「指定管理」がわかると目からウロコ!

「市の施設を利用して払ったお金は、どこに入ると思いますか?」

皆さんに、「市の会議室やスポーツ施設、駐車場などの施設を利用して支払ったお金は、どこに入ると思いますか?」という質問をすると、10人中8人ぐらいの方が「市に入ると思う」と回答します。

でも、市に入る場合はごく限られていて、ほとんどは指定管理を請け負っている事業者の収入になります、というと皆さんビックリします。

昨年9月、サザンのコンサートが茅ヶ崎公園野球場で開催されました。では、野球場などの市の施設は、いくらで貸し出されて、どこがその収入を受け取ったのでしょうか?

★「指定管理」が分かると、「そうなんだ〜」って新発見もあると思います。

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「直営」と「指定管理」は、何が違うの?

たぶん、皆さんが持っているのは「直営」のイメージだと思います。

「直営」は、公の施設を市が自分で管理運営を行い、利用料金は市の収入として入ります。(清掃や警備など業務の一部は、民間に委託する場合が多いです。)

「指定管理者制度」は、平成15年の地方自治法の一部改正により、市が民間企業やNPO法人などに公の施設の管理を行わせることができる制度です。民間のノウハウなどを利用して、公の施設をより効率的に管理して、市民サ ービスの向上や、経費の節約ができるとして導入されたものです。 

茅ヶ崎市でもこの制度を導入し、現在、公の施設143のうち87施設を「指定管理者制度」により民間が管理しています。 

ざっくりですが、スポーツ施設、市民文化会館、美術館、うみかぜテラス、勤労市民会館、サポセン、駐輪場、市営駐車場、コミセン、児童クラブ、柳島キャンプ場など、多くの施設が「指定管理」です。

市の「直営」は、公民館、図書館、博物館、青少年会館、いこりあ、市コミュニティーホール、市立病院、ハマミーナ、市立保育園、市営住宅、開高記念館、ゆかりの人物館、漁港駐車場、茅ヶ崎斎場など。 

(記事の一番下に、詳しい分類があります。)

「指定管理」は、お金の流れがまったく違う

利用料金は指定管理者の収入です

①指定管理料
市から指定管理者へ支払うお金で、このお金をもとに、人件費や高熱水費、清掃の委託費などをまかないます。指定管理料なしで独立採算で運営している施設もありますが、ほとんどは指定管理料で運営しています。

②利用料金
利用料金は、指定管理者が収入として受け取ります。
この部分が、市に料金が入る「直営」と大きく違います。利用料金をいくらにするかは、条例に定めた金額の範囲内で、指定管理者が市長の承認を受けて決めます。ですから、条例に定めた一番高い金額になる場合もあります。(茅ヶ崎公園駐車場の料金のように)

③自主事業による収入
指定管理者が自主的にイベントなどを行って得た収入。指定管理者が受け取ります。

④納付金
利益の一部を指定管理者が市に納めている施設もあります。

✴️「利用料金を指定管理者が収入として受け取る分は、指定管理料を削減している」
と市は説明しますが、どれぐらい削減できているのか具体な数字は出ていないですし、民間事業者の収支なので議会ですら確認が取れないこともあり、指定管理料が適性な金額なのか、はっきりしないデメリットがあります。 

公募で選ぶのが原則

市は指定管理者を広く一般から募集して、より優れたノウハウを持つ民間を提案方式(プロポーザル方式)で選びます。
プロポーザルでは、管理経費などの予定額を示し、利用者をどう増やすか、経費をどう縮減するか、事業提案などサービスの内容を競います。競争で選ぶことで、より良い市民サービスにつなげるためです。指定期間は、原則5年間(PFI 事業を除く)で、期間が終われば新たに公募をかけます。そして、指定管理者の指定には、議会の議決が必要になります。

ですから、競争のない「非公募」で指定管理者を選ぶことは、本来はごくごく限られた場合とされます。例えば、コミュニティセンターの指定管理は「非公募」です。これは、地域に密着した施設なので、住民団体が管理することでメリットがあると市が考えているからです。

実際は、半分以上は非公募

茅ヶ崎市では、87施設が指定管理で、その半分以上は「非公募」で管理者が決定しています。
非公募が適する施設もありますが、「非公募」で(つまり広く民間と競争せずに)長期にわたり指定管理者となっているケースもあります。例えば、総合体育館、野球場、テニスコートなどスポーツ施設、市民文化会館、美術館などは、外郭団体である文化スポーツ振興財団が長年、非公募で指定管理者になっていて、指定管理料と利用料金、自主事業の収入を受け取っています。
本来は、広く民間に公募をかけて、経費の節約や市民サービスの向上などを競う必要があります。



スポーツ施設は、ほとんどが非公募

PFI 方式、DBO方式の場合

PFI 方式、DBO方式という特殊な方式で管理・運営されている公共施設があります。

柳島スポーツ公園、道の駅、粗大ごみ処理施設などです。

ふつうは、建設業者と、管理・運営をする指定管理者は別々に募集しますが、PFI 方式、DBO方式の場合は、施設の設計、建設と管理・運営を一括して発注して、応募して来た事業者の示す金額や提案内容などを採点して、事業者を選んでいく手法です。
一般的な指定管理と違い、契約期間が20年など長期に渡るのも特徴です。
専門的なノウハウで管理・運営するための長期契約ですが、満足な市民サービスが得られない場合でも、柔軟な変更ができないいデメリットがあります。

PFI 方式、DBO方式は、事業者にとっては、行政の設備を利用しながらビジネスを行うことのできる制度です。


柳島スポーツ公園(PFI 方式)

柳島スポーツ公園は、市が用地を買い上げ、事業者は市から設計、建設費と、20年間の管理・運営費と修繕費を受け取り、利用料金と駐車料金、自主事業の収入はすべて事業者の収入となります。市に入る分はゼロです。 

道の駅(DBO方式)

道の駅は、用地の買い上げと設計、建設費は市と県が負担し、市からの指定管理料はゼロで、売り上げ収入による独立採算で運営します。
オープン後は、市へは年間総売り上げの2% を納めるとしています。(例:年間売り上げが10億円であれば、2000万円が市の収入)

粗大ごみ処理施設(DBO方式)

粗大ごみ処理施設は、老朽化により新たな施設を建設します。
事業者は、落札金額111億円で、施設の建設と20年間の運営業務を行います。 


【資料】

✴️「指定管理」の施設 
茅ヶ崎公園野球場、テニスコート、駐車場
芹沢スポーツ広場 テニスコート、蹴球場兼野球場
堤スポーツ広場 テニスコート、多目的球技場
しおさい公園、テニスコート、蹴球場
総合体育館、市体育館
市民文化会館
美術館、松籟庵
(以上は同一の指定管理者が非公募で管理)

屋内温水プール
市営浜須賀プール
市営殿山プール   
うみかぜテラス 
勤労市民会館
サポートセンター
自転車駐輪場
第2~第4駐車場
東海岸南駐車場

コミュニティセンター 
子どもの家
児童クラブ
中海岸保育園
障がい児通所施設
障がい者ふれあい活動ホーム
茅ヶ崎市ケアセンター
老人憩いの家 
老人福祉センター
柳島キャンプ場
柳島スポーツ公園 など 

★茅ヶ崎漁港駐車場は、委託費480万で漁業協同組合に委託。駐車場代は市に全額入っている。

★スポーツ施設では、いつまでたっても痛んだ部分の補修がされず放置される状況が目立つ。
設備の大規模な修繕は市が負担するが、「50万円以下の修繕費は指定管理者が負担する」としている。


✴️「直営」の施設 
公民館
図書館
青少年会館
博物館
市コミュニティーホール
いこりあ 
市民ギャラリー
市立病院
ハマミーナ 
市立保育園
市営住宅
開高記念館
ゆかりの人物館
茅ヶ崎漁港駐車場
茅ヶ崎市斎場  など