12/19 一般質問「茅ヶ崎市立病院について」 全文

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一般質問「茅ヶ崎市立病院について」


(1)経営悪化の要因について 

杉本:まず、茅ヶ崎市立病院の経営悪化についてうかがいます。

茅ヶ崎市立病院は、平成16年4月に病床数401床の病院としてスタートして以来、急性疾患や救急の患者さんのために機能を強化した病院として、また小児医療、周産期医療、がん治療対応など提供しながら経営を続けています。

しかし、リバイバル・ロードマップに「経営収支の計画値と決算値のあいだに大きな隔たりが生まれている」とあるように、病院事業会計が平成28年、29年、30年度と3年連続で約10億円の大きな赤字決算 となっています。

それまでは赤字が出ても回復しながら、というデコボコ道を進むような流れでしたが、平成28年から深い穴がポッカリとあいて、そこにはまったきり這い上がれない、回復の出来ない状態で3年連続で10億円の大きな赤字が続いています。

現金残高も50億円台あったものが、今現在約10億円と、これも急激な下降線を描いて止まらなくなっていて、いま市立病院は民間でいえば破産というカウントダウン状態 にあります。

とにかく、これはいったい何があったのでしょうか? この原因や理由をまず1つ目に質問します。

内藤副院長:3年連続で赤字となった原因と理由についてお答えします。

経営の悪化した主な要因として、平成28年度に電子カルテを導入するに当たり、一時的な混乱を避けるために、患者さんの受け入れ制限を行ったことで医業収益が減少した。
また、給与改定に伴う人件費の増加、診療科の新設による人員の増加や、診療体制確保のために、臨時的な医師の雇用のために臨時職員賃金が増加し、給与費が大幅に増加したことが原因であると考えている。

平成29年度以降は、通常の診療を行い、病床利用率も増加し、入院収益も増加したが、育児休業中や育児短時間勤務の看護師が多く、夜勤ができる看護師が不足し、安全で安心な夜勤体制をとるための必要数を確保するために看護職員数をふやしたこと等により給与費の増加したこと、高額医薬品の購入等により材料費が増加したこと、電子カルテシステム導入による維持管理費が増加したこと、医療機器の保守点検費用が増加したことなど、収益以上に費用が増加し、その部分を保有していた現金で手当てをしたため現金残高が減少している状況にある。
 

なぜ見込んだ収益以上に投資をしたのか?

杉本:リバイバル・ロードマップには「市立病院の経営計画で見込んだ以上に投資したものの、見込んだ収益に結びつかなかった」とあります。

これは、病院経営として安定した基礎体力のない状態で、手を広げすぎた と思います。

入院患者数は頭打ちで、外来の患者数は減少を続けていて、病院として収益が大きく増加するとは見込めない、その一方で経費は増え続けていて、毎年、支出が収入ををうわまわってしまう。

こういった状況で、なぜ見込んだ以上の投資をしたのでしょうか? また、見込んだ以上の投資とは、具体的にはどういった投資だったのでしょうか?  

副院長:投資の理由とその内容についてお答えします。

投資については、地域の基幹病院としての役割を果たすための機能強化で、刻々と変化する医療水準や医療を取り巻く環境に対応し、患者さんへ適切な医療を行うことができるようにするため、また、医療ニーズに合った医療提供ができるようにするため取り組んでいる。

今あるものを使う工夫をすべき、という質問でしたが、ほとんどの医療機器は耐用年数を大幅に超えて限界まで使用しており、老朽化した医療機器では、適切な診断や治療ができないこととなり、更新する必要が出てくる。

投資の内容について、人的な投資として、新たに診療科を開設したことに伴う医師の確保や、夜勤体制確保を目的とした新たな看護師の採用を行っている。

また、物的な投資として、電子カルテシステムの導入や高額医療機器の老朽化により集中的に更新したこと、また、ニーズに対応するための新たな医療機器の購入を行った。


杉本:茅ヶ崎市立病院は、この10年間ほどで新しい診療科を次々と増やしています。新設として何科を増やしたのでしょうか? 人件費、物件費など、それぞれの投資金額はいくらかかっているでしょうか? また、収益に結びつくと分析したうえでの投資なのでしょうか?

副院長:経営悪化の要因の2問目についてお答えします。

平成28年の乳腺外科、31年の形成外科の新設にあたっては、基本的には施設や機器については既存のものを活用している。しかし、平成28年度に乳房エックス線撮影装置など、老朽化した医療機器の更新を約5000万円かけて行っている。また、診療科の新設により医師3名分の給与費が増加している。

診療科の新設については、地域で完結できるがん治療を目指して、「神奈川県がん診療連携指定病院」の指定に取り組んでいた経緯もあり、以前は乳がんの専門的な治療を受けるために他市や遠方に通わなければならなかった治療、検査が、乳腺外科の新設により、市民の皆様が自分の生活している住み慣れた地域内で専門的な治療を受けることができるようになった。利便性が高まったものと考えている。

また、平成30年4月に「神奈川県がん診療連携指定病院」の指定を受け、地域における質の高いがん医療の提供に取り組むこととしており、形成外科の新設により乳腺外科における乳がん手術との同時再建術が実施可能な専門的な医療体制が充実することとなり、新たな患者さんの獲得につながると考えている。


杉本:見込んだ以上の投資についてですが、平成25年〜30年度ここ5年間を見ると、かなりの投資の連続で驚いてしまいます。

まず平成25、26、27年度と、更新次期を迎えた高額医療機器と新規の医療機器の購入で、4億から5億近い支出が3年間続きます。この直後に、10億円の大きな赤字が始まるのですが、その10億円の赤字のさなかに、電子カルテに切り替えたリース代など6億円が必要になり、さらに乳腺外科を新設します。
その翌年にMRI など2億近い高額医療機器の購入があり、さらに、病院の別棟の建設に総額8億円以上を投入します。
この間、看護師の数も大きく増やしていますし、職員給与費も増加を続けます。さらに、これから本館の改修工事に入って、内視鏡室、化学療法室などに総額約4億円が投入されます。

いったい、病院をたてなおそうとしているのか、つぶそうとしているのか、私にはちょっと理解できませんが、なぜ病院収益の上昇が見込めない大赤字経営で破綻している状況のなかで、このような投資計画になっていったのか? 質問します。

副院長:経営悪化の要因の3問目についてお答えします。

まず、経営状態が悪化している中での投資について。市立病院では、医師は大学の医局から派遣されて雇用しているが、診療環境が不十分あるいは時代遅れと評価されることがあれば、医師の派遣がどうなるか分からない状況にある。

電子カルテについては全国の多くの病院が採用しており、時代のニーズに出来る限り対応して行くことが必要なことから平成28年度に導入したもの。

医療機器の更新については、安全で安心な医療を提供するためにも、使用の限界に近づき、適切な診断や治療に支障が出るようなことになれば更新を行う必要がある。

医療水準や医療環境の変化に応じ、高度化する医療に対応するために、病院機能自体を変化させて行く必要があり、また、患者さんのプライバシーの確保が不適切な環境であり、他の医療機関と比較して明らかに劣っている場合には改修の必要がある。

別棟の建設により、診療にかかわりのない管理部門を病院の本館から移動させ、空いたスペースにおいて救急医療、外来診療、内視鏡室、患者支援センターの充実を目指すため、現在改修を予定している。

職員の数と給与費の増加

支出の増加として目をひくのは、市立病院の職員の数と給与費の増加 です。

ここ12年ほどで、看護師さんなどの職員は155名増えて570名ほど、給与費も約18億円増加していて60億円と、毎年増加が止まらない状態になってますが、この増加の原因は何でしょうか? 

副院長:職員数と給与費が平成18年度と比較し増加した要因について。

診療科の新設、7対1の看護体制への移行、集中治療室の開設、技師や薬剤師の夜間勤務体制の見直し、夜勤体制確保を目的とした新たな看護師の採用、年金制度の見直しによる法定福利費が増加したことなどによるもの。

医療を取り巻く状況は、平成18年度と比べ大きく変化しており、例えば2年に1回改正のある診療報酬に対し、機能を低下させることなく診療報酬を獲得するために、医療環境や医療ニーズに合わせて、病院として体制を整えた結果、増加したものと考えている。

 
杉本:平成23年度に集中治療室(ICU )の設置工事が行われ、これに合わせて7対1看護に切り替えたことで、病院経営は大きく変化しています。

7対1は、看護師1名が入院患者7名を受け持つということで、患者さんにとって手厚い看護を受けられ、働く側からみても負担が減る、診療報酬の点数が高くなるなどメリットがあります。ただ当然、看護師さんの数は増やす必要があります。7対1看護となったことで、それ以前と較べて看護師数はどれぐらい増えたのか、また今も増え続けて止まらない理由を質問します。 

副院長: 平成23年度末の看護師数は、前年度と比較して12名の増加となっている。7対1の看護体制算定開始の際は、その体制を維持出来るよう、入院患者の数の制限を行っていた。
入院患者の数を制限しないで対応できる看護士数については、平成25年度にかけて段階的に確保することとし、その結果、平成25年度末には平成22年度末と比較すると51名の増加となっている。
看護師を増員して来た理由は、主に夜勤看護態勢の確保を目的とした新たな看護士の採用などによるもの。

 
杉本:市立病院では7対1看護にしたことで、看護師1人当たりの患者受け持ち数は減っていますし、患者さんにとっても手厚い看護となるので、入院患者が増えていいと思うのですが、現状では、7対1 前より入院患者数がむしろ減っています。

7対1看護にしたということは、増えた看護師さんの分の人件費を収入が上まわらないと経営難になります。入院患者数が増えない理由はなぜでしょうか?

副院長:7:1看護後に患者数が増えない理由についてお答えします。

平成23年度より、患者7名に対して看護師1名の体制を進めている。この体制への変更を受けて、平成23年10月から25年9月まで一部の病棟を閉棟し、さらに夜勤のできない看護師の増加により、29年度3月から令和元年度9月まで一部の病棟を閉棟していた。

また28年度については、電子カルテを導入するにあたり、一時的な混乱を避けるため患者の受け入れ制限を行っていた。看護師が充足されてきたために、本年10月からすべての病棟が稼働することとなり、現在、入院患者数は増加傾向にある。
 

(2)収支改善の取り組みについて

採算の見通しについて

杉本:これまでの推移から見て、収益が大きく増えないなかで、新設した診療科など手をひろげた分野、つまり見込んだ以上の投資をした分野について、採算の見通しはたっているのかどうか? 質問します。

副院長:新たに設置した診療科としては、平成28年4月に乳腺外科、平成31年4月に形成外科を設置している。これらの診療科については、患者さん1人当たりの単価が高く、収益も上がっている状況。

新たな診療科だけでなく全診療科を対象として、どの部門が収益の獲得に貢献しているのか、あるいはどの部門が弱いのか、設備投資は適切か、人員の配置はどうかなどについて客観的な情報を分析する原価計算制度を導入することとし、現在作業を進めている。原価計算を用いて継続的に数値を把握することにより、今後の市立病院運営に反映していきたい。


杉本:ここ10年間で茅ヶ崎市の財政状況は本当に激しく変化していて、まっとうに市民サービスを提供できない所まで追いつめられていると思います。

見込み以上の投資を続けて、手をひろげすぎた市立病院は、もはや茅ヶ崎市の財政として抱えられる範囲を超えてしまった存在のではないでしょうか? 

いったん投資して広げたものは縮小できませんし、今現在、市立病院の職員は増え続け、患者は減り続ける、という状態で、収支改善は容易なことではないし、切り抜けていかれるのでしょうか?

結局、最終的に市立病院を立て直せなかった場合、PFI 経営になったり、民間に病院を売却するということになった場合、税金でこれだけ投資した分の回収はどうなるのでしょうか?

副院長:今後の見通しについては、リバイバル・ロードマップにのっとり、病院だけでなく市が一丸となって収支改善の取り組みを進めている。

令和4年度をひとつの区切りとしているが、収支の黒字化に向けた成果が見いだせない場合には、聖域を設けずにさらに改革を進める必要がある。

中長期的には現在の急性期の機能を主としつつも、地域のニーズや財政面でのシミュレーションをした上で、地域包括ケア病棟などの他の機能を持つことや、経営形態の変更といった病院経営の組織改革についても、収支改善の推進と同時並行して検討する必要があると考えている。

そのため現在策定作業を進めている次期総合計画の検討の過程で、本市としての事業の方向性を明らかにしていきたいと考えている。

また、現在、茅ヶ崎市立病院経営計画の経営期間が令和2年度までとなっている。今後、令和3年度以降の経営計画を策定することとなるので、この計画のなかに病院の規模の適正化に関する事項や、経営形態の変更に関する事項の具体的な方針を明確化できるよう検討を進めていく。

収支改善の具体策について

杉本:リバイバル・ロードマップには経営改革の取り組みとして、たとえば収入を増やすために「救急患者の積極的な受け入れの強化」があります。そのためには、救急にも投資をするわけですが、採算は見込めるのでしょうか? 

また、支出を減らすための取り組みでは、人件費の削減として、業務委託化の推進をする、物件費の見直しとしては、高額医療機器の更新計画をつくることが挙げられています。それぞれどういった内容で行われるのでしょうか?

副院長:市立病院は急性期医療を担う救急指定病院として、さらなる救急患者の受け入れ体制づくりを行っているところ。
救急医療は、一般的に不採算部門として一般会計が負担する経費の対象となっているが、救急患者の積極的な受け入れが入院へつながることにより、収益への大きな効果が期待できると考えている。現在、救急患者の受け入れ数を確実に増やすために、受け入れ態勢を再構築し、受け入れのできなかった場合の分析と指導を行っている。

また、地域の診療所等からの要望があった茅ヶ崎市立病院の登録医専用回線を令和2年1月から開設する。これにより地域の診療所とこれまで以上にスムーズな連携の構築ができ、救急の紹介患者の受け入れの増加が可能になると考えている。

また、救急機能のさらなる拡充を進めるため、救急ワークステーション施設の設置工事を進めていく。

業務の委託化の推進については、病院事業の業務の洗い出しを行い、配置人員の適正化、業務内容の精査等を行ったうえで、委託化がより効率的かつ効果的であると見込める業務については委託化を進めていく、というもの。

高度医療機器の更新計画は、病院事業の財政状況を勘案したうえで、医療の質の確保をしながらも、投資に見合った収益を将来的に確保できるのかという視点も含めた中で検討していきたいと考えている。


杉本:人件費削減の具体策として「業務委託化の推進」が挙げられていますが、市立病院の委託料は毎年約10億円から11億円で、もともと同規模の公立病院と比較して、職員の給与費や委託料の比率が高いという分析もあります。そういった中で業務委託化を進めれば、さらに委託料がふえてしまうと思いますが、業務委託をして本当に業務がスムーズにいき、人件費がその分減っているのかなど、検証しているのでしょうか?

副院長:業務委託化の検証についてですが、リバイバル・ロードマップの中で、支出減のアクションとして「業務委託化の推進」を掲げている。
現在、病院事業の中では、医事事務、施設管理業務を初めとして、さまざまな業務を委託している。公民連携推進のための基本的な考え方において(平成29年に策定)、行政が実施するよりも効率的かつ効果的な事業の実施が見込めるものは、積極的に民間に委ねることを基本とした上で、行政として実施しなければならない事業または実施すべき事業を絞り込むこととしている。この理念にのっとり、病院事業における業務において、配置人員の適正化、業務内容の精査を行い、民間に委ねることが効率的かつ効果的な業務がある場合については、業務委託化を推進していきたいと考えている。


杉本:収支改善の具体策として、これから「高額医療機器の更新計画」を作る、とあります。ということは、これまで「高額医療機器の更新計画」のない状態で高額医療機器を購入していたということでしょうか? 

また、購入を検討する医療機器整備委員会とは、どういったメンバーによる委員会でしょうか? また、その委員会のあり方を見直すとは、どういった点を見直しするのでしょうか?

副院長:高額医療機器については、現在の病院の本館が平成15年に竣工し、設置した医療機器のうち老朽化が進んだものを対象として、平成25年度から27年度までの間に第2次実施計画に位置づけて計画的に更新してきた。

医療機器整備委員会は、予算編成に伴う医療機器等の整備計画に関すること、医療機器等の適性配置および合理的活用に関すること、その他医療機器等の運用方針に関することについて議論、決定を行うための内部の委員会。構成員については、病院長のほか、医師、看護師、放射線科などの医療技術職、事務職から構成されている。

これまでは、予算として大枠を確保したうえで、その範囲内で優先順位を決めて行く方法を取っていたが、平成30年度予算の審議において、予算の計上にあたり、あらかじめ整備すべき医療機器を明確にしたうえで、予算として確保すべきとの意見を市議会から頂いているので、経営状況が悪化していることを踏まえ、リバイバル・ロードマップにおいてご指摘のあった考え方に従って予算を計上するとしたもの。

このため、医療機器整備委員会については、従前は新年度の開始前に開催していたが、リバイバル・ロードマップを実行する現在においては、予算編成のタイミングで開催し、整備する機器の目安を示すようにしようとするもの。
 

一般会計から病院事業会計への経費負担について

杉本:一般会計から病院事業への経費負担金は、過去14〜15億円ほどだったものが、平成29年度は約11億円と減少しています。突然に負担額を減少したのは、どういった判断からでしょうか。

青柳財務部長:病院事業会計負担金に関する質問にお答えします。

地方公営企業法の趣旨等を踏まえて、一般会計から病院事業会計への負担金を支出しているが、近年の予算編成においては、一般会計の厳しい財政状況に鑑み、茅ヶ崎市総合計画第4次実施計画における病院事業会計負担金の事業費を踏まえた予算を計上しており、令和元年度当初予算では、実施計画事業と同額の12億円を予算計上いたしたもの。


杉本:総合計画では、病院事業への負担金が12億円となっています。それが、ここに来て6億円も足りないと言い出す意味がよくわかりません。12億円を適正な水準の金額まで引き上げる必要があるとリバイバル・ロードマップに書かれていますが、そうしますと、総合計画の12億円は適正な水準でなかったということになると思います。では、この適正な水準というのはどういった状態のことを言うのでしょうか。

財務部長:適正な水準の負担金についてお答えします。
一般会計から病院事業会計への負担金の積算に当たっては、総務省が毎年度発出している地方公営企業繰出金に関する通知によることを基本としていることから、市立病院リバイバル・ロードマップにおいては、同通知を踏まえて積算する負担金のことを適正な水準の負担金ということで考えている。 

市立病院の目指す姿は?

杉本:いま現在、市民集会などでも茅ヶ崎市が厳しい財政状況にある、ぞうきんを絞るようにして予算を出している、と説明してまわっていますが、市立病院の赤字経営を助けるためには、さらに税金から6億円を上乗せして18億円を一般会計から負担していかねばならない と、市民の方はどれぐらい知っているのかと思います。

本来は災害が起きたときのためにプールされた積立金も、赤字立て直しに投入するという状況のなかで、市民は市立病院がどういった病院であってほしいと思っているのでしょうか?  

副院長:リバイバル・ロードマップで、目指す市立病院のあるべき姿として、将来にわたり安定した経営環境のもとで、市民の健康を守るために必要な医療サービスを提供するとともに、それを維持する体制が整っていること、とうたっている。

急性期を担う地域の基幹病院として、高度で専門的な医療を担うことが市民の皆様や地域の診療所等が求める茅ヶ崎市立病院の役割であると認識している。

あるべき姿を実行するために、収支改善策のすみやかな実行や、一般会計からの適性な経費負担、市民の皆様に必要な医療サービスの提供と、将来にわたって市立病院の持続可能な体制の実現を目指し、経営形態の変更といった組織改革の検討を同時並行で実行していく。


杉本:ズバリ、市立病院はどこを目指しているのでしょうか? 

平成30年に市立病院は「地域で完結できるがん治療」を目指して、湘南東部医療圏で初めてとなる「神奈川県がん診療連携指定病院」の指定を受けています。また、乳腺外科の開設、緩和ケア外来の開設、がん相談支援センターの設置、がん化学療法室の新設、といった手を広げて投資を行っている方向性から見ると、市立病院は、がん治療をメインとする病院へと大きく方向転換しているように見えますが、そこを目指しているのでしょうか? 

副院長:市立病院の目指す姿についてお答えします。

市立病院は地域の基幹病院としての役割を果たすために、診療機能を強化してきた。がん治療に力を入れるのはもちろんのこと、小児・周産期医療・救急医療等の高度で専門的な医療を提供するとともに、より重篤な患者さんへの対応に注力できるよう、地域の医療機関との機能分化や病診連携を推進しているところ。

また、地域医療支援病院、救急指定病院、災害拠点病院、神奈川DMAT指定病院、神奈川県がん診療連携指定病院として多くの役割を果たしており、今後も医療体制の充実をはかり、市民の皆さんの健康を願って病院運営を行っていきたいと考えている。


杉本:公立病院として本来は力を注ぐべき 救急、小児科、産婦人科 は、入院、外来ともに大幅に患者数が減っています。10年前の入院・外来の患者数を比較すると、救急は3300人減り、小児科、産婦人科ともに1万4000人ほど減り、合計すると、約9万3000人から6万3000人へと、3万人も減っています。

採算の収支バランスが難しいとされる小児・周産期医療については、これといったお金も回されず、放置されている状態に見えますが、この先どうなるのでしょうか?

副院長:小児、周産期医療の方向性についてお答えします。

小児、周産期医療については、一般的に採算の面から収支均衡がむずかしいと言われている分野。全国的にも、医師不足などの理由により小児科や産科の撤退や縮小が相次いでおり話題となっているなかで、不採算部門であってもこれらを続けていくことは、地域の医療を支える自治体病院の重要な役割、そして使命であると考えている。

 
杉本:今月12月13日の日本経済新聞に、次のような記事がありました。 

横浜市立大医療センターは、乳がん手術によって欠損した乳房の再建で、再生医療技術を用いた新しい治療法を国内の大学病院で初めて本格導入し、この新しい治療法への注目度が高まっている、というものです。

人間の幹細胞には新しい脂肪細胞や血管を作り出す働きがあることを応用して、患者さんの脂肪を取り出し培養して注入することで乳房を再建するというものです。現在はまだ保険適用外ですが、今後は治療実績を増やして安全性を証明するために「治療法をマニュアル化したり、技術をほかの病院に与えていく」ことも考えているといいます。

この新しい再建手術には乳腺と形成外科の連携が必要になります。茅ヶ崎市立病院でも、まず平成28年に乳腺外科を開設し、がん治療の体制作りに投資もしてる最中ですが、平成31年には形成外科を新設という流れから見ると、このような最先端の治療法の導入も将来的に考えているように見えます。

女性のがんで最も多い乳がんでの再建手術は特にニーズが高いのは理解できますが、こういった最先端の医療技術を市立病院が導入していくのだとしたら、ふたつの考えなければならない問題があると思います。

ひとつは、こういった最先端医療まで手をひろげて、その予算を今の茅ヶ崎市の財政状況で抱えきれるのか、ということ。もうひとつは、市立病院がそれをやる必要があるのかどうか、ということ。 
そのあたり、どう判断されているのかをうかがいます。


望月病院長:最先端の医療を市立病院が担う必要性についてお答えします。
横浜市立大附属病院市民総合医療センターの取り組みについては、乳房再建の新しい治療法ですが、保険適用外の高度先進医療であり、費用の問題だけでなく患者さんに提供する医療の質というものを考えれば、市立病院では安易に実施すべきものではないと考えており、当面その予定はない。

市立病院の使命としては、現在の医療水準に照らし合わせて当院が備えた力で、患者さんにとってベストな医療を保健診療の範囲内で提供することであり、十分な説明と同意ののち、さらに高度な医療が必要であれば、より専門性の高い大学病院、専門病院などへ適切に紹介することも市立病院の役割であると考えている。


最後に、 市長への質問

杉本:市立病院の経営改革は、市長の公約のひとつです。市長の所信表明でも、2年連続して10億円の赤字を計上している市立病院の収支改善・経営形態を見直す、とのことでした。市立病院の最高責任者は市長ですので、この質問は市長から回答を頂けたらと思います。

病院の収支改善のために、今、さまざまな方法で努力されていると思います。
ただ、大幅な赤字を出しているのに、新しい診療科がいくつも増えたり、病院設備も次々に拡大しています。病院をサイズダウンさせるのではなく、この先もむしろ病院は手をひろげていくように見えます。

車でいえば、エンジンの馬力がないのに、外側だけ大きくなって重くなった車は、穴にはまったきり這い上がることができない、だから市民の皆さん手を貸してください、破産をまぬがれるために。12億円にさらに6億円をプラスしての税金の投入をお願いします。今、こんな状態と思います。

茅ヶ崎市の厳しい財政状況のなかで、「さらなる税金の投入」という形で病院を建て直しました、と言うこともできるでしょうが、市民の理解は得られるのでしょうか?

市立病院は、がん治療に特化した病院に向かっているように見えます。そのために税金で投資するだけしてみて、やっぱり経営ができないので民間に売却するなどといった形でも、経営形態を見直すという意味では公約を果たすことになるのでしょうか?

そのあたりの市長のお考えを伺って質問を終わります。

市長:もちろん私の公約のなかに「市立病院の立て直し」ということもしっかりと明記させていただいている。そのために今回、リバイバル・ロードマップを作成して、これからまさに市立病院の大手術をする決意。

もちろん手術するには一定の輸血も必要で、麻酔も必要。そういった意味で、今回6億円、さらに計上させていただいているが、これは市立病院を基幹病院として立て直すためのロードマップ。基幹病院として、例えば先ほど出た周産期の役割は、市民にとって、まさに大変身近な問題でもあり、こういったことを手放すわけにはいかないと思っている。

前職のときに、県立こども医療センターというところがあり、今でも小さなお子さんが入院されていますが、県下からたくさんのお子さんが集まり。そこには多くの保護者が毎日通ってきている。
そういった県立のこども医療センターで預かっているお子さんが、できれば地域の基幹病院で、ある程度よくなったときに預かることができれば、わざわざ箱根から横浜まで行かなくてよいわけで、茅ヶ崎でお預かりをすることも考えていくと、やはり地域の基幹病院というものは必要になる。
そういった意味で、この大きな大手術をしっかりとなし遂げて、地元の病院として安定的な経営をしていきたいと思っている。 私からは以上です。


杉本の感想:市長は大手術のためには一定の輸血も必要、麻酔も必要と回答しています。だけど、それは、当然に「痛み」を伴うものです。
しかし、市長は「痛み」には言及していません。「痛み」は税金を納める市民が受け持ったのです。今回、6億円さらにプラスして、税金から市立病院に計上したのですから。


☆「一括方式」という質問方法は、どの質問にどの回答が対応しているか分かりにくいので、この記事では分かりやすく内容を並び替えています。

☆公式の議事録
info.city.chigasaki.kanagawa.jp