なぜ女性議員がもっと増えないの?

西山正子さんらがパネリストに

 5月15日、「女性の政治参加を進めるために」というシンポジウムが平塚市中央公民館で開かれました。

元茅ヶ崎市議の西山正子さん、前平塚市長の大蔵律子さん、なかまの会などの代表としてお二人の選挙活動を支えた小山博美さんと長坂紀子さん、平塚市議の江口ともこさん、の5人がパネリストになり、女性議員をもっと増やしていくためにどうすればいいか語り合いました。

日程がコロナ感染の影響で再延長になっていたものの、会場には40名ほどが集まりました。



シンポジウム「女性の政治参加を進めるために」2022年5月15日 

女性議員がいなかった茅ヶ崎市議会

 1983年までの8年間、茅ヶ崎市議会には女性議員が一人もいませんでした。

女性議員を誕生させようとボランティア主婦を中心に市民が集まり、すべてカンパというお金のかからない手作り選挙で、西山さんを市議会に送り出したのです。

それから40年たって、もっと女性の政治参加は進んでいるはずなのに、2021年の国会議員の女性比率の割合はわずか9.9パーセント。

191ヵ国中166位です。 

女性議員が増えても、会派ボスの意見が優先

 現在の茅ヶ崎市議会は9名の女性議員がいて、議会に占める女性の割合が32%。県内の市では鎌倉市、逗子市に次ぐ第3位。

とはいえ、パネリストの方も言われたように「女性議員がいくら増えても、会派のボスの意見が優先されてしまう」という現状。そこは、「まさにその通り」と実感します。

さらに、会派に所属しない議員は、議会のなかで同等の発言権利は認められていません。

たとえば、「議会運営委員会」は、3人以上の会派に所属する議員しか参加できない。定員は10名と定められているが、同じ会派から3人も委員に入る一方で、2人会派や会派に属さない議員は、重要な決定の場に始めから参加できないのです。

予算・決算委員会も同様で、こうなると男女比率以前の問題です。

他市では、一人会派でも認められ参加できる進歩的な議会もあるのに遅れています。

人海戦術が有利な選挙システム

 私が初出馬したときに、最初に手に取って読んだ本が、西山さんたちの選挙活動をまとめた『茅ヶ崎駆け出し市議レポート 女と政治の交差点 』でした。

図書館で借りて来て、手渡してくださった方がいた本です。当時のうらやましいほどの熱気が伝わってきました。

 現在の茅ヶ崎市議選挙では、ポスター貼りに回る場所は350ヶ所。それでも大変なのに、西山さんの時代は1200枚もの板にポスターを貼り、掲示する家の了解を取って設置、投票が終われば回収する、、

昭和から続いている人海戦術が有利な選挙は今も変わりないです。

既得権を持つ現職にとってはこの方が都合がいいのでしょう、女性の進出をはばむ一因でもあります。

駅に立っている時間あると思いますか?

 駅頭もそうですね。

子育て中の女性は早朝からお弁当を作り、子供を学校に送り出す。介護中の女性は、朝はデイサービスに高齢者を送り出し、夕方には食事作り。

駅に立っている時間があると思いますか?

元ビートルズのジョン・レノンが、丸5年息子の育児と家事に専念したことがありました。記者のインタビューで「毎日、何をしてるのですか?」の質問に「おむつを替え、お話を聞かせ、パンを焼いてる。」と答えたジョンに「育児の他には何を?」と聞くと、ジョンは「他に何ができるというんだ」と答えたという話を思い出します。

「クオータ制」の導入を進めてほしい

私がトライしたのは、どこの党や団体にも属さず、介護しながら、少人数のスタッフで女性が出馬して行くことでした。(この条件は男女関係ないかもしれませんが。)

 今は、若手の候補者は事務所がガレージだったり、私も自宅の台所が選挙事務所でした。携帯やスマホがあれば連絡には困らない、ノウハウはネットでも検索ができる。選挙カーなんていらないはずです。

それでも、なぜ女性議員がもっと増えないのだろう?

「やっぱり過酷ですよね。」多くの女性の立候補者から出て来る言葉です。

私自身も「いったいどこまで痩せるんだ?」と心配され、過労で救急車で運ばれたこともありました。家事と両立させようとすれば、早朝から深夜まで休み無し。体力的にも精神的にも、出産や子育て中、介護中の女性にとっては本当に厳しく追い詰められていきます。

 西山さんは「女性はなかなか選挙に出られない」として、「クオータ制」の導入をシンポジウムで提案されていました。

候補者や議席の一定数を女性にあらかじめ割り当てる制度で、北欧やヨーロッパなどで導入が進んでいます。

私も自分の経験からも、これまでの男性中心に作られてきた選挙方法に、女性の参画を促すのはナンセンスでしかないと思います。

女性、男性、女性でも男性でもない選択もあるなかで、多様性を失う社会は硬直化していくだけ。思いきりよく「クオータ制」の導入を進めてほしいです。

茅ヶ崎市議会議員 杉本啓子