茅ヶ崎市立病院の経営形態が変わります! Part.2

経営形態を「全部適用」に移行

茅ヶ崎市立病院の組織改革の検討を行うために、令和3年1月に「茅ヶ崎市立病院在り方検討委員会」を設置した。

委員会で6回の審議を重ねた結果、市立病院の経営形態は、
「地方公営企業法全部適用が最適である」
「全部適用に変更後3年をめどに、必要がある場合には経営形態を再検討することが望ましい」との答申を受けた。  

この答申を受けて、

茅ヶ崎市立病院の経営形態を、令和5年4月から「地方公営企業法の全部適用」に移行することになった。

(令和3年12月22日 全員協議会)



令和5年度 「一部適用」から「全部適用」に変更する

市立病院は市が経営する「企業」

地方公営企業法の「公営企業」とは、市町村が経営する企業のことで、市立病院などは代表的な例になる。

市立病院の経理は、特別会計として一般会計から独立させ「企業」としている。

公営企業は、
①法適用企業:地方公営企業法の全部又は一部を適用している事業
②法非適用企業:①以外のもの  に分けられる。

では、「一部適用」から「全部適用」になることで、何が変わるのか?

経営責任者が「市長」から「事業管理者」に

今現在、市立病院の経営責任者は市長だが、全部適用になると、経営責任者は事業管理者(市長が任命)になる。

これが一番の違いになってくる。

事業管理者には、組織、人事、予算などの病院運営に関する権限が与えられるので、スピード感をもって経営改革が進められるとしている。

以下の①〜③は、「一部適用」も「全部適用」も同じで変わらない。

①市立病院の職員(医師、看護師、技師、薬剤師、事務職など)の身分は公務員
②市の事業として、救急医療、小児医療、周産期医療などを確保できる
(一般会計からの繰り入れが必要)
③予算の議決、決算の認定など 議会の意向を反映できる


「一部適用」は、藤沢市民病院、大和市立病院。
「全部適用」は、平塚市民病院、小田原市立病院、厚木市立病院、横浜市や川崎市の市立病院などがある。 

看護師の確保、職員のモチベーション、課題は残る

「全部適用」になることで、事業管理者(組織・人事・予算などの権限を持つ)を新たに設置して、その責任で経営体制を作ることで、スピード感をもって経営改革を進めるとしているが、その一方で、今現在の「一部適用」の課題はそのまま残ることになる。

①職員定数の制約 

職員定数に制約があることは変わらない。
そのため、医師や看護師などの採用・配置を機動的に行うことが困難。

さらに、令和6年度から「医師の働き方改革」が開始され、勤務医の時間外労働の上限への対応で、さらに人員が必要になる。

職員の定数566人(看護師は60%位を占める)
 
条例上の定数の制約のない「地方独立行政法人化」を検討する必要がある。

✴️ 職員数については、市議会に条例案として提出し、議決されれば増やすことはできる 
  

②経営状況に応じた給与体系 

事業管理者が給与の額を決定する権限を持つが、公務員給与制度の枠組みでの一律の給与のため、実際には、病院独自で給与体系を決めていくのは難しい。 
 
職員のモチベーションの観点からも、課題がある。

また、人件費が経営を圧迫しているので、経営状況に応じた給与体系とする場合は「地方独立行政法人化」を検討する必要がある。

✴️ 医療法人の病院と比較して、市立病院は100床あたり4億円ほど給与は高い。401床だと約16億円の差がある。



 

職員が公務員でなくなる「独立行政法人化」

「一部適用」から「全部適用」に移行して、それでも経営課題を解決できない場合、さらに経営の柔軟性やスピード感を求める場合は「地方独立行政法人化」などへの移行を再検討する、としている。

市の病院であることは変わりない。病院事業は市の組織から独立し、市が100% 出資する法人となる。

政策的な医療(救急、小児科など)は、これまでと変わらず公立病院の約割として確保できる。

大きく変わるのは、
①看護師、医師など職員の身分が「公務員」から「非公務員」になる。

②理事長の責任のもとに病院を運営していく。

経営責任者は理事長(市長が任命)になり、病院経営に関するすべての権限が付与される。 市議会と病院事業は、直接的な関係はなくなる。

③職員定数の制約はない。

医師や看護師などの採用・配置や給与体系の見直しなど、理事長の責任の下で行われる。

法人化に移行するための人事給与・財務会計システムなどに約1億円の初期費用がかかる。
 

市立病院が「選ばれる病院」になるために

地方独立行政法人化に移行する場合は、職員の身分が公務員から非公務員となることが一番のハードルになるかもしれない。

しかし、職員の身分に関係なく、

✴️ 患者さんファーストであること

✴️ 職員ファーストであること

病院の経営改善も運営も、患者さんファーストで考えるならば、その次に働きやすさという職員ファーストがなければ、良い医療を提供できない。

病院の職員全体が「患者さんのために何をすればいいのか」考えてくれているのかどうか、医師と看護師の風通しのいい連携ができているのかなど、利用者である患者さんは敏感に察知する。  

あくまで大事なのは、患者さん主体の医療看護をどのようにしていくのか、どう組みたてていくのか。

市立病院が選ばれる病院として変わっていけるのかどうか。

市立病院が目指すビジョンやミッションはどこにあるのか、理念や基本方針をどこにおいて、職員全体を巻き込んでどのように経営していくのか、曖昧な責任所在でなく、リーダーシップを持って職員全体の意識を変えていけるのか、市民は注目している。 
 

pinkgreen58.hatenablog.jp

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