12/20 一般質問「環境事業センター粗大ごみ処理施設整備」について

110億円以上の巨額入札になる

令和4年に予定されている「粗大ごみ処理施設」の入札は、建設費は約42億円、20年間の運営管理費は約65億円と算出されていることから、110億円ほどの巨額の入札になる。

事業方式は「DBO方式」になる。
柳島スポーツ公園の「PFI 方式」と異なるのは、「DBO方式」は市が市債などで借金し、自分で資金を調達する。柳島スポーツ公園のように事業者が調達して市が返済する方法は金利が高くつく。 

ごみ有料化による収入は、粗大ごみ処理施設建設や焼却灰の処理費用に回される。

市は「ごみ処理」という分野で平準化して収入を使う、と説明するが、戸別収集には使われない。 

いずれにしても、焼却灰の処理費用など、この先、ごみ処理に必要な金額は増加して、厳しい財政状況はさらに厳しくなっていく。

入札方式と入札の透明性について

○杉本啓子 議員
 粗大ごみ処理施設の設計、建設、運営などを行う事業者を選定するための入札がこれから行われるが、入札方式や選定委員会のスケジュールなど、入札の概要を伺う。
また、入札に当たっては要求水準書が作成されるが、どのようなスケジュールで、どなたが作成するのか?

 さらに、入札での事業者選定の透明性と説明責任について伺う。
今回、市の作成した事業方式の評価では、事業者選定の透明性は「PFI方式」と「DBO方式」が最も高いとして二重丸がついている。
しかし、柳島スポーツ公園のPFI事業者選定委員会では、摘録とも呼べないような僅かな記録しか残 されていないため、どのような議論があって、事業者が選定されたのか、選定の経緯が全く分からず、透明性と説明責任が欠如しているとして、市民から不服審査請求が出された。
 この市民からの請求について、審査会からは、「選定委員は大規模なPFI事業について、事業者選定の中核的な役割を担っているのだから、審議の経過を確認できる内容とするのが望ましい」「今後の行政文書事務を適正かつ円滑に行うために適正な対応を望む」と市長への答申が出されている。今回も粗大ごみ処理施設整備の事業者選定は非公開で行われるが、市民への事業者選定の透明性と今後の説明責任をどのように行うのか?

○重田康志 環境部長  
 粗大ごみ処理施設整備・運営の入札については、総合評価一般競争入札または公募型プロポーザル を予定している。
入札公告は令和4年4月ごろとし、資格審査や対面的対話を経て、8月頃に事業者を選定していく予定。
 また、事業者の選定に当たり、学識経験者等から意見を聴取する必要 があるため、廃棄物、建築、会計、法律などの専門家5名による選定委員会を設置した。本年度から令和4年度にかけて委員会を6回程度実施し、要求水準書や落札者決定基準などの審議と提案審査を行い、事業者の選定を行っていく予定。
選定委員名については、事業者等からの故意の接触や問合せを避けるため、会議内容については事業者のノウハウや入札の情報が含まれることから、 共に非公開としているが、落札者決定後には、議事録や資料を含め、速やかに公表することとする。

入札の要求水準書について

○杉本啓子 議員
 柳島スポーツ公園のPFI事業者選定の入札時に作られた要求水準書には、事業者が施設を優先利用できる枠や、独立採算での事業が可能であることなど、事業者が利益を得やすくするための条件がいくつも入っていたが、事前に市民説明がなかったことで、開園後も施設利用や運用をめぐるトラ ブルが続いている。今回作成される要求水準書には、事業者に何らかの優先利用を与えたり、独自の事業を認めるなどの内容は含まれるのか?  

○重田康志 環境部長  
 粗大ごみ処理施設整備・運営のDBO方式においては、事業者による公共サービスの対価、今回の 事業では、市が搬入した燃やせないごみや大型ごみの受入れと処理を行うことに対し、サービス購入 費を支払う事業となる。事業収益は、公共から支払われるサービス購入費のみとなり、要求水準書において優先利用や独自事業を行う内容はない。 

財源の確保について

○杉本啓子 議員
 新たな粗大ごみ処理施設の設計、建設費と20年間の運営経費として、どれぐらいの金額を想定しているのか、また、そのうち茅ヶ崎市の負担分の金額はいくらか。 

 また、財政健全化緊急対策の中で 相当に大きな金額が今回動くわけだが、設計、建設費と20年間の運営経費について、交付金や起債、 一般財源はどう充てられるのか? 財政健全化緊急対策の中で、財源の調達方法について伺う。

○重田康志 環境部長  
 昨年度の事業方式検討時には、DBO方式で、建設費は約42億円、運営管理費は約65億円 と算出している。
建設費については、廃棄物処理施設整備交付金が約3分の1と起債の活用を図り、その他は寒川町の負担金と、ごみ減量化・資源化基金を充当する予定。運営管理費については、寒川町の負担金と一般財源により財源を確保する予定。

○杉本啓子 議員
 財政健全化緊急対策では、今後も財源の大幅な不足が見込まれると想定していて、普通建設事業費は原則認めないとしている。粗大ごみ処理施設整備に係る市債発行などはどのように事前に想定されていたのか?

○重田康志 環境部長
 財政健全化緊急対策の具体的な取組に、民間活力活用の加速化や広域化の連携があり、本事業においては、「DBO方式」による民間活用や寒川町とのごみ処理の連携を行っていることで、経費の削減と事務の効率化に取り組んでいる。
粗大ごみ処理施設整備事業については、前総合計画 の第4次実施計画において、旧施設の解体に要する経費等を計上し、その位置づけの下で事業を実施してきた。
現在は、次期実施計画の策定を延伸しているさなかではあるものの、本事業の必要性や事業の進捗状況などに鑑み、引き続き、解体、撤去等に要する経費を予算計上し、事業を進めているところ。今後においては、来年度に予定している次期実施計画の策定経過において、本事業の必要性等を踏まえながら、引き続き議論を深めていく。
 
○杉本啓子 議員
 今回の粗大ごみ処理施設整備で想定される起債分の金額はどれぐらいになるのか? 

○重田康志 環境部長  
 粗大ごみ処理施設の整備に係る財源については、その一部として市債の発行を想定しており、 事業方式検討に際して実施したバリューフォーマネー算出時における市債発行見込額は約25億円 となっている。
 
○杉本啓子 議員
 今回、建設費については一度に起債が行われるということだが、財政健全化緊急対策では、これから市債の返還額が急激に増加して高止まりに続いていくことが確実としている。そうであっても、老朽化した粗大ごみ処理施設の建替えは優先的な起債になるとすれば、粗大ごみ処理施設整備によって新たな起債が加わることは、今後市債の返還額が増えていく中で、影響はどのように出てくるのか? 
 
○重田康志 環境部長
 これまでの行政運営と同様に、今後においても、本事業の実施も含め限られた財源の中で、し かるべき優先順位に基づき、事業を実施していく必要があるものと考えている。



(写真上)粗大ごみ処理施設の建設地。地下を掘ったら、市が昭和の時代に埋めた廃棄物が大量に出てきた。その処理費用が5億6000万円!

事業方式として選択された「DBO方式」について

○杉本啓子 議員
 DBO方式では資金調達は市が行うことになる が、資金調達の想定額とその金額の資金調達を市が行った場合と、PFI方式のように事業者が行った場合の金額の差額を伺う。(質問への市の回答なし)

 事業方式の比較については、柳島スポーツ公園の事業方式は、「PFI方式の混合型」を採用した。 この混合型というのは、施設の利用料や事業者の行うスクールやイベント収入、駐車場料金など、収入は全て市ではなく事業者に入ってしまうが、今回のDBO方式では、手数料などを含め、事業者に入る収入はどのようなものがあるのかを伺う。

○重田康志 環境部長
 公設公営、公設プラス長期包括方式、DBO方式では、資金の調達は全て市が行うため、事業者は融資を利用しないこととなる。
今回の事業では、検討した全ての方式で交付金や起債の活用が可能であるため、BTO方式では、建設費において、他の方式で一般財源に当たる部分で金利を含む市中借入れを利用することとなる。事業者の収益は市から支払われる費用のみとなり、手数料など 事業者に独自に入る収入はない。

○杉本啓子 議員
 今回のDBO 方式では事業者に手数料収入などは入らないとのことだが、柳島スポーツ公園のPFI方式では、 公共施設の利用料やイベント収入、駐車場料金、独自の事業収入、全て事業者が受け取るので利益を渡し過ぎだと思っている。
今回、事業方式を比較して、市は、DBO方式が最もVFMがあり経済性に優れた事業方式としているが、柳島スポーツ公園の事業方式の選定のときに最も評価が低かったのがDBO方式だった。これはなぜ真逆な評価になっているのか? 

○重田康志 環境部長  
 昨年度の事業方式検討において、経済性の定量的評価、事業方式特性の定性的評価、民間事業者の参入意向の3つの視点で総合的に評価した結果、DBO方式が望ましいとの結果となった。理由としては、最もバリューフォーマネーがあったこと、選定における透明性や財政支出の平準化などの評価項目で優れていたこと、民間事業者の参入意向の高い方式であったためとなった。

SPCと呼ばれる特別目的会社について

○杉本啓子 議員
 DBO方式では、SPCと呼ばれる特別目的会社が設置される。
市民にとっては、委託と指定管理の違いも分かりにくくて、多くの市民の方は、公共施設の利用料や駐車場料金は、市に入る、市に還元される委託のイメージを持っている。指定管理の場合は、事業者の収入になっていることも知られていなくて、さらに、PFI方式やDBO方式が新たに加わって、SPCと呼ばれる特別目的会社が設置される。なぜ、SPCと言われる特別目的会社が設置されるのか、その目的や役割 などについて伺う。

○重田康志 環境部長
 一般廃棄物の処理責任は自治体にあることから、安定した継続的なごみ処理が必要となる。そのため、本事業については、運転、運営をSPC、特別目的会社の設置による実施を前提としている。これは、SPCが、本施設の運営のみを行う会社として設立されることから、財務的に親会社 から独立しているため、親会社の経営状況の影響を受けず、事業期間内を通じて運営の安定性が高いことから設置する。

 
○杉本啓子 議員  
 SPCを設立する場合、設立を行う企業はどのようなメンバーになるのか。 

○重田康志 環境部長  
 SPCを設置する企業は、入札参加時の構成企業グループのうち、構成企業グループの代表企業単独、または代表企業とその他の企業となり、SPCに出資する企業となる。
また、運転管理業務や維持管理業務を実施する企業は、本事業の中心的な役割を担うことから、運営事業者であるSPC への出資を求めている。
 
○杉本啓子 議員  
 SPCをめぐるお金の動き方は、委託や指定管理とどう違ってくるのか。
DBO方式における事業スキームと、その中でのSPCの役割や、SPCへの出資金や配当金などのお金の流れについて伺う。 

○重田康志 環境部長
 DBO方式においては、施設建設においては市が建設事業者と請負契約を結び、施設の運営、維持管理についてはSPCと長期包括委託契約を結ぶこととなり、市はSPCに運営、維持管理に係る費用を支払う。
SPCは、業務にかかる費用を事業者に支払い、事業で得た利益は、配当金として 出資者に随時還元するか、不測のトラブル等といった突発的な事象に対応するため内部留保し、運営期間終了後に最終的に残った利益を株主に配当することとなる。SPCは、その事業の運営のみを実施する会社として設立され、財務的に独立しているので、SPC内で収支が完結することになる。
 
○杉本啓子 議員  
 SPCというのは、いわゆるペーパーカンパニーのようなもので、会社が持つ資産を移し替えるための貯蔵庫のようなものなので、原則として、倒産というリスクが存在しない。SPCが親会社から独立して設置される目的は、親会社が経営悪化で事業運営を継続できない 状況になった場合でも、SPCは財政的に独立しているため事業を継続できるという一面もある。
ただ、SPCの設置にはコストがかかり、市はそのための経費も負担するので、従来方式に比べてむ しろ費用増加となるのではないか?

○重田康志 環境部長  
 事業方式検討時のバリューフォーマネー比較において、公設公営以外の公設プラス長期包括方式、 DBO方式、BTO方式は、SPCの経費がかかるが、他の部分で縮減が見込まれるため、いずれも公設公営方式と比較してバリューフォーマネーが出る結果となっている。
 
○杉本啓子 議員  
 情報公開しても、こういったSPCの収支金額、お金の流れは黒塗りで出てくる。SPCの収益の透明性の欠如がPFIのデメリットとして挙げられている。
事業者の収入とはいえ、これは税金をベースとしての運用による利益なので、収支についてどのような透明性を持たせるのかを伺う。

○重田康志 環境部長  
 本事業における運営業務は20年間という長期間にわたる事業であることから、事業の安定継続を確保するため、各事業年度終了後、当該事業年度における事業収支報告をSPCから受けることを予定しており、事業の健全な運営を阻害するおそれがある事象、あるいは原因がないかを確認し、課題等があった場合にはSPCと協議し、改善していくことで、事業収支の透明性を図っていくことを予定 している。 

長期契約の柔軟性について

○杉本啓子 議員  
 PFIやDBO方式では、契約期間が20年間という長期になるので、契約変更が自由にできないデメリットがある。
これも委託や指定管理と違うところで、柳島スポーツ公園の長期の20年契約では、契約変更に柔軟性がないデメリットが顕著に出ていると思う。今回、維持管理、運営の業務について、コロナ感染や自然災害などの変動にどう柔軟に対応す るのか、考え方を伺う。
 
○重田康志 環境部長  
 運転維持管理業務においては、契約内容を履行することが前提だが、想定外の経年変化、原因不明による劣化、停止によって改修、補修工事が必要になった場合には、市と協議を行い、対応する予定。自然災害など不可抗力による費用の増大などは市のリスクとして整理しており、適正にリスク分担することで、事業者の一方的な負担とならないよう配慮することとしている。

以上