茅ヶ崎市総合体育館の天井について

地震で天井材が落下、構造材にゆがみ

2021年10月7日、千葉県北西部を震源とする M5.9(最大震度5強)の地震が発生。茅ヶ崎市内で震度4を観測したこの地震の影響で、茅ヶ崎市総合体育館では1階の第1体育室の天井材のズレと落下が発生。2階の第2体育室では天井材のズレが発生した。
 
その後、第1体育室、第2体育室の点検を専門業者が実施したところ、第1体育室では天井材を支える斜材のゆがみと部材の破断が確認され、第2体育室も部材の破断などが確認された。復旧工事が必要なため、現在は使用を中止している。(ロビーやトレーニング室は利用可能。)

工事予算は1億668万円

12月議会での建築課の説明では、第1体育室、第2体育室の天井材の撤去工事を行う。1月中旬に一般競争入札を予定、3月中旬に事業者と契約、6月末までの工期となる。

工事のための補正予算は1億668万円。(一般財源から)


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(写真上)第1体育室は天井が高いため、天井材を取り払って構造材がむき出しでも支障がないだろうとのことで、天井材を撤去する予定。


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(写真上)第2体育室は、特定天井にならない平米2キロ以下の軽い復旧材で、天井材を張り替える予定。

総合体育館は「特定天井」

総合体育館の第1、2体育室の天井部分は、平成26年の 建築基準法施行令第39条3項 に規程された「特定天井」になっている。

この法の施行以前に、大空間の高い天井の部分については危険性が認識されていたことから、総合体育館の天井については平成20年に崩落対策を行った。
しかし、当時は「特定天井」の補強について、改修方法が確立されておらず10月7日の震度4の地震に耐えられなかったと推測される。 


時系列で見てみると、

平成元年 茅ヶ崎市総合体育館が竣工される(現在32年が経過)

平成20年 天井下地材の補強工事を行う
平成10年代の地震時の大規模空間の天井崩落を受け、平成15年国交省から大規模空間を持つ建築物の天井の崩落について技術的助言が通知され、総合体育館の高い天井については、平成20年に補強を行った。
しかし、平成20年当時は、崩落対策として明確な改修方法や対処法は示されていないことから、単に振れ止め等の強化をはかった。


平成26年 建築基準法施行令39条に第3項が追加され、「特定天井」が定義され、脱落・落下防止の技術的な基準が定められる 

平成23年3月の東日本大地震で、多数の大規模空間の天井が崩落。国は平成26年に高さ6mを超える、面積200平方メートル以上の吊り天井を「特定天井」と位置付けた。茅ヶ崎総合体育館、市民文化会館などが該当する。


平成22年に策定した茅ヶ崎市公共建築物中長期保全計画のなかの予防施設の対象施設に位置付け、建築基準法第12条点検や、施設管理者による年2回の維持管理点検、非構造部材を含む安全生の確認など行いながら、維持管理を行ってきた。

茅ヶ崎市は非構造部材はもとより、耐震性に課題のある公共施設の対応を行っており、危険度や緊急度にあわせて市民文化会館の耐震改修を優先的に行い実行してきた、と説明している。

 (*非構造部材とは:柱、梁、床などの構造体ではなく、天井材や外壁(外装材)など、構造体と区分さ れた部材を「非構造部材」といいます。 )

総合体育館は、東日本大地震では天井の仕上げ材の一部が落下したが、点検の結果、天井を支える下地や金具に問題はなく復旧した。

(12月議会での市の回答より)


平成20年に補強工事は行っているが、平成26年の基準に準じたものであったのか説明からは分からない。


参考

建築基準法施行令39条1項では、「地震」「風圧」「衝撃」等によって天井が脱落・落下することがないよう対策を講じることが規定されていた。

しかし、2011年の東日本大震災において、吊り天井等の落下など、天井に関連した被害が多発したことから、天井の脱落・落下対策を強化することを細かく定める法整備が必要となった。

その結果、平成26年4月1日に建築基準法施行令39条に第3項が追加される改正が施行され、その中で「特定天井」が定義され、脱落・落下防止の技術的な基準が定められた。

具体的には、「特定天井」とは「日常的に人が利用する場所の高さ6m超、面積は200平方メートル超、質量は2kg/平方メートル超の吊り天井のこと」とされている。

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