香川公民館の雑木林 part.1 緑のまちづくり基金は使わない

保存樹林は更新しないという報告

2020年3月 
香川公民館南の雑木林について、館長から「2020年3月31日で保存樹林の更新は行わないと地主さんから話があった」と駒寄川水と緑と風の会に連絡があった。

この雑木林は 698平米の小さな雑木林だが、公民館建設委員会の熱意と地主さんのご好意で保存樹林に指定され、市民が立ち入りを許可されている。

近隣の子ども達も含め年間400〜500人が雑木林から恩恵を受けている。

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「緑のまちづくり基金」は使わない

茅ヶ崎市には「緑のまちづくり基金」があるので、それを使ってほしいと市の都市部景観みどり課を訪ねたが、
「5年前から地主さんは買い取りを希望されていたが、基金の対象にならない、と断った」と市の回答。 

現在の基金は4億5千万あるが、「良好な自然環境を形成している緑地でないと基金の取り崩しはできない」という理由だった。

しかし、市はこの「緑のまちづくり基金」で、平成8年に「松ヶ丘緑地」を15億7千万で、平成21年に「松浪緑地」を1億6千万で、市民の要望により買い取っている。

この時は、「市街地にしかみどり基金は使えない」としていたのに、清水谷を特別緑地保全地区にした平成23年度には「重要度の高い自然環境を保全するとき」に活用するとし、平成25年には「さらに500平米以上の市街地の緑地にも活用する」とし、30年にまたそれが外されるという、その場しのぎの対応。

その時々で、市は自分たちの都合が良いようにガイドラインを変えるという一貫性の無さで、「パブコメをかける」と審議会で説明していたが、パブコメもかけていない。

市は市民に報告しなかった

「茅ヶ崎市に5年前から買い取りもお願いしたが、買えないと言われたので、手放すことにした。」

市民が雑木林を大切に思っていることを知っていた地主さんは、ご好意で5年前から市に買取りを要望されていた。

しかし、市民は茅ヶ崎市が買わないと言っていたことを知らなかった。5年まえから市民が地主さんの意向を知っていたら、雑木林を残す方法を考えることができた。

もうこのタイミングでは 業者から茅ヶ崎市が買い取るしか雑木林を残す方法はない。

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香川公民館の雑木林

雑木林は、1990年から保存樹林として登録している。 

30年間も市民に親しまれてきたことになる。

香川公民館は、市内5つの公民館で、隣接地に雑木林のある唯一の公民館。

広さ698平方メートルの小さな雑木林だが、これまでの調査で植物72種、昆虫類約150種、鳥類25種などの生物が確認されており、年々緑地が減少している湘北地域にあって貴重な環境となっている。

「公民館まつり」「夏休み自由広場」などの公民館主催事業の場として活用され、保育や自然系サークル、地域の小学校・学童保育などにも利用されている。

開館当初から自然系サークルが保全作業を実施し、近年は公民館と利用者懇談会の共催で年2回の管理作業を行っている。


5年ほど前に相続が発生したとき、市民集会で住民も買い取りを市に要望し、その時は保存樹林として更新していただけた。

地権者の方も相続した時から、市に買い取りを要望していたが、歴代の公民館長や、「保存樹林」の担当課である景観みどり課長から、「市の財政では買い取れない」と言われていた。

それは 2020年の3月に、市民は景観みどり課の職員から初めて聞いた話だった。

5年も前からの話を、3月に初めて知った。

市教育長あての要望書

2020年4月9日
市民は、香川公民館の雑木林の件で、市教育長と面談をした。

すでに、今年度の事業計画にも雑木林を使った事業があるのに、「現状、雑木林の活用は予定していない、公民館では市民ニーズのある事業を続けるのも難しい。公民館の事業を続けるために苦渋の選択をした。これからは大変難しい状況なので、事業も形を変えて行くことを考えている。」という回答だった。

教育長は、社会教育のことを理解できているのだろうか?

教育長が「地権者の真意を確認したことはないが、用地買収については地権者の思いを最優先して考えないといけない」と言ったが矛盾している。

地権者は市への買取りを要望していた。地権者の思いを最優先するなら買い取る、ということになる。

「教育委員会で買い取りしないとどこで決めたのか? という質問には答えられなかった。 

都合のよいことだけの説明だった。
 
市長への要望書、都市部長への意見書も提出する。

タウンニュースに市民は自費で意見広告を出す

4月20日の雨のなか、タウンニュースが雑木林の取材にきてくれたが、記事として取り上げられなかった。

市民はカンパを集めて、15万円でタウンニュースに意見広告を出すことにした。

2020年5月15日号
タウンニュースに市民の思いが掲載された。

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市長からの回答は「財政困難」

   
4月20日付で提出した市長への要望書の回答が、ひと月以上たった、5月22日付で送られてきた。

時間のかかった割には、財政困難という理由だった。

「茅ヶ崎市みどりの基本計画 生物多様性ちがさき戦略」においても、市街地に残された樹林などの緑地を保全することを活動の指針に掲げていますが、現在の本市の財政状況をかんがみると、今後の長期的に厳しい財政状況を見据えた「茅ヶ崎市財政健全化緊急対策」を策定したなかで、すべての事業に聖域を設けることなく、休廃止を含めたゼロベースでの見直しにより財政のスリム化を図ることとしており、新規事業の展開は非常に困難であると言わざるを得ない状況です。」


これは、あってはならない言い訳で、では財政困難でなければ買い取りは出来るということだろうか?

そうであれば、市を財政困難にした市と議会の責任は限りなく重い。

そのうえ、今後に渡っても、

みどりと公園は県でワースト、最下位である茅ヶ崎市は、そこから抜け出すための予算はありません、予算をかけて計画は作りますが、実行できません、と市長が宣言していることになる。


香川公民館の雑木林の存続を議会に問うために、市民は議会へ陳情を出すことにした。

(part 2 へ続く)


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