「みどりと公園のない茅ヶ崎は好きですか?」ちがさきレポート vol.6

みどりと公園 県内最下位の茅ヶ崎市

「茅ヶ崎のみどりの減少が目に余る・・」
「公園が消えていく・・」 
そんな声を多くの市民の方から聞きます。

茅ヶ崎市の市民1人当たりの公園面積は3.39平方メートルで、県内の16市のうちほぼ最下位です。

市の都市公園条例では、住民1人当たりの公園面積を5平方メートルと定めているので、市は条例に反したまちづくりを長年続けていることになります。

なぜ、茅ヶ崎市ではみどりを残し、公園を整備することが出来ないのでしょうか?
 
みどりと公園を保全する姿勢がない

茅ヶ崎市に転入して来た子育て世代へのアンケート調査では、
「子供を遊ばせる公園が近所にない」
「ベビーカーで行ける公園が少ない」

という意見が目立ちます。

「公園が県で最下位と整備されていない茅ヶ崎市に、新たに子育て世代を呼び込んでどうするのか?」一般質問で市の考えを問いました。

企画部長からの回答は「子育て世代が転居先に望むものは公園だけではない。」という呆れた回答でした。

転入される方は、行政サービスや土地の特色など総合的に判断すると思いますが、部長は茅ヶ崎市の公園の少なさには言及せず、論点をずらした回答です。

市のトップがこの無責任な姿勢では、茅ヶ崎市のみどりと公園が増えるわけありません。



街なかのまとまった緑が次々と消えて行く

財政が厳しいからみどりと公園が少ない?

「ここ10年間で、市が公園や緑地の買取りに使った金額はいくらなのか?」

一般質問で問いました。

「10年間に支出した公園の買取りに関する事業費は、約24億3000万円。」というのが市の回答です。

しかし、その内訳を見てみると、

①平成24〜27年 19億6259万円 柳島スポーツ公園
②令和元年       1億3442万円 出口町公園(青少年広場の買取り)
③令和2年       1億7268万円 浜竹4丁目公園(新規)
④令和2年       1億6237万円 甘沼向原公園(借地公園の買取り)

10年間で24億円といっても、そのうち20億円は柳島スポーツ公園に使っています。(柳島スポーツ公園の建設と維持管理にはすでに100億円以上を支出しています。)

あとは、駆け込み的に最近買い上げた3ヶ所で、合計しても5億円ほど。

「茅ヶ崎市の財政状態はきびしい」これは以前から何度も耳にしています。。

しかし、街なかの子どもを遊ばせる公園、ベビーカーで行けるような近所の公園を増やすためには、いかに予算を使って来ていないか 分かる数字です。


今回、財政のチラシといっしょに、この「みどりと公園」のチラシを配ったのには理由があります。

「普通建設費」に注目してほしいのです。

「普通建設費」というと建物に使うイメージがありますが、公園などの建設や用地の取得にも使えます。そして、その財源として市債(長期的な借り入れ資金)が発行できます。

つまり、市債は建物(いわゆるハコモノ)に使う側面もありますが、同時に、公園や緑地について今あるものを失わないために、あるいは新しく増やすために使えるという側面もあるのです。

茅ヶ崎市では、これから市債(借金)の返済額が急増してピークに達する、というのは財政のチラシでお伝えした通りです。

そこに公園やみどりを増やすための市債も含まれているなら、次世代も納得できる借金と思いますが、残念ながらほとんど含まれていません。

そして、市民1人当たりの公園面積が県で最下位という位置からこの先も抜け出せないでしょう。


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公園や緑への長期的な投資が必要 

 公園というと更地に遊具が置いてあるイメージを持ちますが、公園の種類はもっと多様です。緑地のままの公園もあるし、障がいのありなしにかかわらず誰もが遊べる「インクルーシブ公園」など、豊かな発想があればさまざまな使い方ができます。

茅ヶ崎市がもっと柔軟に考えれば、いろいろな公園を設置できるはずです。 

総合計画は夢物語

さらに今後、市は、厳しい財政難を理由に

①普通建設事業費は原則認めない(=市債発行も認めない)
②市単独の補助事業は、休止・廃止を原則とする
としています。

つまり、①の市債発行を認めないとすると、令和3年度以降、新たな公園用地の購入などが不可能になります。
②では、市街地のみどりを保全するための補助金もカットされます。
 
すでに、街なかのみどりについては、

• ブロック塀を生け垣にする補助金 ⇒ 中止
• 新築の家に記念樹を配布 ⇒ 人気のある事業だったのに中止
• 緑のまちづくり基金 ⇒ 市は「街なかのみどりには基金を使わない」姿勢

あとは、民地の樹林を「保存樹林」に指定して残す補助金がかろうじてあるだけです。(これも令和3年1月より新規の指定を中止。)

「保存樹林」は民地なので、指定が解除されれば市が積極的に保全に動かない限り、樹林を残す方法は見当たりません。

今後10年間の目標として、市は総合計画に「市街地の公園や緑地の計画的な整備」「自然と共存する環境」を定めていますが、夢のまた夢にすぎません。
         
バランスの取れない維持管理費

市内にある街路樹と公園(約160ヶ所)の維持管理のための予算は、年わずか5000万円です。

一方で、柳島スポーツ公園一つに使う維持管理費は年間1億円です。

私たちの身近にある公園と街路樹を管理するための金額は、柳島スポーツ公園の半分しかないのです。

市役所の本庁舎前に「憩いの広場」が新しくできましたが、広場周辺の維持管理費は1000万円です。

現状では、私たちの身近にある公園や街路樹を、適切に維持管理できる予算は取られていないのです。


それでも、残さないならどこを残すのか?

令和2年の6月議会に、
「香川公民館の南側にある雑木林を残してほしい」
という市民からの陳情が出ました。

約700㎡の小さな雑木林は30年も保存樹林に指定され、子どもたちの自然観察の場になっていました。住民は雑木林の存続を強く市に望んでいましたが、市は「買い取らない」「緑のまちづくり基金は使わない」という回答です。

陳情は議会の総務常任委員会にかかり、異例の長さの議論となりましたが、陳情に賛成(=市の買い取りに賛成)したのは私と他1名の議員だけでした。



香川公民館の雑木林

以下は、委員会で私が述べた意見になります。

杉本けいこの討論 

 「茅ヶ崎市の総合計画、都市マスタープラン、環境基本計画、みどりの基本計画、どれを見ても将来にわたって、市街地のみどりを残す政策の重要性が定められていて、その重要性は議会も認めています。厳しい財政であるからこそ、本当に血のにじむような努力をしなければ、次の世代に茅ヶ崎市のみどりは残せないという現状にあります。 
 
 香川公民館の南側にある雑木林は30年ものあいだ保存樹林であり、「雑木林を残して欲しい」という公民館の利用者や市民、自治会の希望も強く、地主さんも買い取りを希望されている、ここまで条件の揃った場所でさえ、残さない、買い取らないという判断では、今後どこも市街地のみどりは残せないと考えます。

それだけこの雑木林は、地域にとって貴重なみどりであり、社会教育の場でもあり、これほどに地権者の方の思いと住民の思いが合致している雑木林というのも例を見ないですし、ここを買い上げて貴重なみどりを残さないならば、いったい他にどこを残していかれるのかと思う場所です。 

 市が雑木林の買い上げはできないとする判断も根拠があいまいで、買い上げるための明確な方策が定まっていないうえに、住民と地権者の方の橋渡しの努力もされていません。

行政だけでなく、議員もまた、将来に渡って市街地のみどりを残して行くために何をすればよいのか、「緑のまちづくり基金」を積み増していく方法を検討する、「みどりの保全等に関する条例」について保存樹林等が残せるような改正を検討するなど、明確な道筋を求めていく努力が足りていないと自覚いたしました。

議員も真剣に考えていかないと茅ヶ崎市の街中のみどりは本当に何も残らない、そういった痛切な反省も含めまして、陳情に賛成の討論といたします。」


ちがさきレポート後記

 今、茅ヶ崎市のまちの悲しさは、緑と共存できなかったことだと思います。
次々と緑の減るまちを歩くと、隠しようのない、すさんだものがにじみ出ています。

新型コロナのステイホームで、市民生活の価値観にも変化が生じているなかで、ふと辺りを見回したら、安らげる緑や公園もないのか、、と思います。

 今後10年間、市の借金の返済額が大幅に増加すること、今までと同じペースのお金の使い方では、新規事業はもちろん、今ある事業の継続も困難になるという厳しい財政事情から、昨年1月に「財政健全化緊急対策」が発表されました。

そこに新型コロナによる影響も加わり、市税や交付金の大幅な減収が避けられない状況です。こういった影響が本格化するのは令和3年度以降、まさにこれからです。

お金がないからと、さらにみどりや公園の保全は後回しにされると思います。

茅ヶ崎市の公園や緑の状況は県内のほぼ最下位なのに、この先どうなっていくのでしょう?

市には、街なかのみどりを残し公園を整備する姿勢がない、具体策がないという現状と危機感をお伝えするしか方法が見あたらないのです。


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茅ヶ崎市議会議員(無所属) 
杉本けいこ

1959生 松浪小・松浪中の地元育ち
県立鎌倉高校(父の転勤のため福岡・筑紫女学園高校卒業)
武蔵野美術大学 造形学部油絵科 卒業

テニス歴40年
ちがさき市民オンブズマン 設立(2015)代表理事

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