12/20 市役所前広場のトライアル・サウンディングについて

 トライアル・サウンディングとは、市が持っている公共施設や公園とか、つまり「市民の財産」であるスペースを使いたいと希望する事業者などを募集して、一定の期間、実験的に、タダで使ってもらって、その後、本格的な利用方法を検討する取組としています。

 しかし、市民の財産である以上、公正、公平で 透明性のある利用がされること、そして、近隣住民に絶対に迷惑をかけないという前提で行われるの が当然になります。

 今回、この視点から一般質問しました。(令和5年12月議会)



市役所前広場

「市長が特に必要があると認めた」として使わせている

○杉本啓子 議員
 茅ヶ崎市は現在、市役所前広場を利用してトライアル・サウンディングを行っている。市役所前広場は、本来は防災時に使うスペースで、市役所を訪れる市民の「憩いの広場」であり、生態系ネットワ ークとして重要な地点とされている。広場の維持管理には年間1000万円ほど税金から使っている。
 市役所前広場は、本来は貸し出すことのできない市有財産 だが、貸出しを認めてトライアル・サウンディングを実施している根拠となる規則は何か?

○青柳道文 経営総務部長  
 市役所前広場は、市が直接使用する公有財産であり、行政財産となっている。そのため、地方自治法第238条の4第7項 及び 茅ヶ崎市市有財産規則第16条 に基づき実施している。

✴️ 解説します!

地方自治法第238条の4第7項
・ 行政財産は、その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができる。

茅ヶ崎市市有財産規則第16条  
市長は、行政財産の用途又は目的を妨げない限度において、その使用を許可することができる。
(7) 市長が特に必要があると認めるとき。

市長が認めればタダで貸す(減免)

○杉本啓子 議員
 また、現在はタダで貸し出しているが、行政財産を目的外使用するもの、つまり市役所前広場を使う事業者などは、使用料条例に定めた料金を支払わねばならないとしている。
 市は市民には、受益者負担だと言って、ごみの有料化や駐車場の有料化でお金を取っているのに、なぜ、本来お金を取って貸す場所を、トライアル・サウンディングだからと、ただで長期に貸しているのか、この減免の根拠理由は何か?

○青柳道文経営総務部長
 トライアル・サウンディングの減免の根拠についてお答えする。行政財産の目的外使用については、「茅ヶ崎市行政財産の用途又は目的外使用にかかる使用料条例第5条」と「茅ヶ崎市市有財産規則第23条」の規定に基づき減免を行っている。

✴️ 解説します!

茅ヶ崎市行政財産の用途又は目的外使用にかかる使用料条例
第5条 使用料の減免
(3) 市長が特に必要があると認めるとき

茅ヶ崎市市有財産規則第23条 
使用料の減免を受けようとする者は〜市長に申請しなければならない。市長は減免の承認をする、しないを通知する。

ズルズルとタダ貸し期間を延長

○杉本啓子 議員
 本来、市役所前広場は貸せないけれども、市長が認めてタダで貸しますというトライアル・サウンディングのお試し期間は、初めは令和4年7月末から2か月ほどだったが、3回も延長している。結局いつまで、どれぐらいの期間行おうとしているのか?

○青柳道文経営総務部長
 本年(令和5年)11月に、地域貢献施設が全面オープンした ことから、今後、当面、当該施設と市役所前広場との連携した取組を含め、市役所前広場の新たな活用としての課題等の対応策や、ルール等の整理も含めた最適な使用方法を検討する必要がある。
当初の目的を達成するとともに新たな課題等に対応するため、当面の間、トライアル・サウンディングを実施することとしている。 


近隣住民に迷惑かけっぱなし!

○杉本啓子 議員
 しかし、一番重要なのは、トライアル・サウンディングを実施することで、近隣住民へ騒音などの迷惑を一切かけないこと。トライアル・サウンディングを開始する前に、住民の意見を聞くのが当たり前だが、住民にどのような対応をしてきたのか?
 
○青柳道文経営総務部長
 事業開始当初より、近隣住民の方への騒音対策として、イベントでの音出しについては配慮をしている。事業開始当初には、近隣住民のご協力をいただき、マンションの各階に職員を上がらせていただき、実際の音を騒音計で計測し、条例の騒音の規制基準を超えることがないように音源の音量設定等を行っている。
 しかしながら、人が集まることで騒音も発生することがあることから、イベント当日は、必ず職員等を立ち会わせることとしており、その場での音量等の制限ができるように対応している。

✴️ 解説します!
当初は、周辺住民は、こんなに頻繁にイベントが行われるなど説明を受けていないし、職員を立ちあわせないと騒音をコントロールできない状態がおかしい。 


○杉本啓子 議員
 それでは、期間を延長するたびには、住民にはどのように事前に対応してきたのか?

○青柳道文経営総務部長
 トライアル・サウンディングについては、市役所前広場の可能性や魅力を最大限に活用する方法を模索するために、延長を行ってきている。しかしながら、期間を延長する際、ホームページ等によって市民への周知は行っているが、近隣住民の皆様に特段の対応をしていない。

12月は20日以上イベントが入っている

○杉本啓子 議員
 トライアル・サウンディングを行っている期間、近隣住民へ騒音の迷惑をかけることは度々発生している。近隣のマンションなどの住民が心静かに生活できる権利が一番に優先されるはずで、休みの日は、部屋で静かに休息したい、音やにぎわいに邪魔されずに勉強したい、夜勤などで昼間に休息したい住民の方も住んでいる。広場で毎日騒いでもよいということにはならない。例えば、この12月にはどれぐらいイベント予約が入っているのか?
 
○青柳道文経営総務部長
 12月のトライアル・サウンディングは、延べ11回のイベントの予約が入っている。

○杉本啓子 議員
 お答えいただいた数字は、私が頂いた資料とは違う。もっと入っているはず。私が確認した限りは、入っていない日が6日間しかなかった。

○青柳道文経営総務部長
 トラ イアル・サウンディングの中で、議員が把握している数のその他の部分(11回以外)については、市の主催などによるものなので、答弁を修正する。

市役所が騒いで住民に迷惑かけるのか?

○杉本啓子 議員
 10月も、月に17日もイベントが入っていて、騒音迷惑があって、なお、それでも住民への事前対応がない状態で、毎日イベントを入れて増やしていく市役所の神経が信じられない。
 市長が特に必要があると認めた、年に数回程度のイベントなら、周辺住民も協力するかもしれないが、それが、今や毎日では無神経過ぎる。
迷惑になるような行為を注意するのが市役所なのに、住民に迷惑をかける市役所など、聞いたことがない。住民に迷惑をかけていることを、市役所は分かっているのに、なぜ続けるのか?

○青柳道文経営総務部長
 トライアル・サウンディングについては、市役 所前広場の持つ高いポテンシャルや魅力を最大限に引き出し、にぎわいのある市民の交流の場所 及び 誰からも愛される市民の憩いの場所とすることを目指し、社会実験としてスタートしている。
 利用者の方々からは、「様々な世代の方が楽しめる企画ができる」や「茅ヶ崎市を発信し、茅ヶ崎につながる場所として今後も大いに活用されることを楽しみにしている」、また、「引き続きトライアル・サウンディングを継続してほしい」など数多くの御意見をいただいているので、当然、近隣の住民の皆様には十分に配慮しながら、当面の間、継続していく。 
 
✴️ 解説します!
市長が「特に必要」と認めるイベントが、なぜこんなにあるのか? それ自体がおかしい。 
市長裁量の濫用ではないのか?
迷惑かけるって分かっててもやるのが茅ヶ崎市役所。さすがです。 


サザンや FMグッズ販売では約80万円を減免

○杉本啓子 議員
 次に、現在タダで貸し出していることについて伺っていく。
 行政財産を目的外使用で借りる者、つまり市役所前広場を借りる事業者などが市に支払う金額は、何を根拠として計算されるのか?

○青柳道文経営総務部長  
 行政財産の目的外使用の使用料については、「茅ヶ崎市行政財産の用途又は目的外使用にかかる使用料条例」第3条に基づき使用料を算定している。 

✴️ 解説します!

茅ヶ崎市行政財産の用途又は目的外使用にかかる使用料条例
第3条 土地の使用
使用部分にかかる土地の価格 ✖️ 3/100 ✖️ 使用許可日数/365


○杉本啓子 議員
 市役所前広場を借りた事業者は、本来は、今、説明のあった条例で定めた数式で計算された料金を市に支払う必要がある。
 例えば、今年9月26日から30日、10月1日、2日、トライアル・サウンディングとして広場にテントが設置されて、サザン・オールスターズの記念グッズや茅ヶ崎FMのグッズなどが販売された。
連日非常に多くの方が並んで買い求めていたが、市として事業者に使用料金を取らずに、減免した、つまり、タダで貸している。本来支払ってもらう広場の使用料金はいくらだったのか?

○青柳道文経営総務部長
 トライアル・サウンディングについては、利用を希望する民間事業者や市民団体等に無料で前広場を活用いただいている。
使用料金は、本来であればイベントの規模等、使用面積により金額が変わるものだが、仮に前広場全体を使用面積として想定した場合、1日当たり約11万円を減免したことになる。 

○杉本啓子 議員
 総額でいくら減免したのか。これは情報公開請求の記録にも出ているので、そちらにも記録があると思う。

○青柳道文経営総務部長
 すみませんが、手元に資料がないので、お答えできない。

✴️ 解説します!
公開請求の資料によれば、市役所前広場を、サザングッズ、茅ヶ崎FMグッズの販売で使用したとき、事業者が本来、市に払う金額は、全額でおよそ80万円になる。

○杉本啓子 議員
 また、現在までに、お試し期間だからと、広場をタダで貸した(減免とした)トータル金額はどれぐらいになると概算しているのか。

○青柳道文経営総務部長
 トライアル・サウンディングについては、現在、無償でやっている。お試し期間なので、減免額の概算は行っていない。 

市民には有料化、事業者には無料で貸し出し

○杉本啓子 議員
 事業者によっては、本来かなり高額な使用料を払うべきところ、それが営利目的であっても、何回も無料で利用させている。
 市民に対しては、受益者負担だと言って、有料化の料金を払わせて、その一方で、お試し期間だからと、営利目的の事業者に長期間タダで貸しているのは理解できない。
市民には、財政難で市民ギャラリーの運営費が負担だとか、受益者負担だとか、よく言えるものだと思う。市はどう考えているのか?

○青柳道文経営総務部長  
 先ほども答弁したが、当面の間、トライアル・サウンディングを実施していくという考えから、使用料を取ることは考えていない。

○杉本啓子 議員
 トライアルで広場を利用した事業者は、実績報告書を出すことになっているが、利用者数を報告するだけで、売上金額は報告されていない。実態はアンケート用紙になっている。
 例えば、「トライアル・サウンディングを本格的に実施した場合に、広場を1日いくらで借りたいか」というアンケートを取っていて、事業者は「1日1万円で借りたい」など答えている。
 しかし、茅ヶ崎市の条例で定めた金額ならば、1日の利用料金は5万円、10万円にもなるはずで、あまりに開きがあって、おかしくないのか? このアンケートには何の意味があって、どう使おうとしているのか?

○青柳道文経営総務部長
 アンケートについては、社会環境が大きく変化する中での前広場の高いポテンシャルを引き出し、誰からも愛される市民の憩いの場所とすることを目指し、さらなる効果的な活用方法を模索するためのアンケートを実施している。

✴️ 解説します!

部長は「1日当たり約11万円を減免したことになる。」と答えているのに、おかしいと思わないのだろうか?



本来は「市民のための場所」東横インの地域貢献施設

「市民ギャラリーや会議室など、市民が活用できる」として提案された場所だが、茅ヶ崎FM とカフェが入っている。


○杉本啓子 議員
 東横インホテルの「地域貢献施設」との関連について伺っていく。

 仮設庁舎の跡地については、平成31年3月に、跡地(市有地)を貸し付ける事業者選定が行われ、株式会社東横インが優先交渉権者に選ばれ、ホテルが建設された。
 しかし、プロポーザルで東横インが提案した地域貢献施設の内容とは、現在、全く違うことになっている。令和元年6月の全員協議会資料では、地域貢献施設は、「市民ギャラリー、会議室」と書かれている。また、選定委員会では、「ホテルとギャラリーの複合施設の提案で、ギャラリーは、市民や市民団体などが利活用できる提案を評価した」としている。
 また、東横インも、「市民ギャラリーとして、市の施設として、無料での提供を考えている」と提案していて、委員も、「無償でギャラリーを利用できるのはよい提案だ、純粋な地域貢献で評価できる」として採点している。

 しかし、現在、東横インの地域貢献施設には、茅ヶ崎FMや事務室、カフェが入っていて、プロポーザルでの提案が実行されていないと思うほど全く違う。

 結局、地域貢献施設は何に使われることになったのか、また、どのような契約の結び方になっているか、どこが借りていて、どこが運営主体なのか、全体像を質問する。
 
○青柳道文経営総務部長
 地域貢献施設の運営主体等、実施状況についてお答えする。
地域貢献施設については、株式会社東横インと一般社団法人茅ヶ崎市観光協会の協力体制が組まれ、茅ヶ崎市観光協会が主体となり、にぎわいの創出や地域活性化について取り組んでいく という提案を本年6月にいただき、市として承諾をしている。提案の中で、茅ヶ崎市観光協会が運営主体となっている。

○杉本啓子 議員
 地域貢献施設として入った茅ヶ崎FMも、市役所前広場を積極的に利用したいとしてイベントなどを提案している。
 しかし、さきに質問したように、広場は周辺住民の住居と大変近く、音は建物の上に上がるほど響いていく。音が流れるとか、イベントの回数、集まる人数などに影響を受けて、静かに休息することができなくなるし、今現在そういった状態にもなっている。
こういった住民側の迷惑について、市が観光協会やFM側にしっかりと事前に説明しないうちに、なぜ提案を許可したのか?

○青柳道文経営総務部長
 トライアル・サウンディングの利用時について は、地域貢献施設の運営事業者のみならず、全ての事業者に対して、「茅ヶ崎市役所前広場利活用トライアル・サウンディング募集要領」及び別に定める茅ヶ崎市役所前広場の利用方法に基づき、近隣の迷惑となる騒音を出すことのないよう、禁止事項ということで周知を行っている。

○杉本啓子議員
 茅ヶ崎FMは、建物の外にも音を流しているが、広場にも、住民の住居にも流れて、クレームになることも続いている。
こういったトラブルに対応したり、改善する責任者はどなたなのか? 
現在、大変曖昧な状態だが、契約上、どなたになっているのか?

○青柳道文経営総務部長
 地域貢献施設の運営については、一般社団法人 茅ヶ崎観光協会が主体となり実施している。施設の責任は、茅ヶ崎市観光協会が負うということで認識をしている。

○杉本啓子 議員
 実際のトラブルの現場では、ほとんど市の職員が対応している。茅ヶ崎観光協会の方の姿は見えないようだが、そのあたりはどのようになっているのか?

○青柳道文経営総務部長
 市に対して近隣住民から苦情等が入る場合な どについては、施設責任者へ指導するとともに、市の責務として対応している。 

✴️ 解説します!

責任者であるはずの観光協会など、カゲもカタチも見えない

○杉本啓子 議員
 地域貢献施設の提案は、市民ギャラリーや会議室といった市民に開放され るスペースで、市民がもっと自由に使える、市民が主体になる提案だった。ところが、実際は法人などが地域貢献施設でのスペースを占有しているような状態で、カフェのコワーキングスペースでさえ、市民は誰でも自由に使えるスペースなのかどうかも分からない状態になっている。

 プロポーザルは、提案8、価格2で提案の点数配分が非常に高い。本来、地域貢献施設は市民に開放され るスペースのはずで、広場の活用も含めて、あまりにも方向性が違っている。スペースや空間の使い方として、プロポーザルが公正に実行されていると思えないが、市はどう考えているのか。

○青柳道文経営総務部長
 地域貢献施設は、にぎわいを創出するための施設として整備が進められ、令和5年11月に全面オープンした。しかしながら、コワーキングスペース等、市民等が自由に利用できる空間については、コロナ禍等の影響等から、必要な整備の導入に遅れが生じていると報告を受けている。なお、設備が導入された後については、市民等が自由に利用できる施設になると伺っている。

○ 杉本啓子 議員
 市民ギャラリーもそうだが、本来、市民が使う場所、市民が活動する場所、市民が憩う場所を取り上げて、事業者に貸し出して使わせる、地域貢献施設も同じような状態にな っているように見える。市民が主体となって使う場所を、事業者が主体で使っている。
 財政難だ、受益者負担だと言って、市民からお金は取るけれども、事業者には、ただで貸し続ける状態になっている。市民に騒音など迷惑がかかっても、事業者優先でイベントを進めて、トラブルに対応する責任者の所在も姿が見えない、それが茅ヶ崎市の市民へ対するやり方のように思うが、市はどう考えているのか ?

○青柳道文経営総務部長
 前広場については、茅ヶ崎の豊かな自然を享受できる憩いの場をコンセプトとして、訪れる方の憩いの場となるほか、休日などイベント等によるにぎわいの醸し出す空間として、非常に期待されている場所だと認識をしている。
そのため、 数限られた公共施設を、やはり有効活用していくという観点から、今回、前広場については先ほど答弁したとおり、コロナ禍もあり、地域経済が疲弊しているというところもあり、キッチンカー等、 そういう形で実施をしてきている。

 それぞれの施設において責任の所在というところは、先ほども答弁したとおり、地域貢献施設については「観光協会」、前広場については「市」のほうでしっかりと対応しているところで、いろいろ騒音等の苦情、意見等をいただ いているということは、そこは承知をしているので、しっかりと真摯に対応してまいりたいと考えている。

✴️ 解説します!

責任者であるはずの観光協会など、カゲもカタチも見えない。「しっかり対応」などしていない。