12/20 一般質問「茅ヶ崎ゴルフ場利活用事業について」

前回の事業者選定では、住民に事前の説明さえなく、用途地域変更を前提とした建設計画が選ばれた。

住民に事前の説明さえなく、土地(県有地)の売買の協定が結ばれていた。


◆2番(杉本啓子 議員) 
 平成31年3月に県が茅ヶ崎ゴルフ場利活用事業者の募集を行い、事業者選定でGDO、亀井工業ホールディングスと湘南ベルマーレを構成員とするグループが優先交渉権者として選定された。このときの募集要領や計画条件及び要求水準書の内容について、市の考え方を質問していく。(ゴルフ場の名称は、現在、茅ヶ崎ゴルフリンクスに変更されているが、質問では茅ヶ崎ゴルフ場とする。)

用途地域変更について

◆2番(杉本啓子 議員) 
 用途地域変更について。このときの計画条件及び要求水準書には、「用途地域を変更することを前提とした提案を受け付ける」とはっきり書かれている。これは、茅ヶ崎市が用途地域の変更は可能であると、あらかじめ事前に認めていることになる。市は県にどう回答していたのか、質問する。

◎坂田哲 企画政策部長  
 茅ヶ崎ゴルフ場利活用の事業主体は地権者になる。本市は、近隣の市街地をはじめ、市域南東部へのまちづくりの可能な限りの配慮を地権者に対して求め、一方で、地権者にとっても最も重要な土地利用を行う事業者の事業成立も考慮しながら、ご理解がいただけるように取り組んできた。

 本市としてはゴルフ場の存続を望んでいたので、地権者による公募において、ゴルフ場運営を行う事業者が事業成立を見通すことができ、そのような事業者からの提案を受け付けられるようにするためには、用途地域変更を伴う事業提案も想定に入れざるを得ないと判断し、地権者に考えをお伝えしてきた。
 
 また、どのような事業提案がなされるのか判明していない中では、都市計画変更の妥当性、変更の対象とする位置やその面積、その中の建築物の用途や規模などが想定できないので、用途地域変更などが必要になる提案が選定された場合には、優先交渉権者の事業計画を基に調整を重ね、市民の皆様のご意見をいただく機会を設けて、新たなまちづくり計画を定めた上で、都市計画の手続へ移行するというような流れを考えていた。


◆2番(杉本啓子 議員) 
 事業者から見れば、用途地域変更を必要とする提案で応募して、「住民の反対があったので用途地域変更はできない、かかった費用は事業者負担です」と言われるようなプロポーザルには、常識的に考えて応募してこない。事前に市が用途地域変更を行うことを了解していたとしか思えないが、どうだったのか?

◎坂田哲 企画政策部長 
 地権者が土地を利活用するに当たり、平成27年度には地権者と本市が連名で「茅ヶ崎ゴルフ場の利活用基本方針」を策定している。まちづくりに求めたい機能の導入に必要な場合は、用途地域変更も検討するとしていた。
 平成31年の公募に当たって、本市としては、優先交渉権者が用途地域の変更等を伴う事業計画を提案している場合には、用途地域の変更を検討していく対応を想定していた。ただし、都市計画法に基づいて、用途地域の変更を行うには、市民の皆様の意見を踏まえて、まちづくり計画等を定めること、そして、その後に都市計画法の手続も必要になるので、用途地域の変更ができるというような断定や、地権者との約束ができるようなものではない。



浜須賀での住民説明会


市役所での住民説明会

◆2番(杉本啓子 議員) 
 前回、事業者が決まって、浜須賀会館で説明会が開かれたときには、住民200名が詰めかけて、立ち見も入り切れないほどだった。住民の意見は、

✴️ 用途地域変更は望んでいない。自分たちは第一種低層住居専用地域で、高い建物は建たない前提で土地を求め、家を建てた。住民は法の制限を守っているのに、なぜ一部が用途地域変更されて、事業者だけが好きに建設できるのか。

✴️ しかも、どこに、どのような建物が、どれぐらいの高さで建つのか、事前の説明も全くなかった。

✴️ その上、既に土地の一部を事業者に売却する協定書も結ばれていた。

✴️ おまけに売却された土地は、10年たてば転売は防げないと県は回答している。

住民からこういった意見が相次いだ。なぜ住民には事前の説明は全くない状態で用途地域変更することになったのか?

◎坂田哲 企画政策部長 
 優先交渉権者の決定後、提案のあった用途地域変更についての検討をすべき立場の本市としては、地権者と優先交渉権者の協力の下で、まちづくり計画の策定に向けて、市民向けの説明会を重ねて、まちづくりにとって有益であり妥当であるか、市民の方々も含めた認識の共有を目指していくという考えでいた。
 結果的に、令和元年11月に第1回目のその市民向けの説明会となったが、第2回目は新型コロナの影響で中止で、それ以降は優先交渉権者の提案に基づく事業が継続不可能となったことで、事業計画の具体的な内容をお示しする市民向けの説明会の開催には至っていない。
 まちづくり計画の策定、都市計画の手続の各段階で、市民向けの説明会や都市計画案の縦覧、都市計画審議会への付議などがあるので、詳細な情報を出さないまま合意形成ができたというようなことは全く想定していない。 
 ⇨ これは、事後の手続きについてですよね。


住民の暮らすエリアを犠牲にして、用途地域変更という多大な負担を住民に押しつけることで、広域避難場所の空間を確保するのが市のやり方なのか?

◆2番(杉本啓子 議員) 
 住民説明会で、市は、「南東部の広い防災空間、みどりの空間を存続させるためには用途地域変更を検討する」と回答した。
それに対して住民は、
✴️ 「私たちの暮らすエリアを犠牲にして、用途地域変更という多大な負担を住民に押しつけることで空間を確保する」ということを市は言っているという意見だった。
事実は住民の言うとおりで、用途地域変更という多大な負担を住民に押しつけることで、広域避難場所を維持するという方法を市は選んでいる。同じことを今後も行うのか? 市の考えを質問する。

◎坂田哲 企画政策部長 
 同じことをまた行うのかというのは、この先の事業者選定に関しての質問だとすれば、今後の事業者選定に関することについては、今、地権者がその募集の要件などを整理している段階なので、今の段階で、市がその考え方について地権者の了解なく答弁することは控えたい。


◆2番(杉本啓子 議員) 
 用途地域変更という多大な負担を住民に押しつけることによって広域避難場所を維持する、という方法を市は選ぶのかどうかについて伺う。

 茅ヶ崎市の海岸側は県で最大の延焼火災地帯で、道が狭く延焼を止める公園や広場が非常に少ないまちづくりになっていることから、広域避難場所の確保は重要な市の責務になっている。

 では、「茅ヶ崎ゴルフ場を公園として広域避難場所とするのが可能か」と言えば、今までにも、広大な公園を市が維持管理できる財源はない、というのが市の回答だったし、県立公園の可能性もない、開発事業者も採算が取れないので十分な面積は確保しない。

住民は静かな緑の環境で暮らすことを望んでいる。用途地域変更という多大な負担を住民に押しつけることなしに、広大で貴重な広域避難場所と緑の空間を次の世代まで確保するために、市は、この先どういう方法を行っていくと考えているのか ?

◎坂田哲 企画政策部長 
 市の考え方の基本としては、やはり今、議員の言うように広域避難場所は確保していきたいと考えているし、緑も守っていきたいと考えている。また、周辺住民の生活環境も守っていきたいという考え方でいる。
これらの考え方を基本として、あらゆる手法でそれらが達成できるように、今現在、地権者に市側の考えをお伝えし、また、それに合った要件で、次なる事業者を選定していただけるようにお願いしている段階である。その基本的な考え方はこれからも維持していく。 



広域避難場所の面積について。

◆2番(杉本啓子 議員) 
 茅ヶ崎ゴルフ場周辺は、震災時には大規模な延焼火災が想定される、県で最大のクラスター地域で、広域避難場所の確保は、住民の生命に直結する重要な問題であり、また、みどりの保全配慮地区でもある。事業者募集で、広域避難場所については、県は「少なくとも6万平米以上の使用可能面積の確保が必要となる」とした。
この使用可能面積というのは、延焼火災が発生したときに、炎の輻射熱を受けずに、安全に避難できる面積のことで、茅ヶ崎ゴルフ場は20万平米の広さがあっても、高熱の炎から身を守れるとする使用可能面識は12万平米まで減る。

 県に使用可能面積を6万平米とした根拠をヒアリングしたところ、市が茅ヶ崎ゴルフ場の要避難人口を3万人としているので、1人2平米掛ける3万人で6万平米としたということだった。しかし、「要避難人口3万人は、茅ヶ崎ゴルフ場に避難する人口を示すものではない」、そのことは県も知っている。それなのに、県は3万人という数字を利用して、少なくとも6万平米以上の使用可能面積の確保が必要とした。
いったい、市は県に対して広域避難場所として確保する面積をどう考え、伝えていたのか質問する。

◎坂田哲 企画政策部長  
 本市は、事業主体である地権者に対して、茅ヶ崎ゴルフ場が広域避難場所であるということを踏まえて、利活用事業の中で大規模火災延焼時の緊急的な避難場所として、なるべく広い面積を確保していただくこと、その区域は地域防災計画での広域避難場所の指定を継続していただくことを求めていた。

 本市から地権者に対して示した広域避難場所としての在り方は、平成29年度広域避難場所の見直し結果を根拠にして、茅ヶ崎ゴルフ場と浜須賀小学校には、周辺地区のおよそ3万人の避難規模が配分されたこと、広ければ広いほど望ましいこと、大きくこの2点となる。
 地権者は、本市の情報を踏まえて、1人当たり2平方メートルで3万人が避難できる規模を公募条件の最小限として採用し、使用可能面積を6万平方メートルとして定めるに至った経過があったものと認識している。