9/29 一般質問「防犯灯電気料金返還請求裁判について 」

今回、質問したのは、

(1)裁判所の判決書が全員協議会で配付されなかったのはなぜか?
(2)市の控訴しない理由 について
(3)市が判決を真摯に受け止める、としたことについて

特に、
・市は自らの主張を裏づける証拠を、書類としても、職員の証言としても出すことができなかったこと
・裁判に入る前に、市は職員に事実関係を確認するヒアリングをしたのかも定かでないこと

これは、裁判でも明らかになり、それでいながら裁判を起こして3年間も市民を被告にしたことに驚く。



議員に配布されなかった裁判の判決書

◆杉本啓子 議員
 まず、(1)裁判所の判決書が全員協議会で配付されなかったことについて、伺う。
 令和4年4月6日、横浜地裁で裁判の判決があり、「茅ヶ崎市の請求をいずれも棄却する」と、市が全面的に敗訴を言い渡された。これに対して市が控訴するかどうか、4月25日の全員協議会で報告があったが、当日は、A4の文書が1枚机の上に置かれているだけだった。裁判所からの判決文書は、自治会側が事前に議員に配付したものであって、市は議会に配付していない。
 
 今回の判決の中で、「原告(茅ヶ崎市)の請求をいずれも棄却する」、あるいは「原告主張の負担内容の申込みも、これに対する被告らの承諾の意思表示のいずれについても、明示的にも黙示的にも認めるに足りる証拠はないので、原告の主張は認められない」といった裁判所の判断の重要な部分は、市から議会に報告されていない。
それでいながら、「裁判所の判断を前提に考えれば」という前置きで、控訴しない理由を市は述べている。判決書を見なければ、議会も裁判所の判断がどういう内容だったのか確認できない。なぜ、市は裁判所の判決書を議会に配らなかったのかを伺う。

◎佐藤光 市長 
 防犯灯電気料金返還請求裁判について、私の認識をお答えする。
 今回の裁判については、話合いでの解決に至らず、市民である自治会を相手とし訴え、訴えの提起を行うことについては誠に遺憾であったと感じている。
公金を取り扱う市としては、事態を把握した以上、そのままにすることはできなかった。自治会の皆様には、これまで地域の中で様々な活動をしていただいている中、苦渋の決断ではあったが、このような手続を進めなければならなかったものと考えている。

 裁判は、平成31年4月から令和4年4月の期間において、13回の口頭弁論が行われ、判決に至っている。本件訴訟の判決文では、本市の主張は認められなかったが、裁判所の裁判を前提に考えれば、本市が防犯灯電気料金として両自治会に支払ってきた補助金は、防犯灯電気料の支払いに充てられていたとみなすことができ、本市として両自治会に補助金の返還を求める必要もないので、控訴する必要はないと判断した。
 また、判決を受け、平成28年、29年度の防犯灯の維持にかかわる負担金及び遅延損害金についても、支払いについて補正予算の議決をいただいている。速やかに支払いに向け手続を進めている。
 自治会の皆様には、これまで同様、地域の中で様々な活動に御協力をいただければと思っている。それぞれの詳細については、担当の部長より答弁する。

◎若林英俊 理事・市民安全部長  
 まず、4月25日の全員協議会で判決文全文がなぜ配付されなかったかという関係についてお答えする。
 控訴期間が迫っているという中で、情報を整理して速やかに議員の皆様に対して説明するところをポイントに進めた。この全員協議会では、そのポイントを絞り、判決文全部の写しを配るのではなく、市の考え方を整理して報告することが必要だと考えた。よって、4月25日の全員協議会で「防犯灯電気料金返還請求事件判決への対応について」という内容について御報告をさせていただいた。

茅ヶ崎市は自治会にお金を請求する権利はなかった

◆杉本啓子 議員
 (2)市の控訴しない理由の文書について伺う。
 今回の裁判所の判決は、事実関係を直視した判断で、簡潔明快です。
茅ヶ崎市は自治会に対して、「市から受け取った補助金をURや住民に渡すべき負担付贈与の契約をしている」と主張した。
しかし、裁判で明らかになったのは、協定書にはそういったことは書いていないし、そもそも市は負担内容の申込みを自治会にしていないし、申し込まれていないのだから、当然に自治会の承諾もない、何ら契約は成立していない、という判断だった。
 それから、電気料金は、団地住民の共益費からURが支払っていたことは、市は知っていて、それを認めていた。そういった事実関係と協定書の文言からいって、「市の請求権は認められない」「初めから茅ヶ崎市は自治会にお金を請求する権利はない」、というのが裁判所の判決だった。初めから茅ヶ崎市は請求する権利はないのに、控訴しない理由の文書の中では、まだ請求する権利があることを前提にした書き方をしている。これは市の誤った認識で書かれているし、フェアな書き方ではないと思うので、市の考えを伺う。

◎若林英俊 理事・市民安全部長  
 市の「控訴しない理由」の文書に、市の誤った判決への認識があるということについてお答えする。
 4月25日の全員協議会での、防犯灯電気料金返還請求事件判決への対応の文書については、市の請求を棄却する旨の判決があったが、市が防犯灯電気料金として2自治会に支払った補助金は、おおかた防犯灯電気料金の支払いに充てられたとみなすことができ、協定違反の事実がないと市として判断したのは、市長が答弁したとおりです。
 市として2自治会に補助金の返還を求める必要性がないという点で、控除しないと判断した。全員協議会での文書では、裁判の結果について記載して、控訴しないことについての市の判断理由、これを記載した内容となっている。

市は主張を裏付ける証拠を提出できなかった

◆杉本啓子 議員
 (3)市が判決を真摯に受け止めるとしたことについて。
 裁判所の判決書で「明示的にも黙示的にも認めるに足りる証拠はないので、原告の主張は認められない」という部分は、行政にとっても議会にとっても非常に重いと考える。市は、自分の主張を裏づけるものを証拠として提出できなかった。書類としても、職員の証言としても出すことができなかったことが、裁判で明らかになった。
 市は両自治会と協議を重ねてきたが、双方の主張が平行線をたどり、解決策を見いだせなかったという言い方を頻繁にしている。しかし、「市が主張することの証拠がない」という判決が示すように、市は最初から証拠を持たないのに、両自治会にお金を返すか、さもなくば裁判だと迫って裁判を起こしたことになる。
証拠がないということは、議会もまた証拠の確認や検証もせずに裁判を起こすという議決をしたことになる。

 裁判に入る前に、市は当時の職員に事実関係を確認するヒアリングをしたのかどうか、その証拠となる記録があるのか、をまず確認する。

◎若林英俊 理事・市民安全部長  
 当時の職員へのヒアリングをしたのかどうかということについてお答えする。
 裁判を起こすに当たって必要な準備、調査を経て行っていると考えるが、裁判前に当時の職員にヒアリングをした記録については、保管文書等の確認をしたが、確認ができなかった。


◆杉本啓子 議員
 次に、市の公文書管理、事務引継ぎの在り方、内部検証に不備がありながら裁判を起こしたことについて伺う。
 今回の「明示的にも黙示的にも認めるに足りる証拠はないので、原告の主張は認められない」という判決、これは茅ヶ崎市の仕事ぶりをよく表していると思う。常日頃から作成すべき文書をつくっていない、経緯の分かる記録を取っていない、事務の引継ぎがされていないことを、市民から度々指摘されても改善せずに通してきた。
 今回、裁判所の判断は、ほとんどが自治会側の主張と同じだった。一方、市は自らが主張することを裏づける証拠を、書類としても、職員の証言としても出すことができなかった。
 行政が話合いで解決しようとせず、裁判を起こす議案が議会に出たとき、議会が証拠となるものをチェックして、職員の過去の手順を検証して、状況を判断していれば、裁判は回避できたはず。こういう裁判に至らなくて済むようにするのが議会の役割であったと思う。
市の公文書管理や事務引継ぎの在り方、内部検証に不備がありながら裁判を起こしたことへの住民への真摯な対応について伺う。
  
◎若林英俊 理事・市民安全部長  
 公文書管理や事務引継ぎの在り方について。
 今回を受けて、過去数十年にわたる、この防犯灯事業の事業内容について、ひもときをしたわけだが、振り返ると、公文書管理の在り方や事務引継ぎの在り方、また住民の皆さんとの調整方法、意思決定のプロセスなど、様々、今後確認をしていかなければならないと思っている。
 現在、2自治会等の皆様と、当時のやり取りも含めて話合いを行っている。それらの内容についても、今後の市政運営に反映させていきたいと思っている。

しっかりと事実関係の確認もせずに起こした裁判

◆杉本啓子 議員
 市と議会が裁判を起こす前に事実関係を確認せず起こした裁判によって、3年間被告とされた市民への精神的・財政的負担、誹謗中傷などに対する真摯な対応について伺う。
 市は、自治会のことはあれこれ言っているけれども、では、自分たちはどうだったのか、職員は今までどう対処していたのか、その裏づけとなるものを書類としても、職員の証言としても、市は裁判で証拠として出すことができなかった。
 自分たちの仕事がどうだったのか、裁判前に、しっかりとした事実関係の確認もしないのに、それなのに市民を訴えた裁判を起こして、それによって市民は3年間も被告とされてしまった。
そのために受けた市民側の精神的な負担、250万円ほどの金銭的な負担、さらに、SNS上の誹謗中傷などについて、市はどう責任を取るのか、市の真摯な対応について伺う。

◎若林英俊 理事・市民安全部長  
 今回行ったこの民事訴訟手続だが、法的な紛争、主として、財産権に関する紛争を裁判官が当事者双方の言い分を聞いたり証拠を調べたりする、後に判決をする、という紛争の解決を図る手続である。
裁判官が法廷で双方の言い分を聞いたり、証拠を調べたりして、最終的に判決によって紛争の解決を図る手続ではあるが、今回、当事者間で話合いがつかず、時効等も考慮した中で、議会の皆様にも諮った上で訴訟手続ということになったが、これは市長も御答弁申し上げたが、苦渋の決断でもあった。 

 市としては、本年6月4日の横浜地裁での判決後、今後の対応を検討、控訴しない方向を決定して、両自治会との間で話合いを始めたところである。未払いとなっていた2か年の負担金の支払いに向けて、本議会で遅延損害金も含めて議決いただき、今月中の支払いを完了するというような予定でもある。私どもとして適宜迅速に対応してきたと考えている。

 提訴前のやり取り、これは様々あるが、両自治会の皆様から今まさに様々お話をいただいているところ。市の姿勢としては、冒頭、市長が答弁申し上げたとおり、今回の裁判については遺憾であったと、そのとおりです。今後は過去のやり取りも含めて確認しながら、2自治会の皆様との関係改善に向けて歩み寄って進んでまいりたいと思っている。 


◆杉本啓子 議員
 確実な証拠も持たないのに、苦渋の判断という理由で、3年間被告にされてしまう市民はたまったものではない。
市長は、市政に直球勝負をキャッチフレーズにされている。でも、防犯灯裁判の判決については、市長の姿がマウンドに見えていないと思う。
何度も繰り返すけれども、市の主張の裏づけとなる事実関係については、書類としても、職員の証言としても出すことができなかった。それが裁判で明らかになった。行政が証拠も持たずに市民を訴えて、3年間も被告にした。これは市長として、私は市民に素直に謝罪されることが必要ではないかと思う。どのようにお考えなのかを最後に伺う。 

◎佐藤光 市長 
今回の裁判の結果を真摯に受け止めて、大事なのは未来志向だと思っている。これから自治会ともしっかりと話合いをして、しっかり今後のことも、今までのことも検証しながら、しっかりといい地域づくりをお互いさまになって、こちらも、かみしもを脱いで、上から目線ではなくて、しっかりとお付き合いをしていきたいと思っている。 


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