6/30 一般質問「茅ヶ崎市のみどりの政策について」 森林環境譲与税基金など

森林環境譲与税基金について

平成31年に森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律が成立し、これにより森林環境譲与税が創設された。茅ヶ崎市は令和元年9月から森林環境譲与税基金条例を施行させている。

茅ヶ崎市でどのようにこの基金を活用していくのか、市民には明確になっていないが、令和元年からはすでに森林環境譲与税は市に収入として入っている。
 
○杉本啓子議員 
 今現在から将来までの森林環境譲与税基金の一連のお金の流れをお聞きする。市にどれぐらいの税収が入って、何に使ったか、その結果、今現在の積立金額はいくらあるのか、今後どれくらいの税収が入るのか。

○佐藤 光市長  
 森林環境譲与税基金は、国が森林環境税及び森林環境譲与税の制度を創設し、国から各地方公共団体へ譲与される森林環境譲与税を積み立てるため、令和元年6月に設置した。この基金の使途としては、「茅ヶ崎市森林環境譲与税基金条例」に規定されている森林の整備及びその促進に関する施策を推進するための事業の経費に充てることができる。

 市としても、市内の森林の整備のために有効に活用していくが、その使途については、緑のまちづくり基金とのすみ分けをした中で、2つの財源を効果的に活用していきたい と考えている。詳細については担当の部長より答弁する。

○後藤裕史都市部長  
 森林環境譲与税は、平成31年3月の制度創設以降、本市には、

令和元年度  911万円 (すでに交付)
令和2年度 1936万円
令和3年度 1936万円 (以下は予定)
令和4年度 2419万円
令和5年度 2419万円
令和6年度以降 2903万円が交付される予定になっている。
 
 その使い方については、各年度において、森林の整備や木材利用の促進に関する施策のために使うこととし、残りの分を森林環境譲与税基金に積み立てている。森林環境譲与税が開始された令和元年度は、全額を基金に積立てとした。

令和2年度は市民の森のツリーハウスの建て替えや、赤羽根字十三図周辺特別緑地保全地区の危険木伐採や下草刈り、重要度が高い自然環境が残されている地域である相模川河畔林の樹木の整備などに約1355万円を支出し、残額を森林環境譲与税基金に積み立てた結果、現在の基金の残額は約1491万円になる。

森林環境譲与税の使途に関する事項については、法律や条例により使途が定められていることから、予算編成時において関係部局と協議するとともに、市議会においてもご審議いただいている。

また、インターネットの利用その他適切な方法により公表することが法律により義務づけられていることから、県や市のホームページに公表しており、森林環境譲与税の使途の透明性の確保を図っている。

「緑のまちづくり基金」と使い道のすみ分けは?

○杉本啓子議員 
 緑のまちづくり基金と森林環境譲与税基金については、何に使用するのか、どちらの基金のガイドラインもいまだに未策定で不透明になっている。 

2つの基金の使い道のすみ分けを市はどのようにすると考えているのか。 

○後藤裕史都市部長 
 「緑のまちづくり基金」は、良好な自然環境を形成している緑地の取得及びその維持管理に充てることができる とされている。

「森林環境譲与税」は、森林の整備に使うことができるとされていることから、主として北部地域の森林、具体的には清水谷戸や赤羽根字十三図周辺の特別緑地保全地区の森林の整備に充てていくものと想定している。

「緑のまちづくり基金」も、緑地の取得のように自然環境の保全のために使うことが可能なので、今後は、森林以外の緑地または市街化区域に取得すべき緑地の取得などのために使うことを想定している。

「緑のまちづくり基金」については、その根拠条例の一部改正を検討しているので、その検討の過程において使途を明確にしていく。
  

庁内の整合性はどう考えるのか?

○杉本啓子議員  
 森林環境贈与税基金の担当課は景観みどり課だが、庁内の整合性についてはどう考えるのか?

 例えば担当課が景観みどり課でも、先ほどの市民の森のツリーハウス、公園遊具の設置は公園緑地課の担当になる。北部の特別緑地に基金を活用するとすれば、特別緑地の指定は景観みどり課だが、公園緑地課が北部の緑地の維持管理をしている。基金の使い道や運用はどこが責任を持って、整合性を持って運用するのか?

○後藤裕史都市部長 
 森林環境譲与税基金については、その根拠条例も、併せて全体的な運用については景観みどり課が所管している。
 基金の使途については「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」第34条及び「森林環境譲与税基金条例」第7条において、基金は森林の整備及びその促進に関する施策を推進するための事業の経費に充てる場合に限り処分することができるとある。

ツリーハウス建て替え修繕に関しては、木材利用の促進という森林の整備の促進に該当すると判断したため活用することとした。基金を財源として事業を実施する際は、予算編成時において関係部局との協議を踏まえ決定している。

使い道に市民の意見をどう反映させるのか?

○杉本啓子議員 
 森林環境譲与税の使い道だが、現在、茅ヶ崎市の「森林環境譲与税基金条例」には、使い道について簡単な内容しかない。
今後、具体的な使い道についての内容などは、どのように、どこで検討し、どう決めていくのか?
 

○後藤裕史都市部長  
 森林環境譲与税基金の使途については前問でもお答えしたとおり、森林の整備及びその促進に関する施策を推進するための事業の経費に充てる場合に限り処分することができるとされている。

市が実施する事業が、法の趣旨に合致しているかどうかを踏まえた上で、予算編成時において関係部局内で協議し、議会の承認をいただいた上で決定していくものと認識している。
  
○杉本啓子議員 
 森林環境譲与税基金は、茅ヶ崎市の北部の森林保全のためにも利用してほしいと考えているが、基金の使い道について、市民への透明性が確保できるのか。市民からの意見は、どうきちんと市に伝わり、使い道に意見が反映されるようにするのか? これは非常に重要なことなので、具体的に回答をお願いする。
 
○後藤裕史都市部長  
 基金の使い道に関しては、議会において予算及び決算を審議し承認していただくとともに、県、市ホームページにおいて、森林環境譲与税を財源とした施策を公表しているので、その透明性は現時点で確保できていると考えている。

 また、森林環境譲与税は、森林の整備等に充てることが前提となっており、当面の間は、特別緑地保全地区内の倒木処理やナラ枯れ対策などの森林の整備に使いつつ、残りの部分は森林環境譲与税基金へ積み立てることとしている。

倒木処理やナラ枯れ対策などに譲与税や基金を使うことは、自然環境の保全活動をされている市民団体の皆様の意見や現場の状況を踏まえて行っているものなので、市民の皆様の意見は反映されているものと認識している。
  

○杉本啓子議員 
 今の回答の意味がよく分からなかったのだが、まだ具体的な使い道の方向性というのは明確に定まっていない。これから市民からの意見はどう市にきちんと伝わって、使い道に反映されるようにするのかということを再度お尋ねする。

○後藤裕史都市部長  
 前問で回答させていただいたが、基金の使い道については、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律及びその条例等の中で具体的に定まっている。例示をされているという状況。
その中でどれを優先順位にしていくのか、何を使っていくのかとは、先ほど答弁したとおり、庁内で議論した後に、議会のほうに提案をして、承認をいただいた上で執行していきたいと考えている。
 
○杉本啓子議員 
議会に報告することと、市民から直接に意見を聞いていくことというのは全く別のこと。

なので、そのあたり、市民からの意見をどう市は受け止めて、反映させていくのか、再度お尋ねする。
 
○後藤裕史都市部長  
 みどり審議会の中で、緑のまちづくり基金及び森林環境譲与税のすみ分け等についても今後議論をしていく中で、その辺の優先順位づけについても議論させていただきたいと考えている。
  
○2番 杉本啓子議員 
 今の回答だと、茅ヶ崎市では、市民は市に意見を伝えることができない。 

「緑のまちづくり基金」との関連性については、みどり審議会では、今回、諮問ではないが検討してほしいと、緑のまちづくり基金の条例改正を視野に入れて景観みどり課が提案している。その中に、森林環境譲与税の扱いも案件としているが、市としてはどのように考えているのか。

○後藤裕史都市部長  
 森林環境譲与税及び森林環境譲与税基金の使途は、法律により、森林の整備に関する施策及び森林の整備の促進に関する施策に制限されている。本市では、産業としての林業がない地域なので、森林の整備と木材利用の促進が主な使い方となっていく。

差し当たっては、市北部にある清水谷や赤羽根字十三図周辺の特別緑地保全地区の森林及び重要度の高い自然環境が残されている地域などで、市が占用している森林の整備に充てていきたいと考えている。
  

○杉本啓子議員 
 例えば小平市では、森林環境譲与税基金を、特別緑地保全地区内の土地の取得に充てている。そうなると、今現在の緑のまちづくり基金と使い道がダブる。
その一方で、南側の市街地の緑を保存するためには、2つの基金どちらも使えないということなのか。この2つの基金のすみ分けとして、2つの基金のどちらかは保存樹林などに利用できるのか?
 
○後藤裕史都市部長  
 緑のまちづくり基金については、良好な自然環境を形成している緑地の取得費に充てることができると、条例にて、現在規定されている。

保存樹林のような緑地の取得費に活用できるかどうかについては、今後の条例改正の検討の中で議論をしていく。 

また、森林環境譲与税基金を森林の公有地化に充てられるかどうかについては、小平市の事例等があることも認識しているが、森林法における森林の定義では、市街地にある屋敷林は対象外としているため、市街地の保存樹林の取得に森林環境譲与税を充てることは不可能であると考えている。
  

○杉本啓子議員 
 今の時点で、茅ヶ崎市の使い道の考え方として、森林環境譲与税基金と緑のまちづくり基金にはダブっている部分がある。

先ほど言ったが、特別緑地保全地区内の土地の取得 という部分では、両方の基金が使えるとしてダブる。そのあたりはどう考えるのか?

○後藤裕史都市部長  
 森林環境譲与税基金については、性格上、森林の取得という観点で行くと、市の北部地域の、森林の多い地域について、この基金を主に充てていく。
それで、緑のまちづくり基金については、市域南部のほうの市街化区域の中のまとまった樹林について対応していく方向ですみ分けていきたいと考えている。



清水谷(特別緑地保全地区)

HP に公開されない「緑のまちづくり基金」の使い道

○2番 杉本啓子議員 
 最近、市のホームページにある緑のまちづくり基金の内容を見て驚いた。

 平成30年度に、赤羽根字十三図の管理用地の整備のために、約3300万円の基金の取崩しを行っているが、これについては、つい最近まで掲載されていなかった。

現地は特別緑地でもない、コア地域でもない、良好な自然環境と言えるのか分からない場所で、道路としか見えないものが3300万円でつくられている。市民からの寄附も入っている基金なのだから、何にどれだけ使ったのか、明確に掲載しなければならないはずだが、どうしてこういうことになるのかをお聞きする。
 
○後藤裕史都市部長  
 赤羽根字十三図の管理用地の整備については、当該地が特別緑地保全地区の自然環境の保全管理に寄与することが見込まれると判断し、緑のまちづくり基金を活用させていただいた。

 また、市のホームページでの公表の件については、従前までは「緑のまちづくり基金」を活用して取得した緑地を公表することを主眼に置いて公表していたが、緑のまちづくり基金条例の使途拡大に係る一部改正を検討していることもあり、市民との情報共有を図ることが重要であると考え、基金の全体の使途を公表することとした。
 

○杉本啓子議員 
 香川公民館の雑木林を残してほしいという陳情が出たとき、総務常任委員会で議案にかかったが、そのとき、緑のまちづくり基金が何に使えるのか、それはとても大切な案件だった。そのときに、このことはホームページに公表されていなかった。

 つまり、市民の方から陳情が出たとき、「緑のまちづくり基金」のこのような使い方を市民の方に公表して、説明していなかった。もし市民の方がこういった使い道を知っていれば、こういう使い方でもよいのではないかと議論が広がったはずだ。議論が広がる可能性が、公表されないために潰されてしまった。

なぜそのときには公表していなかったのかお聞きする。
 
○後藤裕史都市部長 
 ホームページの見直しを行ったのが今年度だったので、市民との情報共有を図ることは重要であると考えたのは今年度だったので、その時点で対応させていただいた。
  
○杉本啓子議員 
 みどりの保全については、先ほども市民の方々の理解、あるいは市民の方々の協力が必要であるというご答弁だった。今後は市民の方々との信頼関係もあるので、このような公表にはならないようにしていただきたいが、どうお考えなのか。

○後藤裕史都市部長  
 議員ご発言のとおり、今後、市民との協働関係、重要なものと考えているので、その辺は十分に注意しながら進めていきたいと考えている。
  


3300万で用地整備しても、ほとんど使われていない。