12/20 一般質問「茅ヶ崎市の財政状況について」

茅ヶ崎市は財源を出せる状態にあるのか?

 令和2年3月に「茅ヶ崎市 財政健全化緊急対策」が出された直後、世界的なコロナウイルス感染が始まり、その影響で茅ヶ崎市も財政的に大幅な見直しを行っています。

令和3年、4年と、総合計画の実施計画を2年間先送りして、事業が止まっていた状態でも、なお「経常収支比率」は95%以上の推移で、「身の丈以上の経常的な収支が財政を圧迫している」ことに変わりありません。

これから(令和5年度から)総合計画の実施計画がつくられ、実行されていく中で、茅ヶ崎市は財源を出せる状況にあるのか、市民も注目しています。



(1) 性質別の決算状況について

◎佐藤光 市長  
 まず初めに、一般会計歳出決算における性質別経費の動向や今後の見通しについてお答えする。

 性質別経費の近年の動向としては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う社会経済への影響や、感染症対策としての施策の状況、それらに端を発したデジタル化の急激な進展などの影響により、コロナ以前の傾向とは異なるベクトルの推移が見てとれる。詳細については、担当の部長より答弁させていただく。

扶助費は増加の見込み

◆2番(杉本啓子 議員) 
 まず、扶助費の増加について。扶助費は子育て支援や生活保護などの福祉的な費用で、平成3年度は268億円となり増加する一方にあるが、近年の増加傾向と今後の見通しを伺う。

◎青柳道文 財務部長  
 扶助費については、リーマンショック以降の景気低迷などの影響から右肩上がりの傾向が続いていたが、近年は、障害者福祉や保育、子育ての分野で増加傾向にあるものの、景気動向等を受けた生活保護扶助費の減少傾向などもあり、全体としては横ばいの状況となっている。

 直近においては、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化による扶助対象者の増や、国において全国一律で実施する給付事業の影響を受け、大幅に増加している状況にある。今後は国による給付事業の終了により、短期的には減少に転じるものの、その後はコロナ禍によるダメージや昨今の物価高騰の市民生活に与える影響を一定期間継続することが想定されるため、扶助費については増加していくものと見込んでいる。

◆2番(杉本啓子 議員)  
 扶助費は縮小が難しい分野と思うが、見直しを行える部分はあるとすればどこか?

◎青柳道文 財務部長  
 扶助費については、扶助対象者の生活を維持するために支出される福祉的な経費であり、社会保障制度の一環として、生活保護法、児童福祉法、老人福祉法など各種の法律に規定されているもののほか、市が単独での施策として給付等を行うものがある。

市単独の施策については、財政健全化緊急対策においても、歳出削減策の一つに福祉的な事業を含む事務事業の見直しを位置づけ、実施計画の策定過程や予算編成過程等において、対象者や給付の水準等が現在の社会情勢に合致しているのか等の視点に基づく検証を行うとともに、見直しに向けた議論を継続的に行っている。 

人件費の見通しについて

◆2番(杉本啓子 議員) 
 人件費について伺う。人件費は平成29年の145億円をピークとして頭打ちで推移している状態だが、近年の職員数の増減と今後の見通しを伺う。

◎坂田哲 企画部長  
 近年の職員数の推移については、多様化する市民ニーズや度重なる制度改正等に対応するため、正規職員で担うべき業務量を見極めながら、会計年度任用職員等の効果的な活用、外部委託等を推し進めたものの、結果として職員数は増加傾向にあった。

 令和2年度からの財政健全化緊急対策については、「総人件費の削減」を見直しの柱の一つに掲げ、事業のゼロベースでの見直しやICTの活用などによって、市民サービスを低下させることなく、業務量の削減を徹底的に進めてきた。その成果として、令和3年度は、10年以上増加し続けていた職員数が減少することとなり、令和4年度についても、寒川町との消防の広域化によって増加した分を除けば令和3年度に続いて減少するということになった。

 令和5年度以降の定数管理については、茅ヶ崎市実施計画2025に合わせて策定する。(仮称)行財政経営改善戦略の中に定数管理の考え方を定める、(仮称)定員適正化推進方針を位置づけ、取組を進めていくこととしている。


◆2番(杉本啓子 議員) 
 令和2年度に会計年度任用職員の制度への移行があり、また、新たに「公務員定年延長」が取り入れられる。茅ヶ崎市は、再任用職員数が多いという行政改革での指摘もあった。今後の人件費の考え方や見通しを伺う。

◎熊澤克彦 理事・総務部長  
 人件費については、令和4年度の職員構成を基本として考えた場合、年度により大きく変動する定年退職者の退職手当を除くと顕著な増減はなく、ほぼ横ばいで推移するものと見込んでいる。

デジタル・トランスフォーメーションの推進や業務改善等により、業務量の縮減を図ることで、時間外勤務手当の削減に努めるとともに、業務の量や性質に応じて任期付職員や非常勤職員を活用しつつ、職員が能力を十分発揮できる働きやすい職場環境の充実に配慮しながら、可能な限りの総人件費の抑制に努めていく。 

物件費の大幅な増加について

◆2番(杉本啓子 議員) 
 物件費の増加は、経常収支比率悪化の大きな要因で、財政硬直化の一因となっている。財政健全化を行う中では、物件費は見直すべき経費の本丸と思われる。

 コロナの影響によるものを加えずに、平成22年度と令和2年度を比較すると、物件費は約1.8倍に増加している。令和3年度の物件費は126億円となり、増加が止まらない。物件費の最も大きな比率は「委託料」になるが、物件費増加の要因を問う。

◎青柳道文 財務部長  
 物件費については増加傾向にあり、その要因は、新設した施設の維持管理経費の増加や、労務単価の上昇による各種委託事業における経費の増加が主なものになる。 

 また直近では、ワクチン接種事業をはじめとした新型コロナウイルス感染症対策事業や、GIGAスクール構想を踏まえた情報機器の配備や通信に関する経費の増加を受け、さらに大きく増加している状況にある。

指定管理料は隠れ人件費

◆2番(杉本啓子 議員)  
 物件費の委託料である「指定管理料」は隠れ人件費となっていて、その実態が外から見えにくく、削減しにくくなっている。物件費は見直しが必要になっている。

 茅ヶ崎市は非公募で指定管理者になるケースが多い という指摘もあり、行政改革の審議会の中でも、「非公募で市指定管理者になるというのは非常に限られた、とても限られた決定的な理由がある場合ということになる。非公募であることを住民に明確に説明できる場合でないと、非公募での指定管理者の選定はできないはず」と言われている。

財政状態から見て、外郭団体やPFI事業者も含めて、物件費の厳しい見直しが必要と思うが、市の考え方を伺う。

◎坂田哲 企画部長  
 指定管理者の募集に当たっては、公募で指定管理者を選定することを原則としているけれども、例外として地域密着型施設(コミセンなど)や法人の設置目的と施設の設置目的が一致し、安定的な施設運営が期待できるなどの場合に限って、非公募で指定管理者の募集を行っている。

しかし、どちらの施設についても、指定管理者を選定する際には収支計画の審査を行い、人件費を含めた管理運営に必要な経費が適切に計上されているか、歳入増加策や経費縮減の提案があるかなどの視点で確認はしている。

 指定管理者制度は、公の施設のサービス向上と管理にかかる費用の縮減を目的にしていることから、指定管理料の積算時や指定管理者選定時の収支計画の精査はもちろんだが、管理運営の段階においても、収支状況などについて、しっかりとモニタリングを通じて適切に把握を行っていく。

普通建設事業費は増加する

◆2番(杉本啓子 議員)  
 令和4年度は、普通建設事業費は原則認めないとしているが、令和5年度から実施計画が作成され、計画が実行されていく。その場合、普通建設事業費はどのような状況となるか、今後の見通しを伺う。

◎坂田哲 企画部長  
 現在策定を進めている「茅ヶ崎市実施計画2025」では、重点戦略の柱の一つとして、災害に備えた強靱化の取り組みを掲げ、必要な事務事業を位置づけていくということにしている。

 激甚化する災害に対して、皆様の生活を守るための防災機能を有する施設の整備や、公共施設の長寿命化と耐震安全性確保のための計画的な維持保全を実施していくことによって、普通建設事業費は、一定程度、増加するものと考えている。

それぞれの事務事業の有効性等を把握し、優先度を判断した上で、災害時に対する強靱化の取組を位置づけ、強いまちづくりを目指していく。
  

増加が確実な公債費(借金の返済)

◆2番(杉本啓子 議員)  
 次に、増加が確実な状況にある公債費について。前回の総合計画では、耐震性に課題のある公共施設の再整備など大型事業を連続して実施した。その財源として市債を発行、その借金の返済が本格化することで、公債費の増加が確実な状況にある。

今は実施計画がないので、市債の発行が一時的に減っているが、令和5年から実施計画が策定されて、建設事業など実行されれば、新たな市債が発行される。こういった新たな市債発行が上乗せになり、さらに借金返済額は増えていくと思われる。今後の見通しを問う。

◎青柳道文 財務部長  
 「茅ヶ崎市実施計画2025」に位置づける事業も含めて、事業の実施に伴って市債の発行額が増加すれば、公債費の増加につながるのは当然のことであるが、一方で、公共施設の老朽化等による増加が見込まれる施設整備や改修経費の財源として、世代間の負担の公平の観点からも市債は大切な財源の一つであると考える。

 また市債のメニューの中では、元利償還金の一定割合が基準財政需要額に算入されるなど、一般財源による事業実施よりも財政面での優位が高いものもある。

本市では、特に近年、優位性の高い市債メニューの積極的な活用に努めており、平成30年度決算では、臨時財政対策債を除いた市債発行額約83億円のうち、基準財政需要額への算入が約8億円、率にして9.6%だったのに対し、令和2年度決算においては、市債発行額は約37億円、基準財政需要額への算入が約9億円、率にして24.3%、令和3年度決算においては、市債発行額は約24億円、基準財政需要額への算入が約5億円、率にして20.8%と大きく良化をしている。

今後においても、財政健全化緊急対策における市債の適正管理の視点に留意し、財源としての市債の優位性なども踏まえた中で、適切な市債発行や公債費の管理に努めていく。

◆元利償還金 ⇨ 借入金(地方債)の返済額及びその利子。



(2)財政の見通しと考え方について 
  
◆2番(杉本啓子 議員)  
 茅ヶ崎市では市税収入のアップは期待できない、公債費や扶助費などの増加が見込まれ、原油価格の高騰などによる経費の増大も見込まれる。財源確保それ自体が困難な中で、まず、どのように財源を確保しようとしているのか、市としての全体的な戦略を伺う。
  
◎佐藤光 市長  
 市としての全体的な戦略についてお答えする。「茅ヶ崎市実施計画2025」を策定するに当たり、これまで実施している継続的事務事業の見直しによる歳出削減や、国、県の政策的な財政支援の活用などによる歳入確保に取り組み、実施計画、事務事業を実施するための財源を生み出していくこととしている。

 また、具体的な事務事業の編成に当たっては、事業構想の熟度など事務事業の有効性などをしっかりと事前評価し、有効性の高い事務事業を順次しっかりと財源を配分していく。
  

優先順位の付け方は?

◆2番(杉本啓子 議員)   
 政策に優先順位をつけて、上位のものから予算をつけていくとしても、財政的には全ては実行できない。政策にはハコモノ(建築物)といった形を取るものもあれば、ごみの戸別収集のような形のない市民サービスもある。どのような考え方で、優先順位の上位と考えるのか。

◎坂田哲 企画部長  
 「茅ヶ崎市実施計画2025」の策定プロセスでは、各部局が抱えている課題認識の下、何を重要視しているかを踏まえて庁内で議論を深めてきた。その際には、政策目標の実現に効果的に貢献するかという有効性、早急に、今まさに実施すべきかという緊急性、市民ニーズなどから事務事業を実施することの必要性、実施手法が効果的かつ効率的となっているかという適切性など、多面的に判断をし、何を優先的に取り組むべきか検討してきた。

仕事のやり方を見直す必要がある

◆2番(杉本啓子 議員)  
 厳しい財政難を理由に、新たにごみの有料化、駐車場の有料化などスタートして、市民からお金を取り財源としている。市民に有料化を求めるのなら、行政側の仕事の厳しい見直しも必要。ここ10年余り、大型の建設事業を連続させて、維持管理コストや借金の返済額も膨れ上がった。

 また、道の駅は初期計画で1000万円の委託費など当たり前だと、安易にスタートして計画が白紙になり、数千万円無駄にしている。最近では、博物館の用地として購入した土地からアスベストなどが出てきて、多額の処理費用を発生させている。

 市民に有料化を問う前に、同じようなことを繰り返す仕事のやり方を見直す必要があるし、事務事業費や固定費も減らさないと政策的なものは入らないし、捻出できない。仕事をする中で、身の丈以上の事務事業費が財政を圧迫しているという部分も、しかし、大なたを振るって仕事のやり方を見直しているとは思えないが、市の考え方を伺う。

◎青柳道文 財務部長  
 ごみ有料化や公共施設附帯駐車場の有料化に関する所見が議員からあった。ごみの有料化については、ごみの処理に関わる本市のキャパシティーに限りがある中で、ごみの減量化が近々の課題であるという視点や、受益者負担のバランスという視点などを併せ持った上で進めてきた。
 
 次に、公共施設附帯駐車場の有料化についても、利用する方と利用しない方との公平性の観点や、目的外使用や長時間利用、入庫待ちによる交通渋滞などの課題解決という視点を踏まえて整理してきたものであり、これらのものは決してお金がないからという理由で進めてきたものではない。

 また、経常的な経費の削減について、まだまだ取組が足りないという趣旨のお言葉もあったが、本市がこれまで進めてきた財政健全化緊急対策については、新たな行政需要に対して適切に対応していくためには、職員数をはじめとした行政運営の体制や仕事の進め方、既存の事務事業などをゼロベースで見直し、廃止すべきものは廃止し、見直すべきものは見直し、残すべきものはしっかり残す、そういった取組が必要不可欠であるという認識に立ち、市長のリーダーシップの下、市民や関係団体の皆様のご理解とご協力を得ながら、相当な覚悟を持って全庁を挙げて進めてきた。

この取組によって、これまでの増加の一途をたどっていた職員数については、コロナ禍における緊急的な対応が続いている現在にあっても、身を切る思いで減少傾向に方向転換した。また、経常収支比率をはじめとした財政指標についても良化し、市債現在高も減少するなど一定の成果につながったものと考えている。
 
 大なたを振るって大きなところを削るに至っていない、とのご所見もあったが、基礎自治体である本市が実施する事業は、市民生活に直結するものが多く、様々な経緯や沿革を経た上で現在の姿に至っていることもあるため、それらの見直しに当たりましては、むやみやたらに削減すればよいものではなく、社会経済や市民生活への影響などを十分に踏まえた中で検討されるべきものであり、財政健全化緊急対策の推進に際しても、この点に留意しながら進めてきた。

財政健全化緊急対策の取組期間は、今年度をもって終了となるが、今後想定される新たな行政需要を見据えた中で、同対策のマインドに基づく取組は必要不可欠であるという認識の下、今後においても、めり張りをつけながら不断の取組を進めていく。



都内より緑や公園のない茅ヶ崎

◆2番(杉本啓子 議員)   
 今、茅ヶ崎市は都内よりも緑や公園のないまちになっている。
緑、公園はもはや生活していく上での市民の権利です。緑の濃い住宅街は価値観が上がるし、文化度も高くなる。緑がなくなれば、その逆でしょう。

 文化、緑や景観、公園政策を考えるとき、茅ヶ崎市には、ジグソーパズルで言えば、ピースが1つ足りない状態。だから、壁にかけるたびに、ばらばらと崩れ落ちる。また、それを一からはめ直す。税金と時間はかかっているのに、いつまでたっても先に進まない。

 文化と景観、公園、緑の保全が連携して一体化してないから、人事異動があるたびに一からの繰り返しになる。

財源から見れば、人、金、物を非常にロスしている状態。財政難であれば、こういうロスをどうして厳しく見直さないのか理解できない。市がどう考えているのかを伺う。

◎坂田哲 企画部長  
 本市においては、自然や風土を生かしつつ、市民ニーズに効果的、効率的に対応し、市民の皆さんが活力を持って生活されるよう、まちづくりに取り組んできている。こうした取組を推進するため、市の内部には様々な専門分野を担当する組織を設置し、それぞれがその特性を生かした中で、まちの活動を支える働きを担っている。

 また、こうした組織が単体ではなく、しっかり横の連携を図り、市の限りある財源を有効活用することで、より充実した事業の実現や適切な市民ニーズへの対応につながるものと認識している。引き続き、庁内での連携を十分図るとともに、組織を支えるそれぞれの職員が、今まで以上に専門性を備えながら、しっかりと組織のミッションを共有し、市民の皆さんともしっかりと手を携えながら、茅ヶ崎市がさらに魅力あふれるまちとなるよう取り組んでいく。

 
(2022/ 12月議会)