「ごみの有料化」 ちがさきレポート vol. 9

令和4年4月から茅ヶ崎市では「ごみの有料化」が実施されます。 一般質問やヒアリングでの市への質問と回答をまとめてみました。


Q1 ごみの有料化による収入は、何に使われるのですか?

A1 ごみ有料化による収入は、ごみ減量化・ 資源化基金に積み立てて、「ごみ処理施設の整備」や「 焼却灰の再資源化」などに活用していきます。 また、収入や基金の運用状況は、市のホー ムページなどに公表して、使いみちの透明性を確保します。 

Q2 一部の地域では、委託事業者によるごみの回収も開始されます。ごみ回収のトラブルが発生した場合、住民の問合せ先は市か、委託事業者か、窓口の一本化は行われていますか?

A2 委託地域のごみ集積場所で、不適切なごみ出しにより回収されず残されたものは、 委託事業者を窓口としています。(市より 委託事業者に連絡してもらう方が対応が早いです。)
基本は、委託地域を含めて問題が起こった場合環境事業センターを窓口としてますので、パッカー車との事故など環境事 業センターも対応します。

Q3 ごみ集積所の確保について、まちづくり 条例では「8戸以上を建築する特定開発事業では、事業者はごみ集積所を1か所以上設置しなければならない」としていますが、4、5軒のミニ開発でのごみの集積所の確保については、自治会の負担が大きい状態です。

A3 市では、特定開発事業が行われる場合、 環境部と都市部で情報を共有し、地域にも情報が届く仕組みとなっていますが、ミニ開発が行われる場合でも、いち早く地域に情報提供ができる新たな連絡系統を 検討しています。

Q4 いち早く地域に情報が届いても、ごみ集積所をどこに設置するかの調整は自治会 です。次々にミニ開発が起こって、ごみが溢れてしまい自治会では調整しきれません。市と事業者では解決しないのですか?

A4 市と事業者で集積所の場所を一方的に決定してしまうと、地域の意見が反映されないことから、環境事業センターなどの職員が地域の意見を聞きながら、庁内連携で対応していきます。(ごみ集積所の確保は、回答が堂々めぐり です)



令和4年 粗大ごみ処理施設の大型入札

 ごみ有料化による収入は、市の回答にあるように「粗大ごみ処理施設の整備」や「焼却灰の再資源化」に投入されていきます。

現在、茅ヶ崎市と寒川町の燃やせないごみと大型ごみなどは、環境事業センターにある「粗大ごみ処理施設」で処理しています。現在の施設は約45年が経過していることから、新しい施設が建設されます。

入札は総合評価一般競争入札

 令和4年に、粗大ごみ処理施設の設計・建設・運営などを行う事業者を選定するための入札が行 われ、9月に事業者が選定されます。

総合評価方式は、入札価格と価格以外の技術提案などを総合的に評価し、落札者を決定する方式です。(柳島スポーツ公園の入札と同じ。)

DBO 方式 見積もりは 112 億円

 事業は DBO 方式で、見積もり金額は、建設費46億円、20年間の運営・維持管理費は66億円、 合計112億円ほどの大型入札です。(過去の入札では、市役所の建て替えが約71億円、柳島スポー ツ公園の建設と20年間の運営・維持管理費が約75億円です。)

財源はどこから?

 厳しい財政状況の中で、建設費には新たに25億円の市債(借金)が必要で、ごみ有料化による収入も投入されます。

建設費に充てるのは、交付金が約3分の1、市債発行による約25億円、寒川町の負担金、減量化・ 資源化基金です。運営管理費には、寒川町の負担金と一般財源を充てていきます。

入札には 市内事業者を2者以上含む条件

 市は入札に以下の条件をつけています。

①建設工事を行う者は、プラント設備建設業者と建築物建設業者による特定共同事業体(JV)とする。
②また、建築物建設業者は、市内に本店を有する企業(市内企業)を2者以上含むものとする。

 柳島スポーツ公園の入札では、PFI 事業者選定委員会は違法に設置され、ごくわずかな議事録しか残されず、採点原本も早々に破棄され、どのような議論で事業者が選定されたのか経緯が分からず、 透明性と説明責任が欠如したことから、今回の「粗大ごみ処理施設」の入札では、市は議事録や資料の透明性ある公表を行うとしています。

粗大ごみ処理施設の建設地

 地下を掘ったら、市が昭和の頃に埋めた廃棄物が大量に出てきた。
その処理費用 に 5億6000万円を投入!


焼却灰の処理にも使う
 有料化の収入は、ごみを燃やすことで生じる「焼却灰の処理」にも使われていきます。

現在、焼却灰の70%を堤の最終処分場などに埋め立て、30%を再資源化しています。しかし、最終処分場が使用できるのは、2033年までです。他に候補値が見当たらないことから、市は2034年度にすべての焼却灰の再資源化を目指して、民間事業者への委託処理を拡大していきま す。(リスク分担のため7社への委託を予定。)

そのための令和4年度の委託費用は9500万円となります。 焼却灰を熱処理し、セメントや建設資材などへ利用していくのですが、1トンの灰を資源化するのに約5万円かかり、市では年間8000トンの焼却灰が出るため、すべて再資源化すると4億円かかる 計算になります。

この先、焼却灰の処理にかかる金額も増加していきます。

民間へのごみ収集委託
 「燃やせるごみ」の収集について、市は令和元年度まで収集車36台で行っていましたが、収集方法の見直しで31台に減らしています。

現在のサービス水準を維持するためには、これ以上の削減はむずかしく、市として31台体制としました。

そのうち23台を市の直営で維持し、残りの8台は民間事業者への委託でまかないます。これにより年間8000万円の経費削減につながるとしています。
(「安心まごころ収集」のためには、軽トラ2、3 台を使用します。)

ご存知ですか? 安心まごころ収集

 ごみ集積所までごみを持っていくことが困難な高齢者や障がい者の方に、茅ヶ崎市ではごみの戸別収集(無料)を行っています。 また、収集時にお声掛けすることで安否確認も行います。 対象となる方は、


○ 在宅で肢体不自由の障がいの程度が1級か2級の人
○ 在宅の高齢者(65才以上)で要支援1から要介護5の人
○ このほか、同等な状態にあると市長が認める人
いずれも市内在住で、本人や同居者ではごみの持ち出し ができず、身近な人の協力も得られない世帯が対象です。 


○ 燃やせるごみ → 週2回(月・木または火・金)
○ 燃やせないごみ → 月2回(指定の水曜日)
○ 資源物 → 月2回(指定の水曜日)

お問い合わせは
環境事業センター 0467-57-0200
市役所 障がい福祉課 高齢福祉介護課 0467-82-1111



✴️質問:ごみ有料化による収入は、 戸別収集を実施する財源に充てられませんが、 戸別収集の財源は確保できるのですか?(見積りでは、約4億1千万円かかる。)

市の回答:戸別収集については、超高齢化社会 への対応や、集積場所を起因とする 諸問題の解消が期待できる有効な施策です。
しかし、多額の費用を要することなどから、ごみ有料化と併せての導入は見送りますが、引き続き検討を進めま す。
今後は、ごみの減量化が進むことで、施策や収集体制の見直しを図り、 戸別収集の財源確保につなげていきたいと考えています。


ごみの有料化で何が変わったの?

 ごみの有料化を実施した目的は

①ごみ減量や分別が進むことで経費が削減される
②ごみ有料化の収入を、ごみ処理施設の整備や焼却灰の再資源化などの財源にする

ということですが、有料化の前と後で、
「ごみ収集」という市民サービス、それについては何も変わっていないと思います。
これは、「戸別収集」を実施するという市民サービスを付け足さない限り変化はないです。

 市がお金が足りないから有料化するという説明には釈然としないものを感じます。 廃棄物処理法第 6 条では「市町村は一般廃棄物を収集、運搬、処分しなけらばならない」とし てるので、有料化それ自体が疑問という声もあります。

 茅ヶ崎市のごみ処理には、

①年間で約30億円以上かかっている
②最終処分場が使えなくなること
③ごみ焼却処理施設、粗大ごみ処理施設、寒川広域リサイクルセンターの3施設は、老朽化に対応する整備が必要

など、確かに多額の経費を要します。
茅ヶ崎市のごみ全般にかかる費用を 平準化して、そこに有料化による収入をつぎ込むという考え方です。

だけど、有料化することで「ごみの量を減量する」ことが大きな目的のはずです。むしろ、こちらがメインでないと意味がないでしょう。

家庭ごみの25%、事業系ごみの50%減量を令和16年度に目指すとしてるのですから、ただ有料化すれば目標達成できるとも思えません。

ごみを減量させていくためにどうすればよいか、市は積極的に方策を考えて、市民アイデアも取り入れるためにごみ有料化の収入を投資して、市民全体でごみ減量化に参加できるような循環を作っていくという方向にも向かうべきと思っています。