一般質問「児童クラブの待機児童対策について」

過去最高となった児童クラブの待機児童数

 今回、茅ヶ崎市の待機児童対策について質問するきっかけとなったのは、小学校低学年のお子さんを持つお母さんからのメールでした。

児童クラブに小学校3年生になるとほぼ入れない。仕事を辞めることもできないし、子供1人で留守番させるのも不安。

市にメールしても返信がもらえず、窓口では予算がなくて改善は難しいと言われてしまう。

「どうすればよいのか? 」多くのお母さんたちも同じ悩みを抱えて途方に暮れている、安心して子育てしながら働けるよう対策を考えてもらいたい。

そういうメールでした。

今回は、茅ヶ崎市の児童クラブの待機児童をどう解消するのかを質問していきます。 (令和5年 6月議会)
 

児童クラブの待機児童を解消する対策について

過去最高となった児童クラブの待機児童数

◆2番(杉本啓子 議員)
 茅ヶ崎市でも共働き世帯は増え続けていて、それに伴って女性の就業者も増え続けています。当然、「子供を保育園や児童クラブなどに預けたい」という需要も増えます。ベッドタウンとして市外からファミリー世帯の転入が続く茅ヶ崎市は典型的です。

子供の数は減少しているとはいえ、今後さらに待機児童の増加は予測されます。

特に、小学校1年から3年生の低学年の子供を預けたい、でも預けられないという状態は、市が本気で解消対策 を考えなければならない状況です。

児童クラブの待機児童数について、今までの推移や現在の人数など、茅ヶ崎市の現状と今後の状況の予測を伺います。

◎竹内清 教育長 
 児童クラブの待機児童数は、令和元年度をピークに減少傾向でしたが、令和4年度に再び増加に転じ、令和5年度では過去最高となりました。

令和5年6月1日の待機児童数は167名で、そのうち、1年生から3年生までは105名です。令和4年度の同時期は89名でしたので、2倍近くの増加となっていす。

 市では、平成30年2月に「茅ヶ崎市待機児童解消対策」を策定し、令和2年2月に修正を行い解消に取り組んできましたが、待機児童数が再び増加傾向となったため、令和5年3月に、令和5年度〜7年度までの対策を新たに策定し、待機児童解消を目指し取り組んでいます。
 

具体的な対策はどうなっているの?

◆2番(杉本啓子 議員)
 そして、今回の質問の中心となるところです。市は、児童クラブの待機児童を解消するための対策として、「児童クラブだけでなく小学校ふれあいプラザなど、多角的な居場所づくりを検討しなければならない」としています。

市の対策の現状や課題などを順次伺っていきます。

まず、令和5年度の主要な事業として、児童クラブ待機児童解消対策推進事業として約1270万円の予算がついています。これは何に使う予算ですか?

◎竹内清 教育長 
 30名以上の待機児童が発生している松林・室田小学校区に、令和6年4月、新たな民設民営児童クラブを整備するための費用です。定員は40人から80人前後を設置の条件の一つとしており、一定の改善につながると想定しています。

 
◆2番(杉本啓子 議員) 
 1270万円の予算によって新たに民設民営の児童クラブが開設されたとしても、待機児童の解消には遠く及ばないのは明らかです。1270万円というのは積極的に待機児童の解消を考えている金額とは思えないし、到底足りないです。

茅ヶ崎市は、児童クラブの整備だけでなく、多角的な視点からの児童の放課後居場所づくりを行うとしていますが、ほかにはどのような解消対策にどれぐらいの金額を使っていくのですか?

◎村上穰介 教育推進部長  
 民設民営児童クラブの開設以外の解消対策としては、児童クラブに入所していない小学4年生以上を対象として、長期休暇対策事業 を実施していて、令和5年度の予算額は1778万円です。令和5年度から、児童クラブを利用していない3年生も対象に含めることにしました。

 また、現在、市内の18小学校で開設をしている 小学校ふれあいプラザ事業 についても、放課後の子供たちの安全・安心な活動拠点の確保という視点から、開催日数や時間の拡充に取り組んでいます。

現在の小学校ふれあいプラザの開催状況は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、令和2年度に一定期間、一律休止した後、コロナ禍前の開催回数までは回復していない状況ですが、令和5年度は、新型コロナの5類感染症への移行を受けて、コロナ禍前の開催回数を目指した取組が、各小学校ふれあいプラザで進められているところです。

小学校ふれあいプラザ事業の令和5年度予算額は、1957万円です。

小学校ふれあいプラザでは待機児童解消できない

◆2番(杉本啓子 議員) 
 小学校ふれあいプラザをコロナ感染前の運営状態に戻していくということですが、夏休みの長期休暇対策にしても、プラザにしても、ニーズはさらに増加しています。特にプラザはボランティアに頼っている状態で、前の状態に戻せるのかも疑問だし、また、以前の状態に戻ったら待機児童は解消すると市は考えているのですか?

◎村上穰介 教育推進部長  
 小学校ふれあいプラザ事業は、放課後などに児童に安全・安心な遊び場を提供するため、国の放課後子ども教室推進事業に位置づけ、推進を図っている取組です。

小学校ふれあいプラザの開催日数や時間は、現在のところ、新たなパートナー募集にも力を入れながら、コロナ禍前の開催状況に戻すことを目指していますが、今後さらに開催日数や時間を拡充したとしても、その対策だけでは、待機児童数を減少することはできても、解消させることは難しいと考えています。

 待機児童の解消に向けては、小学校ふれあいプラザ事業の開催日数等の拡充だけではなく、そのほかにも、児童クラブの整備や、長期休暇対策事業の拡充等、多角的な視点から児童の放課後の居場所づくりを検討するとともに、青少年問題協議会等の機会を通して、多様な主体と課題意識の共有を図っていきます。 


◆2番(杉本啓子 議員) 
 もともと児童クラブとプラザでは子供を預かる目的が違うので、子供を預けられる時間帯も日数もかなり違います。茅ヶ崎市の場合、現在、児童クラブは何時から何時まで子供を預けられるのか、プラザは何時から何時まで子供を預けられるのですか?

◎村上穰介 教育推進部長  
 児童クラブ は、原則日曜日と祝日、及び12月29日から1月3日までの年末年始、それ以外で開所しています。また、学校行事などに伴う振替休日等にも開所しています。開所時間は、月曜日から金曜日までは小学校の授業終了後から19時まで。学校の休業日は8時から19時までです。ただし、18時から19時までは延長保育料が必要となります。

 小学校ふれあいプラザ事業 は、開催する小学校によって、開催日、開催時間が異なりますが、開設日は、各小学校の状況に応じて週2回から週5回までという状況です。開設時間は、おおむね14時45分から15時30分までの間に始まり、冬の間以外は16時30分から17時まで、冬期については16時15分から16時45分までの間に終了する、ことになっています。


《児童クラブ》
・月曜日〜金曜日 小学校の授業終了後〜19時まで
・学校の休業日  8時から19時まで(18時から19時までは延長保育料が必要)
・日祝、年末年始は休み


《小学校ふれあいプラザ》
小学校によって、開催日、開催時間が異なる
・開設日  週2回から週5回まで
・開設時間  14時45分〜15時30分 に始まる
冬期以外 16時30分〜17時まで、
冬期は  16時15分〜16時45分までの間に終了する

(う〜ん、冬とか1時間ぐらいしかいられない場合もありそう、、)


 


◆2番(杉本啓子 議員) 
 子供を預けて働きたいというお母さんたちの切実な視点から見れば、やはり、児童クラブの日数や時間帯でないと仕事を見つけられません。

たとえプラザが以前の状態に戻っても、子供を預けられる日数が不足していたり、時間帯が短かったりでは仕事を見つけられません。プラザの時間帯では仕事に就いている人まではカバーできないです。

それでは、どうしましょうか? どうやってそこを解消していくのか? ここからが茅ヶ崎市の本当の本気の待機児童の解消対策になっていきますが、市はどのような対策を考えているのですか?

◎村上穰介 教育推進部長  
 待機児童の解消に向けては、児童クラブの量的な拡大及び民間ノウハウの活用による効率的運営の両立を目指した民設民営クラブの拡大や、長期休暇対策事業の拡充、小学校ふれあいプラザ事業の拡充等、多角的な取組が必要と考えています。

茅ヶ崎市は、本気で待機児童解消を考えていると思えない

◆2番(杉本啓子 議員) 
 現在の市の対策を見ると、本気で待機児童解消を考えているとは思えません。それは、お母さんたちも同じ意見です。

例えば茅ヶ崎市では、小学校2年生の子供を持つお母さんが、2年生では児童クラブに入れたけれども、3年生になるとほぼ入れなくてみんな落ちてしまう。来年、2年生の子供が3年生になったとき、入れるのかとても不安になる。やむを得ず民間の学童に入れると月に7万円ぐらいかかってしまう。仕事を辞めるわけにもいかないし、子供を1人で留守番させるのは不安。市の窓口にも行ってみたけれども、予算がないので改善は難しいと言われてしまった、、多くのお母さんたちは同じ悩みを抱えています。

「今後、茅ヶ崎市は本当に本気で改善していただけるのでしょうか?」という多くのお母さん、あるいはお父さんたちからの質問に対する市の回答を伺います。

◎村上穰介 教育推進部長  
 先ほど説明した取組は、令和5年3月に策定した児童クラブ待機児童対策に位置づけをしているものです。これら取組を含めて、児童クラブ待機児童対策を確実に進捗させていくことで、保育の必要性がある児童が一人でも多く児童クラブに入所できるように、まずは3年生までの待機児童解消を目指して全力で取り組んでいきます。 

思いきった民間導入を考えてほしい!

◆2番(杉本啓子 議員) 
 子供を安心して預けて働きに出られるという視点から見れば、プラザの日数が多少増えたとしても、結局は児童クラブ並みに毎日利用できるとか、遅い時間まで預かってもらえるようにしないと中途半端で機能しません。待機児童解消策にはつながっていかない。

それであれば、予算がかかったとしても、横浜市や鎌倉市で行っているような児童クラブとプラザを一体化させて運営するなど、思い切った民間導入も含めて早急に工夫していく、検討していく必要があると思いますが、市の考えを伺います。

◎村上穰介 教育推進部長  
 児童クラブと一体型の小学校ふれあいプラザ、これは小学校ふれあいプラザと児童クラブの双方が同一の小学校内等を活動場所として、小学校ふれあいプラザの活動プログラムに児童クラブの児童も希望すれば参加できるというものとされています。

この児童クラブと小学校ふれあいプラザの一体化を検討するに当たっては、地域の実情に応じて整備を進めていく必要があり、この両方の事業に関わる従事者とか参画者とか、こういった皆さんが連携して取り組んでいくことが大変重要になってくると考えています。

今後については、児童クラブと小学校ふれあいプラザの一体化によるメリットやデメリット、具体的な運営方法等について、また、県内でも導入済みの自治体があるということは承知をしていますので、先進事例などについての調査研究を進め、また、国の動向等も注視しながら、本市におけるよりよい方向性を探っていきます。


◆2番(杉本啓子 議員) 
 民間では、小学校の施設を活用して、1年生から6年生までを対象にして、児童クラブとプラザを一体化させて放課後の居場所をつくっていく、という事業を行っています。3段階の預け方を選べるようになっていて、夕方4時までなら無料、朝の8時半から夕方5時までは有料、もっと遅い時間も料金は高くなるが夜7時まで預けられるというシステムがあって合理的です。

今までのプラザの形態ではなくて、安心して働けるように、早急に本気でシステムを考えてほしいというのが子育て世代からの強い要望です。

市として民間を導入していくのかどうか、もし導入の予定がない場合は、それに代わるシステムを市が責任を持ってつくり上げていくのですか?

◎村上穰介 教育推進部長  
 児童クラブと小学校ふれあいプラザの一体化に伴う民間の導入についても、その導入に伴うメリットとデメリット、また、県内先進事例などについての調査研究を進めて、また、国の動向などにも注意をしながら、本市におけるよりよい方向性を探っていきたいと思います。 

 
待機児童解消への予算と優先順位について

◆2番(杉本啓子 議員)
 茅ヶ崎市は、プロモーションに予算をつけて子育て世代を呼び込んでいて、茅ヶ崎市へ転入する世帯が増えています。そうなると、共働き世帯、働く女性が増えて、子供を安心して預けられる保育所や児童クラブの整備が必須になります。

 子供を育てながら、特に、女性が当たり前に働ける整備を進め、生活基盤をつくることで経済が活性化するため、待機児童対策は、財政、経済対策ともいえるものです。

しかし、茅ヶ崎市に子育て世代を呼び込んでも、子供を安心して預けて働ける環境がしっかり整備されていない、安心して働けるためのキャパがないのに呼び込むのでは、市として無責任です。待機児童対策を優先度としてどのように考えているのですか?

◎佐藤光 市長 
 今年度からスタートした「茅ヶ崎市実施計画2025」においては、事業構想の熟度や有効性等、様々な側面から事務事業を事前評価し、優先度の高い事務事業から順次しっかりと財源を配分していくこととしています。

また、計画期間中に、特に重点的かつ分野横断的に取り組むべきテーマを重点戦略として位置づけており、待機児童解消対策を含む子ども・子育て支援の取組についても、重点戦略の一つとして優先的に取り組んでいます。
  

待機児童の解消は、財政難だからこそ、やらなくてはならない

◆2番(杉本啓子 議員)  
 以前は、待機児童対策は、働きたい女性への「支援」のような捉え方だったかもしれませんが、今は共働きで女性が働くことは当たり前で、女性が安心して仕事に就けるのは支援ではなく「当たり前の権利」になっています。

子育て世代に安心して働いてもらうことで茅ヶ崎市の経済が活性化していく、そのキーを担う人たちです。ですが、働きたいのに保育所や児童クラブに入れない。しっかり確実に子供を預けられないと生活基盤がつくれません。

 財政難というならば、むしろ待機児童の解消に積極的に予算を投資して、働きたい女性に安心して働いていただく。そのことで市の地域経済が活性化していきます。そういう時代です。

待機児童の解消は、「財政難だからできない」ではなく、「財政難だからこそ、やらなくてはならないことなのではないですか?」という子育て世代からの問いかけについて、市のアンサー、回答を聞きたいです。お答えください。

◎坂田哲 企画政策部長 
 行政課題が多岐にわたる中、市議会にも審議いただきながら財源を配分し、事業を進めているところです。特に実施計画2025においては、財政難だから事業を抑制するという考え方ではなく、不断の見直しによる歳出の削減と歳入の増加策に取り組みながら、将来の茅ヶ崎を見据えて、真に必要な事業に財源を配分することとしています。このような考えの下、待機児童解消対策を含めた子ども・子育て支援の取組は、重点戦略として優先的に取り組んでいるところです。 

市にとって待機児童の解消はマスト(Must) なのか?

◆2番(杉本啓子 議員) 
 市の厳しい財政状況の中でどう予算をつけていくかは、事業に優先順位をつけるという方法を取っているという説明でした。必要性とか緊急性があるかに応じて優先順位をつける。最初、この方法はよいと私は思っていましたけれども、このやり方は市民にはよい方法ではないと思うようになりました。

なぜなら市役所の職員の目線の優先度というのは、市民目線と全然違ったりする場合があるからです。違ってしまえばそれまでだからです。

ですので、優先順位という聞き方ではなく、茅ヶ崎市にとって待機児童を解消するという対策事業は、絶対にしなければならないマスト(must)なのかどうかでお聞きします。お答えください。

◎坂田哲 企画政策部長 
 今の人口減少社会における少子化対策は、我が国、日本どこでもそうですけれども、根源的な課題の一つであると考えています。本市においても、最大の行政課題の一つであると捉えています。本市が持続可能なまちであり続けるために、待機児童対策を含む子ども・子育て支援については、今後も力を入れて取り組んでまいります。 

◆2番(杉本啓子 議員) 
 茅ヶ崎市ではお祭りとか、コンサートとか、キッチンカーのイベントなどいろいろあります。でも、子供を預けて仕事に就けないと行く気にならない、使えるお金もない、と子育て世代の方は言います。

見栄えのよいところばかりプロモーションしても、住んでみたらこれだった、というのが茅ヶ崎市なのか?、子育て世代への回答をお願いします。

◎坂田哲 企画政策部長 
 市民の皆様、24万人いらっしゃるなかで、大事だと思う施策や、興味がある分野は、日頃から皆さんそれぞれが活動している分野で、どこを重点にしてほしいかは差があるものと考えています。

市としては、総合計画を策定し、実施計画を策定する中では、市民の皆様のアンケートを取り、意識調査をし、その中でどのくらいの人がどの施策に満足をしているのか、また、満足していないのか、どの分野を重点的にやってほしいのかをお答えいただいています。

また、市民の皆様から直接意見を伺う場面もあり、そういったところで寄せられた声、また、日頃から市に寄せられる要望なども勘案して、多角的な視点で総合的に判断して、今回このような実施計画を策定したところです。

また、実施計画に基づく予算については、市議会にも審議いただいた中で可決していただき、今その取組を進めているところです。


以上 


pinkgreen58.hatenablog.jp