反対しました! 取りあえずの「総合計画」

令和2年9月14日
総務常任委員会  

茅ヶ崎市総合計画(議案第106号)の議案がかけられた。

次の総合計画は、将来の茅ヶ崎の都市像を「笑顔と活力にあふれ みんなで未来を創るまち 茅ヶ崎」と定めることとしている。

総務常任委員会でのやりとりを抜粋して、総合計画のどこに問題点があるのかを整理する。

令和 2年 9月 総務常任委員会−09月14日-01号

必ずしも総合計画を作る必要はない

◆杉本委員 平成23年の地方自治法の法改正で総合計画の策定義務は撤廃され、策定の判断は各市町村に任せられている。私もいろいろな市民説明会を回ったが、市民に「策定しなくても構わない」選択肢があることは説明していない。
説明しないことがそもそもフェアでない。自治基本条例では、改正すれば策定しなくても構わないという選択肢は出てくる。なぜ市民にきちんと説明せず、始めから計画ありきなのか。

企画経営課長 地方自治法の改正で総合計画の策定義務が外れていることは確かである。義務でないが、その地域の実情に応じたスタイルで長期ビジョンを示すべきというのが学識の意見で、本市としても長期ビジョンを持って行政運営をやっていく必要があると考えている。

新型コロナの影響が入っていない計画

企画経営課長は、総合計画審議会委員は、今年の3月で任期満了で解職となっている。現在、4月以降、総合計画審議会の委員がいない状態になっているので、総合計画審議会にコロナに関しての意見を伺うということはしていない、と回答している。

◆杉本委員 審議会の意見は4月以降聞いていない、市民の意見もまだ聞いていないということだが、明らかに、新型コロナウイルス感染の影響で、市民生活に大きな価値観の変化は生まれている。
本議案の総合計画は、コロナ感染以前にそのほとんどが検討されてきた計画であるから、コロナの影響に伴う経済とか社会活動の変化に対して、どれだけ対応できる内容なのか、立ち止まって検証する必要があると思うが、そこは検証されたのか。

理事・企画部長 指摘のあったコロナの部分については、行政のほうでコロナの検証、分析を行った中、今回の基本構想については、そういった不測の事態が生じた中でも対応できる構造のものにしている。今後、具体の検証等については、実施計画策定等々について、2年間等々の検証を踏まえた中での見直しを含めた考え方の下、進めていきたいと考えている。

(私には企画部長が何を言っているのか意味が分からなかった)

◆杉本委員 案の中で地域経済の活性化とか、交流とにぎわいとか、多様な働き方といった言葉が出てくるが、まさにこういった言葉の内容の一つ一つが、コロナ感染の影響で人の集まり方が変化する中で変化してきた。
それは市民生活だけでなくて教育とか様々な分野にわたっているが、そういったことを丁寧に一つ一つ検証されたのか。

企画経営課長 総合計画審議会に関しては、審議会が存在していなかった関係で意見を伺うことはしていない。ただ、コロナウイルスの影響に関しては、全庁でその影響について考え、今回の総合計画に記述すべきか庁内で議論してきた。結果的には、議案部分には特に修正を加えず、前提条件のところに加筆するという結論に至った。

市民から出された課題

◆杉本委員 パブリックコメントなどを見ると、3つ大きな課題が市民から示されている。
①策定に多くの時間と労力と経費がかかること。
②市の事業が総花的に位置づけられているため、何が重要で何が緊急なのか見えづらい
③長期的な計画になるために、実施に当たって財政上の担保が十分にできなくなるのではないか。 
今回、この3つの課題は解決されたものとして本議案の総合計画を出してきたのか。

理事・企画部長 今回の総合計画基本構想については、政策という大きな視点での位置づけである。具体的な事業、財政推計等については、実施計画等で市民に示し計画を進めていく。


◆杉本委員 たとえ理念でも、財政上の担保がこの計画を出す上の大前提になると思う。特に今回、向こう10年間については「財政健全化緊急対策」も出されているという異例の中での策定になっている。
現在の厳しい財政状況というのは、現在の総合計画で財政上に大きな乖離が出てしまった、それはコロナウイルスが原因ではなくて、現在の総合計画がもたらしたもので、現在の総合計画の結果そのものと思う。
そういった総合計画の理念とかみ合わないダブルスタンダードで来てしまって、大きな乖離が生まれている。それが今の財政状況の厳しさへとつながっている。
今回、本議案の総合計画にそういった反省がしっかり組み込まれていないといけない。これは、後で考えるということでは間に合わないと思う。そのあたり、今の答弁だとよく理解できなかったが、いかがか。

企画経営課長 10年前に総合計画を策定して9年と何か月やってきて、当初の推計どおりいっていないのは、当然、そうであっていいという話ではないが、行政運営を進めてくるなかで、市民ニーズの変化や、計画時に想定していないニーズも発生する。計画に予定していたものにプラスして取り組まなければいけないことが出てくる。結果、当初予定していた財政推計どおりにいかないのは避けられないと考えている。

◆杉本委員 総合計画は単なる理念に終わるなら、同じことが繰り返されていく。止めるための担保がない。止めるためには、理念ではなくてシステムとして構築されている部分がきちんと示されていなければ、担保できないと思う。
今回、現在の総合計画がもたらしてしまった財政上の問題、そういった反省から、システムそれ自体を同じことが繰り返されないように組み替えていくことは考えていない状態で出てきた総合計画なのか?

企画経営課長 今回提案している総合計画は、これまでとは違うスタイルで策定している。現行の総合計画は、政策、施策と組織を連動させるとか、細かい施策体系とかきちんと形づくってきた。これは、それなりに一定の効果があった一方で、急速に変化する社会情勢に、効率的に柔軟に対応できるかといった部分で課題があったと考えている。
今回は、基本構想、基本計画、実施計画という3層での基本構想部分のみで、まちづくりの将来目指すべき都市像と施策の大綱、まちづくりの理念を定めるにとどめている。
具体な施策体系とか事務事業は実施計画に位置づけ、また、随時必要な見直しはその中で図っていくことができるスタイルにした。


◆杉本委員 市民説明会とかパブコメを読んで、この総合計画を市民がどう受け取っているか、行政と市民と大きな乖離があると感じている。
必ず達成できる目標、計画ではなくて夢を語ったものだという説明もあったが、文章それ自体もコンサル会社がどこでも通用するものをつくって、それらしい言葉をつなぎ合わせたようなものという意見も多かった。
今、茅ヶ崎市政は、かなり異例な事態の中で総合計画を作成するただ中にいる。
一つは、コロナ感染の影響で市民の価値観の変化が起きている。
もう一つは、財政健全化の緊急対策が出されているような厳しい財政状況、それから市立病院の問題がある。市立病院の経営改善のためにリバイバル・ロードマップが発表されて、さらに加えてコロナ感染の影響も大きく受ける。
市街地の緑の保全は、壊滅的な状況にあるが、自然環境へ求める価値観もコロナ感染で大きく変わってきている。
こういった中で、現在提出されている総合計画は、このコロナ感染の意見を踏まえても変わるものではないという、前回の一般質問で市長の答弁があった。矛盾があるのではないか? 

市長 そういった個別具体的な事業に対しては、様々な実施計画などで対応していきたい。

 

議会に説明がないからこうなるという意見も

議会側に対して、コロナで世の中も変わるなか、次の実施計画は2年後に遅らせて、そのときに総合計画の中身もマッチするよう変更をかける、という説明があれば何でもなかったのではないか。
取りあえず出すが、必ず見直してモデルチェンジすると議会に説明しないから、こういうことになるのではないか。
時間がない、審議会はない、つくったものをいきなり出して来て、来年度の予算編成もあって焦ったのが見て取れる。
何年もかけて、審議会もやって、議会に説明するところを飛ばした。説明があれば、議会も精査できるのだから物すごく乱暴だと思うがどうなのか。

企画経営課長の回答「指摘は、まさにそのとおりと考えている。より丁寧な対応を心がけるべきだった。実施計画の策定の中で柔軟に対応することを予定している。総合計画を見直して修正する機会は設ける必要がある。」

明らかに先が読めない、財源も来年、再来年は減収が予想され厳しいなかで総合計画をつくってしまった。笑顔があふれる云々といっても、テレワークなど茅ヶ崎の魅力も変わり、スタンダード自体が変わってきている。それのマッチングに総合計画に口上が書いてあるだけで、やっつけ仕事と言われてもしようがない。いかにも短絡的に出してきて、これで何でも解釈できてしまうと感じるがどうなのか。

理事・企画部長の回答「本来6月を9月に提案した中、議会への説明が丁寧でなかった。行政側としては、コロナ禍の影響を一つのターニングポイントと捉えて、今後の行政運営を進めるなかで、しっかりと議会に説明するとともに、総合計画の見直しも含め進めていきたい。」

今、世の中の流れも、価値観も変わってきている。現行の総合計画のプランの頭のままで全て対応できると市長は判断したのか。
3年に1度の見直しと5年に1度の見直しだが、2年後の実施計画に前倒して総合計画をマイナーチェンジをして出すなどあってもよかったと思う。3年で見直すのは雑ではないか。

市長の回答「実施計画は2年後となったが、その間に、コロナ以外でも対応があるかもしれない。総合計画も変わってくる可能性は担保しないといけないと思っている。」

だからこそ、それ以前につくったものとスペックが根本的に違うものについて、ここで来年の予算があるから通してくれではなくて、先に行ったら必ず修正するという報告が議会にあってよかったと思う。その部分は、二元代表制である以上、きっちりしたものを出してくれなければ、こっちも困る。各委員の中でも、少し乱暴だったのではないかという話はあることは踏まえてほしい。これだけ私たちが言うことに関して、市長はどう思っているか。

市長「意見として、重く受け止めさせていただく。」

市長は、見直せるようだったら見直すと言ったが、今回は5年では遅い。実施計画と合わせての修正は必要だと思う。市長は機会があるならというが、機会がなければやらないのか。

理事・企画部長の回答「令和3年度、4年度については実施計画ではなく実施方針で行政運営を行っていく。その2年を経た段階で、再度、検証や分析をすることで、それがその機会と捉えて、抜本的な見直しや改定を視野に入れるのか、体制を整えて進めていきたい。」


市民に説明しない、議会に説明しない、

いったい誰に説明したのか?
  

本案については、杉本から継続審査の動議を提出した。

継続審査の動議は賛成少数で否決され、本案は原案のとおり可決された。 

議決では市民自治の会として反対しました

 
 総合計画については、総合計画審議会からの答申、その後の市民意見を聞く機会においても、今般の新型コロナウイルスの影響を反映した議論は行われていません。

「第1編 総合計画の策定に当たって」の中では、「不透明な経済見通し」と「安全・安心な暮らし」への対応の一部にCOVID-19の文言が登場するのみで、財政見通しや財政方針、市民意識調査、本市の主要課題にも反映は見られません。「第2編 総合計画」そのものの部分、将来の都市像、行政の基本姿勢にも、7つの政策目標とその方向性や成果指標にも、何一つコロナ禍の影響で起こっている市民の暮らしや意識の変化に対応した行政の果たすべき役割を検討した痕跡が見えてきません。 

 また、総合計画は、自治基本条例18条の規定を根拠にしていますが、条文には、総合計画は「財政の見通しと整合性を図って策定され、又は改定されなければならない」、さらに、「政策は、法令の規定によるもの、緊急を要するもの又は著しい社会情勢の変化によるものを除き、総合計画に根拠を有するものでなければならない」と書かれています。

 今回のコロナ禍の影響は、この著しい社会情勢の変化に該当するでしょう。実施計画の策定を2年先送りにし、次年度の事業実施方針を示したことは賢明な判断と言えますが、総合計画がなければ、どうしても次年度の計画や予算が立てられないということはないと解釈されます。

 ちょうど策定の時期に大きな社会の変化があったこの時期だからこそ、計画を改めて見直す機会をつくり、将来の都市像を描くために、総合計画の実施を1年間でも先送りすることは可能であったと考えます。

 とりあえず来年4月に間に合わせ、その後に見直すかどうか検討するという姿勢が見え、内容より策定ありきの感が否めません。そもそも2層構造にした目的は何だったのか、市の目標を具体的に市民と共有し、実効性のある計画を推進することが目的で、現総合計画から2層構造にしたはずです。

 各種の個別計画と有機的に連動するためにも、次期総合計画の内容の見直しが、策定のこの時期にこそ必要と考え、本議案には反対をいたします。 
         

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