市民ギャラリー「アトリエ」の代替え施設はありません。

市は市民ギャラリーの「アトリエ機能」の代替えがあるかのように説明しています。
私自身、美術大学の油絵科だったので、市の説明に専門性の裏付けも根拠もないことが、手に取るようにわかります。
実際に、市が代替えにあげている施設を見てまわり検証しました。
結論から言えば、広さ、機能、予約の取りやすさなど、市民ギャラリーのアトリエの代わりとなる施設はありません。 

市は虚偽を主張している

「近隣に類似機能を有する施設が存在し、廃止後の影響が比較的少ない」

これは、市民ギャラリーの廃止理由として、市があげている理由の一つです。

しかし、創作室のアトリエ機能については、「同じような機能を持つ場所は他にない」という利用者からの意見がパブコメでも多いです。 

私自身は、美術大学の油絵科だったので、高校から油彩、デッサン、クロッキーなど描いてきました。油絵だけでなく、日本画、水彩、彫刻、版画、グラフィックデザイン、工芸デザインなど、どういった機能がアトリエや工作室に必要になるのか、どれぐらいの広さが必要になるのか把握してるつもりです。

今回、市が類似機能を持つ施設とした、美術館、青少年会館、うみかぜテラス、ひとつひとつの施設をまわって、広さ、機能など確認しました。

自分なりの専門性を持った視点で判断して、結論から言えば、市民ギャラリーのアトリエの代わりとなる施設はありません。



市民ギャラリーの広い創作室。大人数でも利用できる。

美術館のアトリエ

美術館に付属したアトリエは、それほど広い部屋でなく、大きな作業机がいくつも置かれています。

アトリエというより作業室で、机を部屋の外に出せないので、アトリエとしてイーゼルを立てて使えるのは8人程度でしょう。 

市民ギャラリーのアトリエに匹敵する広さは望めません。



美術館のアトリエはむしろ作業室

青少年会館の美工室

ここも美術館と同じく、大きな作業机がいくつも置いてあり、机は部屋の外に出せません。通常は学習室として利用されています。

それに、青少年会館は本来は子どもたちが優先して使うべき場所です。

キャンバスや絵の道具を持った状態で、高齢の方が青少年会館に行く大変さを市は理解していません。



青少年会館の美工室

うみかぜテラスの美術工作室

室内には水場と、モデルが着替えできる鏡付きの試着室が備わっています。
自然光が入る窓にはブラインドもついていて、本来はアトリエとして設計されています。

ところが、主に会議室として貸し出されて、机が並べられています。

うみかぜテラスは市の直営施設ですが、アトリエとして設計しておきながら、アトリエとして使っていない。

それでいて、市はここを類似機能を持つとよく言えるものだと思います。あまりにお粗末です。 



うみかぜテラス 美術工作室  机は収納できない状態

市民ギャラリー創作室のアトリエ機能を持つ施設が他にないのは明らかです。

市民ギャラリーには20人ほどの会員で活動している団体の方もいます。

私がいた美大の油絵科も、ひとクラスが20人でした。アトリエで、モデルさんを置いて20名がイーゼルを立てて描く。かなりの広さ、空間、高い天井を持ったアトリエだったし、筆などを洗う水場、ストーブ、イーゼルやキャンバスや絵の具を置くスペース、モデルさんの控え室などがありました。

市民ギャラリーは、美大のアトリエのような機能を持っています。その貴重な価値を市の職員は理解できていません。

モデルさんを置いて描く、裸体も描くというのは相当にレベルの高い活動だと思います。創作室には入りきれないほど参加者が来られます。

市の担当課がアートへの専門性を持たないで判断しているのは明らかで、こういった価値観が分からなかったり、感性の理解のない判断になっていると思います。理解しようとする姿勢も見られません。

市民ギャラリー展示室について

こじんまりとした広さで、居心地のよい、心なごむ、暖かみのあるスペースで、買い物のついでに立ち寄って作品を見てくれる人もいる、駅前で高齢者や市外の方も来やすい。利用する方は口を揃えて市民ギャラリーの使い勝手のよさを話されます。

一方で、市民文化会館の展示室は、何か人工的で味気ない、明るすぎる、落ち着かない、という感想が多いのも理解できます。 

長年にわたって、市民に愛されてきた市民ギャラリー展示室の持つ暖かみや心地よさは、作品を発表するスペースとして他に絶対に代替えのきかない価値を持った場所です。

湘南という地は、昔から画家や作家などに愛されてきました。アートの分野に限らず、自由にのびのびと活動できる、表現できるのが茅ヶ崎という土地だと思います。

茅ヶ崎市民ギャラリー条例 第2条では「市民に美術作品の発表と鑑賞の場 及び創作活動の場 並びに講習会等の場を提供し、もって市民文化の向上に寄与するためギャラリーを設置する」とあります。 

この条例を消すときは、茅ヶ崎からかえがえない創作活動と発表の場所を消すことでもあります。 


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