ドキュメンターリー映画「はりぼて」の上映会

とにかく衝撃的な、笑劇的な映画ですね

若い世代の人たちにもっと、もっと見て欲しいです。

市議会の議員が自分たちの報酬を月70万円(中核市では最高水準)に増やすよう要求し、審議会はわずか3時間の非公開審議で「妥当です」と市長に答申。そして報酬を増やす条例案を議会で可決。それをきっかけに、地元の小さなテレビ局が動いていきます。

若い記者たちのスーツ姿はお洒落です。グレージャケットにブルーシャツにレジメンタルタイ、カッタウェイ襟のブルーストライブシャツにペイズリータイ、そんなあか抜けた記者がひたすらにマイクを向けて不正を追い続け、現場を撮影していきます。

テレビ局は議員の政務活動費を調べるために、情報公開請求を行います。記者たちは毎晩、山のような領収書をチェック。地道に裏付けを取る作業を行い、数字の書き加えや、常識はずれに高い印刷代、行っていない視察費など、、、政務活動費の不正使用が明らかになっていきます。不正総額6523万円、辞職議員は14名に。



情報公開請求があったことを報告

さらに、これは、茅ヶ崎市でも同様のことがある、と思ったのが、情報公開請求があったことを課外に漏らすこと。
「はりぼて」では、マスコミから情報公開請求があったことを市の職員が議長に報告。関係議員にもれて、取材の先手を打たれ隠蔽工作をされてしまう。明らかに公務員の守秘義務違反で忖度であると、記者が追及する場面も収録されています。

政務活動費の不正を指摘された議員が、いとも簡単に支持者の前で土下座するシーン、印象的です。反省している見せかけのパフォーマンスで、支持者も「あそこまで謝ったから」と許す。あとは、自分の地域のために頑張ってくれればいいと。どちらもプライドなんてない。

記者から追求のマイクを向けられた議員の、返答の間の空きぐあい、ある意味正直な表情の変化、合間にはさまれる狸の置物やカラスの映像、絶妙なテンポとユーモラスなバックミュージック。

「正々報道。」のテレビ局ポスターもかっこいいですね。若手主体の記者たちが地道に食い下がる取材だから、若い世代にも身近に行政や議会を感じてもらえる、自分たちの茅ヶ崎市ではどうなのか?と、興味を持ってもらえるのではないかな。だから、たくさんの若い人たちに見てほしいです。


www.nippon.com

☆インタビュー記事から

「感じられるのは「あきらめ」ですね。だから、僕らは報道でいろいろな賞をいただいたんですけど、むしろ無力感の方が強かったんです。あれだけ世間から評価されたけど、じゃあその後、市議会の何が変わったのかと言うと、本質は何も変わらなかった。」

「ドキュメンタリーでは、取材する側とされる側のやり取りから見せることができる。議員がしゃべっているところだけでなく、こちらが質問するところも使えるわけです。そのときの相手の表情、間の取り方、答えに詰まる瞬間…、そういうところに本質が詰まっている。」

「行政当局と議会の間に、持ちつ持たれつの関係は垣間見えますよね。・・・この映画に描かれたのは、国政の縮図でもある。・・・不都合なことをいかに答えずに済ませるか、その狡猾なやり方が、中央、地方を問わず、政治にまかり通っている、そこを問題提起したかった。」

「でも報道するなら、言わなきゃいけない。最初に言う勇気、それが必要なんです。」



茅ヶ崎市議会は、現在ネットでライブ中継をしています。
(録画もアップされているので、後日に見ることもできます。)

ただ、画面が固定されているために、議会での緊張感やヤジ、居眠りなどは映りません。
正直なところ、傍聴しても退屈、あまり面白くない、時間のムダというご意見も頂きますが、スポーツ観戦と同じで、時として、傍聴でないと分からないやり取り、リアリティもあります。