ここがおかしい 議会の自主解散 part.2

いったんこの話は区切りをつけると決めた

(part.1 から続く)

という訳で、議会の自主解散と定数削減については、すでに代表者会議で検討し、議員全員の意見を聴取して、この件は区切りをつけることになった。

それでも、「協議の場を作らないなら請願が出てもいいのか」と、青木議員がいつものように恫喝的に聞こえるような大声を出すなか、11月に市民から請願が出された。

この請願については、タウンニュース、神奈川新聞が記事を出したが内容が浅く、事実関係も正確に伝えていない。



12月8日 議会運営委員会で請願を審議

12月8日の議会運営委員会で請願が審議された。

その質疑内容など、今回の請願についてまとめてみる。

請願の全文
令和4年度実施予定の茅ヶ崎市長選挙に合わせ、茅ヶ崎市議会議員選挙を同時に行うため、市議会の自主解散を求める請願

1. 請願の要旨
 令和4年10月下旬から11月上旬に任期満了に伴い実施される予定の茅ヶ崎市長選挙に合わせ、茅ヶ崎市議会議員選挙を同時に行うため、市議会の自主解散を求めます。

2. 請願の理由
 茅ヶ崎市では、統一地方選挙の日程に合わせ市長及び市議会議員選挙を実施していたところですが、前任市長の急逝に伴い市議選挙の日程がずれました。次回の茅ヶ崎市長選挙は現市長の任期満了に伴い令和4年10月下旬から11月上旬に実施される予定です。また、市議会議員選挙は、次回の市長選挙から5ヶ月余り後に、統一地方選挙の日程で実施される予定です。

 市議会議員選挙の経費は、概ね1億2千万円程度とされています。約半年以内の僅かな期間に茅ヶ崎市において2回の選挙が行われることは、本市の財政への影響の大きさからも非効率的であり、是正されない限り未来永劫に多額の選挙費用を費やすことになります。
 市長選挙と市議会議員選挙が同時に行われることは、有権者にとって選挙への関心度も高まり、このような同時選挙を行った自治体では投票率が上がった事例もあります。
 議員の任期は4年間ではありますが、是非、議会の総意をもって議会の自主解散を議決され、次回の茅ヶ崎市選挙と同日の市議会議員選挙が実施されるよう請願いたします。

令和3年11月15日
 

なぜ市長が合わせるのでなく、議会が解散して合わせるのか?

「市長に対しては4年の任期満了を想定して、なぜ市議会は4年の任期をまっとうせずかまわないとしているのか?」

「市長側が選挙日を合わせることは問わないのか?」

このような質問に対して、「市長側の責任として任期を合わせることは考えていない請願」という回答だった。

その理由について回答はなかった。

市長の任期がずれるたびに議会は解散するのか?

「今回1度だけと仮定しての解散なのか?」

「市長側の任期がズレるたびに議会は解散するのか?」 

その可能性は高いという回答だった。

つまり、仮に今回議会が解散すれば「前例になり得る」ということだが、もし次期すぐに、市長が何らかの理由で辞める場合は、議会は1年の任期さえ満たない状態でも解散することになる。

厳しい財政難にした責任は問わないのか?

「議会が仕事をしていない」「お金がないなのだから、仕事をしていない議会は自主解散して選挙を合わせれば予算の削減ができる」ということを請願では繰り返し主張されていたと思う。

しかし、ここで一回解散すれば、財政難はなくなるわけではない。 

そもそも、厳しい財政難にしたのは誰の責任なのか?

仕事をしない議会と財政難が理由であれば、茅ヶ崎市を財政難にした責任をとるかたちで議会は自主解散し、再度の民意で議員を選び直すために市長選挙にあわせて再選挙を求める、という請願の主旨にすべきではないか?

これは、以下の法的な解釈の部分にも関係してくると思う。


法的な解釈の問題 

昭和四十年法律第百十八号
地方公共団体の議会の解散に関する特例法
(この法律の趣旨)
第一条 この法律は、地方公共団体の議会の解散の請求に関する世論の動向にかんがみ、当該議会が自らすすんでその解散による選挙によつてあらたに当該地方公共団体の住民の意思をきく方途を講ずるため、地方公共団体の議会の解散について、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の特例を定めるものとする。
(議会の解散)
第二条 地方公共団体の議会は、当該議会の解散の議決をすることができる。
2 前項の規定による解散の議決については、議員数の四分の三以上の者が出席し、その五分の四以上の者の同意がなければならない。
3 第一項の議決があつたときは、当該地方公共団体の議会は、その時において解散するものとする。

都議会の不祥事がきっかけで制定

この議会の自主解散を定めた特例法は、1965年の都議会の事件がきっかけで制定された。

当時は、都議会議長の報酬や交際費が高額だったため、議長の座をめぐって自民党内では賄賂が飛び交っていた。
しかし、議長などが逮捕され、計15人の都議が贈収賄で訴追された。その後も続いた一連の不祥事に、都議会解散を求めるリコール運動が都内各地で起きた。65年に国会で「地方議会解散特例法」が成立し、都議会が議決を経て自主解散した。(都議選が統一地方選挙と2年ずれて施行されるのは、この時の解散のため。)
このときの選挙では、立候補者に厳しい目が向けられ、社会党が第一党となり、美濃部亮吉革新知事の誕生となるきっかけとなった。(Wikipedia より)

住民の意思を新たにきくための解散

つまり、特例法の第一条にあるように、
「世論の動向にかんがみて」「あらたに住民の意思をきくために」地方議会は、自ら進んで解散を行えるとしている。

今回の請願の場合、「住民の意見はどのように確認しているのか?」という質問には、身の周りでの聞き取り程度ということだった。

それを茅ヶ崎市の世論の動向と言えるのかどうか。

また、有権者が自ら議会を解散させるには、「地方自治法第13条第1項」にある議会の解散請求権利が認められている。
しかし、これはすごくハードルが高くて、「地方自治第76条第1項」にあるように、有権者の3分の1の連署を集めなければならない。

請願の主旨をずらしている

請願の紹介議員は、「まず議会で公式の場を持って議論をすすめるための請願」と説明したが、請願の主旨を勝手にズラしている。

請願のどこにも書いていないことの主張にすり変わっている。

市民が傍聴出来ない、非公開で非公式な代表者会議で、市民に見えないところで、自分たちの会派から「議会の自主解散」の提案を出しておいて、それが通らないとなると、いきなり「あれは非公式の議会内の議論なので、公式の場で議論した方がいい」とよく言えるものだと呆れる。

議会が任期中になすべきことは、なぜこのような財政難におちいったのか、その原因、要因となったものを充分に議論することが先決。

それをやらないから、そもそも財政難になった。

本会議の採決 賛成4名、反対23名

8日の議会運営委員会の討論では、委員6名中、請願に賛成は2名。

本会議での採決では、請願に賛成は4名、反対は23名という採決になった。
 

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