工事費だけで立て替えはできない
服部前市長は、「市役所建て替えの工事費は72億円、どんなことがあってもこれより上回らない。」と公約していました。
だけど、市庁舎のような大規模な建て替えには、本体の工事費だけでなく、設計費、什器や備品の費用、コンピュータ室の移設費、仮設庁舎の費用、解体工事費など・・・さまざまな費用が発生します。
すべてコミコミで72億円で出来るとイメージしてしまいますが、さまざまな費用を含んだトータル金額、それが「建て替え費用」として市民に示されないと、市と市民の「情報の共有」にならないと思うのです。
市庁舎の建て替えにかかった費用
「では、実際にトータルでいくら使ったのか?」と調べてみると、市のまとめた情報はないのです。
そこで、概算ですが、分かる範囲で集計してもらいました。
《新庁舎の事業費》
建設工事 74億5025万円
監理委託 6588万円
基本計画 1743万円
基本設計・ 1億5750万円
実施設計委託
什器整備費用 3億5591万円
移転費用(什器・書類)2807万円
移転費用 1億5968万円
(ホストコンピューターなど OA機器)
仮設庁舎の賃貸費 2億453万円
旧本庁舎の解体工事1億9924万円
合計 86億3850万円
分かる範囲だけでも、トータルは72億円を10億円以上 超えています。
さらに、建物を作れば、毎年の維持管理費もかかります。(施設の建設に伴って増加している維持管理費も、市の財政を圧迫している。)
《入札の結果》
総合評価方式による一般競争入札(平成25年10月22日)
戸田建設・亀井工業特定建設工事共同企業体 70億9560万円(税込)
(予定価格に対する落札率は 98.72%)
次点の大成建設(株)が、税抜きで2億7000万円安かったが、総合評価入札のため戸田建設・亀井工業の共同企業体となった。
柳島スポーツ公園も同じ総合評価入札で、価格では次点のミズノが約2億8000万円安かったが、総合評価で約75億円(対予定価格 98.77%)で亀井工業ホールディングスの落札となった。
《市庁舎の維持管理費》 合計 2億2928万円
(内訳の主なもの)
清掃業務費委託費 1億3007万円
水道光熱費 6112万円
通信費 1400万円
消耗品など 189万円
毎年1億8千万円の借金を返します
4年前、「市庁舎建て替えの是非」をめぐって住民投票運動が行われました。
建て替えにかかる費用を懸念する市民の声は多く、そのさなかに、市長は「市の財政は健全である」という広報紙の特集号を発行し、財政部長は「財源に不足があれば、地方交付税によって補てんされるので問題ない」と議会で説明しました。
しかし、実際はどうなったのでしょう・・・?
平成29年6月の「総合計画審議会」の資料では、
「市庁舎再整備事業や柳島スポーツ公園整備事業などの実施に伴う市債(借金)残高の増加により、今後も公債費(借金の返済)が増高することは明らかである」と報告されています。
また、当時の市の説明は次のようなものでした。
「市庁舎の建て替えでは、29億円近くが借金となります。利息は20年の償還で考えているので、約6億円になる。合計35億円の借金になり、これを20年間で償還する計画としている。ですから単純計算では、市役所の建て替えについては、毎年1億8000万円ほどの金額を返していくこととなる。この返済計画については、市の財政推計も当然考慮しているので、大きな事業ばかりを進めることはできない。」
市役所の建て替えと柳島スポーツ公園の建設の借金を、同時に20年間返していきます。
そして「大きな事業ばかりを進めることはできない・・・」と市民に説明していた矢先に、市庁舎を超える巨額の税金を投入した柳島スポーツ公園 を建設したことになります。
いったい、市民への説明は何だったのだろうと思います。