただいているところでございます。

将来の世代に確実に広域避難場所の広大なスペースを残すことについて

◆杉本啓子 議員
 契約期間の10年を経過した後の、土地の転売による乱開発を防ぐ手段は見当たらないことを、これは県の財産経営課もヒアリングで認めています。

現在は、海岸側の松林なども乱開発で次々に消滅していますが、茅ヶ崎ゴルフ場の周辺については、昔から茅ヶ崎の面影が残る閑静なみどりの住宅地として、茅ヶ崎市のブランドイメージとして、市は長年に渡ってプロモーションしてきました。

茅ヶ崎ゴルフ場は、第一種低層住宅地のなかにある全国的にみてもまれな9ホールのゴルフ場で、歴史的にも価値があり、松の景観の美しさはプロ選手も認めています。そういった魅力的な環境にひかれて移住してきた住民も多く、まちは長年にわたって形成されてきました。今になっての大規模開発では、住民にとっては手の平を返されるような仕打ちで、ご都合主義なシティープロモーションとなります。

たった10年でなく、50年、100年の将来にわたって乱開発を防ぎ、必要な広域避難場所を守るためには、少なくても県有地12万㎡の買い取りが望ましいのではないでしょうか?

県議会では価格は約60億円と(前回)報告されています。県民でもある茅ヶ崎市民の広域避難場所を確保することは県にも責任があり、交渉次第では価格の引き下げも可能性があるのではないでしょうか。

柳島スポーツ公園の土地の買い上げに20億円、建設に75億円、さらに道の駅への多額の出費で120億円は軽く超えていることに比べれば、市の海岸中央部に位置したゴルフ場の県有地12万㎡は、その立地、住環境、みどりの保全、そして市民の命を未来にわたって守る資産価値の高い土地として、価値のある買いものと思われます。茅ヶ崎市のゴルフ場県有地の買い取りの可能性について伺います。以上です。

○佐藤光 市長

 ⑥将来の世代に確実に広域避難場所を残すために についてお答えいたします。

茅ヶ崎ゴルフ場の事業者募集においては、本市にとっての最優先事項である広域避難場所とみどりの機能確保を前提とした募集が実施されているところであります。本市といたしましては、現在実施されている事業者募集で選定された事業提案にもとづき、まちづくり計画を策定することにより、必要な広域避難場所の確保が実現されるものと考えております。こうしたことからも、現段階では神奈川県等が実施している事業者募集を注意してまいりたいと考えております。


ゴルフ場は命を守る広域避難場所


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