9/29 一般質問「市民ギャラリーの廃止について」

市民ギャラリーのアトリエの代わりとなる施設はない。

これは明らかです。
それでも市は類似機能を持つ施設がある、と言い張り、「今後、柔軟に対応していきたい」と何をどう対応するのか意味不明な答弁を繰り返し、結局、市民ギャラリーは廃止するという姿勢を変えていない。

最近、市は市民に説明しなくても、「市議会に説明した」という言い訳が非常に多いです。あくまで、主役は市民であって議会ではない。職員は勘違いしています。



「市民文化会館の利用率を上げたい」のが廃止の理由なのか?

◆2番 杉本啓子議員
 市民ギャラリー廃止理由について4点、順次伺っていく。

 1点目に、市民ギャラリー廃止の理由として、市は「利用率が減少傾向にあるため」としている。しかし、コロナ感染症前はギャラリーの確保が大変なぐらい利用があったとパブリックコメントの意見も来ている。
 昨年4月 に市が作成した「市民ギャラリー廃止の検討について」という資料では、「市民文化会館が平成29年度にリニューアルしたばかりに関わらず、展示室の利用率は50%未満と低下している状況にあり、市民ギャラリー展示室利用者を文化会館利用に促したい。」というのが廃止を検討する理由になっている。 
また、「市民ギャラリー廃止検討打ち合わせ」という協議書には、「市民文化会館展示室の利用率が伸びていないから、市民ギャラリー展示室利用者に、文化会館展示室の利用を促したい。」というのが理由になっている。
市民文化会館の利用率が伸びてないなら、利用を伸ばす努力をするのは指定管理者の仕事。検討のしょっぱなから「文化会館の利用率が低いから、市民ギャラリー利用者をひっぱりたい」という廃止理由が出て来ることが理解しがたい。市の考えを問う。

○佐藤光市長
 市民ギャラリーの廃止理由に関するご質問にお答えする。
本市は、持続可能な市政運営を実現し、安全安心な市民サービスを提供することを目的に公共施設マネジメントを推進しており、市内公共施設の廃止、利活用を検討する中で、市民ギャラリーが対象施設となった。市民文化会館の利用率向上を目的として市民ギャラリーを廃止するものではない。
市民ギャラリーを選択した理由として、コロナ以前の平成30年から利用率が減少していること、近隣に類似機能を有する施設が複数存在することなどである。

なぜ市民意見も聞かずに議会に出したのか?

◆2番 杉本啓子議員
 2点目に、廃止案を出して来るスケジュールについて。
当初のスケジュールでは、まず議会の会派説明、市民へのアンケート、それから 全員協議会、パブリックコメントをへて市議会での議決 という順番になっている。なぜ、利用者からの意見の聞き取りや市民アンケート調査、会派への説明を省いて、いきなり全員協議会に市民ギャラリー廃止案を出すという順番になったのか理由を問う。

○佐藤光市長
 当初想定していた手順が、実施した手順と相違した理由についてお答えする。
市民ギャラリーの廃止にかかわる取り組みについては、令和2年度から検討を始め、今年度にパブリックコメント手続きを行うなど、長期にわたり対応を行っており、その中で、本取り組みの実施手順については、検討の過程において精査を行ない、都度進めてきた。詳細については担当部長より説明する。

○青柳道文財務部長
 まず初めに市議会にご説明をすることとしたのは、本取り組みが「公共施設の廃止」という市民生活に大きな影響を与える重要な取り組みであることから、市民を代表し、市の意思決定をする市議会に対して説明を行うことで、本取り組みの対応の方向性や手順などに対する様々な意見をいただき、その意見を踏まえた上での対応を行うことができるため、初めに全員協議会において説明を行なった。



市民ギャラリーアトリエ 必要なのは広い空間
 

市民ギャラリー創作室のアトリエ機能を持つ施設が他にないのは明らか

◆2番 杉本啓子議員
 3点目に「近隣に類似機能の施設がある」として市が示した展示室、アトリエについて。
市民ギャラリー廃止理由として、「近隣に類似機能を有する施設が存在し、廃止後の影響が比較的少ない」としているが、特に、創作室のアトリエ機能については、同じような機能を持つ場所は他にない、という意見がパブリックコメントでも多く来ている。 
 私自身は、美術大学の油絵科だったので、高校から油彩、デッサン、クロッキーなど描いてきた。油絵だけでなく、日本画、水彩、彫刻、版画、グラフィックデザイン、工芸デザインなど、どういった機能がアトリエや工作室に必要になるのか、どれぐらいの広さが必要になるのかは、経験的にも感覚的にも把握している。
 今回、市が類似機能を持つとしてあげた、美術館、青少年会館、うみかぜテラス、ひとつひとつの施設をまわって、広さ、機能など確認した。自分なりの専門性を持った視点で判断して、結論から言えば、市民ギャラリーのアトリエの代わりとなる施設はない。
職員にヒアリングして、気がついたのは、アトリエと工作室の区別がついてないのでは?ということ。美術館の職員は理解しているが、アトリエが必要とするのは、がらんとした広い空間、自由な空間。
 まず、美術館のアトリエですが、もともと広い部屋でなく、大きな作業机がいくつも置かれている。アトリエというより作業室で、机を部屋の外に出せないので、アトリエとしてイーゼルを立てて使えるのは8人程度でスペースが足りない。市の考えを伺う。

○佐藤光市長
 市民ギャラリーが廃止となった場合には、市民ギャラリーの半径600メートル圏内を中心とした展示室、創作室、会議室の類似機能を有する施設をご案内し、既存施設をご活用いただくことを基本に考えている。詳細については担当部長より説明する。

○村上穣介文化生涯学習部長
 展示室は、絵画などの展示ができる機能として主に市民文化会館の展示室を、創作室は、絵画工作などの創作活動ができる施設として主に美術館のアトリエを、会議室は、会議室として利用が可能な近隣の貸室をそれぞれご利用いただくことで考えている。
利用用途によっては、一部にはご満足いただけない利用者の方もいらっしゃるかと思うが、そのような利用者の皆さまの意見を踏まえながら、今後柔軟に対応していきたいと考えている。

◆2番 杉本啓子議員
 次に、青少年会館の美工室について。
ここも美術館と同じで、大きな作業机がいくつも置いてあり、机は部屋の外に出せない。それに、青少年会館は子どもたちが優先して使うべき場所で類似機能といえないが、市の考えを問う。

○村上穣介文化生涯学習部長
 青少年会館は青少年団体に優先的に活動の場を提供している施設だが、青少年団体だけでなく、所定の要件などを満たせば、一般の団体の方も利用登録の上、利用できる。また、市民ギャラリーの半径600メートルという立地において、水場、イーゼル、作業机もあることから、ご利用になる団体もいらっしゃると考えてご案内をしている。

◆2番 杉本啓子議員
 次に、うみかぜテラスの美術工作室について。
室内には水場があり、モデルさんが着替えできる鏡付きの試着室が備わっている。自然光が入る窓にはブラインドもついていて、本来はアトリエとして設計されている。
ところが、主に会議室として貸し出されて、机が並べられている。収納戸棚には書類などが乱雑に入っていて机がしまえない。うみかぜテラスは市が直営で運営しているのに、アトリエとして設計しておきながら、アトリエとして使っていない。ここを類似機能を持つと呼ぶにはお粗末な現状に驚くが市の考えを問う。

○村上穣介文化生涯学習部長
 うみかぜテラスは、利用者の皆さまが、それぞれの活動目的に沿った会議室などをお選びいただいて、美術工作室も多用途にご利用いただいているが、水場やイーゼルだけでなく、モデルの試着室も部屋の中に備え付けてあるなど、アトリエ機能を備えていることから。類似機能を有する施設の一つとしてご案内するというもの。
今後、類似機能を有する施設の詳細情報の発信を考えているが、その際にはうみかぜテラスと連携し、利用者の皆さまにアトリエとしてご利用いただけるよう、アトリエ機能の内容について丁寧に発信していく。

◆2番 杉本啓子議員

市民ギャラリー創作室のアトリエ機能を持つ施設が他にないのは明らかです。

 市民ギャラリーには20人の会員で活動している団体の方もいて、私がいた美大の油絵科も、ひとクラスの人数が20人だった。アトリエで、モデルさんを置いて20名がイーゼルを立てて作品を描く。かなりの広さ、空間、高い天井を持ったアトリエだったし、筆などを洗う水場、イーゼル置き場やストーブ、キャンバスや絵の具を置くスペース、モデルさんの控え室などがあった。
モデルさんに美しい陰影をどうつけるか、そこで作品の印象まで決まったりもするから、そのための照明が必要、と陳情で言われていたのも理解できる。
あと、後ろに下がって自分の作品を見ることで、デッサンや構図の狂いを直したりするので、やはり広さは必要。モデルさんを置いて描く、裸体も描くというのは相当にレベルの高い活動で、3、4回の連続した場所の確保も必要になる。
市民ギャラリーが、美術大学のアトリエ並の機能を持つ、価値を持つから、ギャラリー創作室には入りきれないほど参加者も来るのだと思う。
 今回、市の担当課がアートへの専門性を持たないで判断したことから、こういった価値観が分からなかったり、感性の理解のない判断になっていると思う。この点について市の考えを問う。

○村上穣介文化生涯学習部長
 現在、市民ギャラリーをご利用いただいている方々には様々な団体があるが、ご案内している類似機能を有する施設で、今後も活動を続ける団体が数多くいらっしゃると考えている。
一方で、ご案内している施設ではご満足いただけない団体の方もいらっしゃると考えている。
またパブリクコメントなどから、利用者の皆さまから特に創作室の機能面の希少性を訴えるご意見や、類似施設に関する御意見、ご要望をいただいている。
これらをふまえて、今後、既存施設を有効に活用するなど、柔軟な対応を検討していく。

市民に愛されている市民ギャラリー展示室

◆2番 杉本啓子議員
 市民ギャラリーの展示室について。
ここは、こじんまりとした広さで、居心地のよい、心なごむ、暖かみのあるスペースで、買い物のついでに立ち寄って作品を見てくれる人もいる、駅前で高齢者や市外の方も来やすい。利用する方は口を揃えて市民ギャラリーの使い勝手のよさを話される。
一方で、市民文化会館の展示室は、何か人工的で味気ない、明るすぎる、落ち着かない、という感想を聞く。
長年にわたって、市民に愛されてきた市民ギャラリー展示室の持つ暖かみや心地よさは、作品を発表するスペースとして他に絶対に代替えのきかない価値を持った場所だが、市の考えを問う。

○村上穣介文化生涯学習部長
 市民ギャラリー展示室の類似機能としてご案内をしている市民文化会館の展示室は、展示スペースを3つに分割して活用することが可能であり、複数の展示会を同時に開催したり、また、この3つをひと続きのスペースとして大きな展示会をしたり、多様な形で利用することができる設定になっている。また、駐車場が隣接していて、作品が搬入しやすい等利点もある。
これまでに市民ギャラリーの展示室を利用されていた方々もご利用いただけると考えている。
一方で、市民ギャラリーをこれまでご利用いただいていた一部の利用者の方には、市民文化会館の展示室にご不満のある方もいらっしゃるという認識をしている。
パブリックコメントなどにおいても、展示室に関するご意見、ご要望をいただいている。そのような利用者の皆さまのご意見を踏まえながら、今後、柔軟に対応していきたいと考えている。

かけがえのない創作活動と発表の場

◆2番 杉本啓子議員
 80代の高齢女性の方が、市民ギャラリーでモデルさんを描いた油絵を拝見した。しっかりとした構図で、何よりも油絵の具を濁らせないで使う技術と色彩が素晴らしい作品だった。たぶん、長年をかけて積み上げられてきたものと思う。
湘南という地は、昔から画家や作家などに愛されてきて、別荘地でもあり文化が自然とはぐくまれていった。画家の三橋兄弟治(みつはしいとじ)、萬鐡五郎(よろずてつごろう)の色彩感など、茅ヶ崎そのものと感じる。アートの分野に限らず、自由にのびのびと活動できる、表現できるのが茅ヶ崎という土地だと思う。
 茅ヶ崎市民ギャラリー条例 第2条では、市民に美術作品の発表と鑑賞の場 及び創作活動の場 並びに講習会等の場を提供し、もって市民文化の向上に寄与するためギャラリーを設置する、とある。 
この条例を消すときは、茅ヶ崎からかけがえのない創作活動と発表の場所を消すことでもあると思う。この点について市の考えを問う。

○村上穣介文化生涯学習部長
 市民ギャラリーが廃止になった場合でも、ほかにも市民文化会館をはじめとした文化振興を図る施設は市内に数多く存在する。そのような市内の様々な施設を有効活用して、市民の創作や発表の場を継続して提供していくことで文化振興を図ってまいりたいと考えている。

⇨なんとも、開き直った回答で呆れます。

東横インに市民ギャラリーをいれる矛盾

◆2番 杉本啓子議員
 4点目に、 文化施設を統合すると言いながら、東横インに市民ギャラリーを入れる矛盾について伺う。
今、建築中の東横インは、ホテルとギャラリーの複合施設という提案を評価して、プロポーザルで採用している。
市民ギャラリー利用者を市民文化会館に集約することで利用率を上げたいと言っておいて、なぜ市民文化会館のま隣りに、わざわざギャラリーを作るのか? 市民の理解を得られるととても思えない矛盾だが、市の考えを問う。

○佐藤光市長
 平成30年度に茅ヶ崎市役所仮設庁舎跡地の活用事業として事業者募集を行い、31年3月29日に優先交渉権者として株式会社東横インに決定した。
優先交渉権者の提案概要として、宿泊施設その他、市民ギャラリー、会議室としての地域貢献施設を提案いただき、令和元年6月19日に開催の全員協議会においてご報告した、詳細については担当部長から説明する。

○青柳道文財務部長
 茅ヶ崎市役所仮設庁舎跡地の活用事業の事業者提案では、ホテル、市民ギャラリー、会議室等とあり、宿泊施設のほか、地域貢献施設の提案があった。
有識者からなる事業者選定における総評において、提案の市民ギャラリーについては、市民や市民団体が利活用でき、地域貢献施設としての賑わいを創出する提案となっている点が高く評価されたと認識してる。
 事業提案にある市民ギャラリーの意味するところは、ワークショップなどの多目的利用の開催を含んだ地域貢献施設としての提案が主であり、ネスパ茅ヶ崎ビルにあるアトリエのような創作室、展示室に特化した、いわゆる文化施設としての市民ギャラリーとは、その使い方が異なるものと認識しており、廃止理由としての矛盾はしないものと考えている。


⇨ この答弁からも分かるように、市民ギャラリーは「アトリエのような創作室、展示室に特化した文化施設」であると、市は認識しています。
そして、特化した機能を持つ施設の代替えとなる場所は他にない、ということは明らかなのに、認めようとしないのです。 


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