「知ってビックリ! 柳島スポーツ公園」ちがさきレポート vol.7

知ってビックリ! 柳島スポーツ公園

それでは、市民の皆さまに質問です。

✴️「公共の競技場やテニスコート、体育館、駐車場などの利用料金は、どこに入ると思いますか?」

多くの方が「市の収入になる」と回答します。利用料金は市に還元されるイメージですね。

でも、茅ヶ崎市では利用料金が市に入るケースはほとんどなく、維持管理や運営を行う事業者の収入になります

柳島スポーツ公園の建設には、用地の取得費20億円、建設費としてすでに30億5千万円を税金で支払っています。
さらにこの先17年間にわたって、柳島スポーツ公園に毎年支払う金額は2億円〜2億8千万円。(維持管理・運営費が1億円と残りの建設費、修繕業務費など。)

1日当たり55万円〜77万円の支払いになり、それでも市に入る収入はゼロに近いんです。


柳島スポーツ公園のPFI手法とは?

 茅ヶ崎市は、「民間企業の資金とノウハウを利用して、コスト削減と市民に提供するサービスの向上」をお題目に、柳島スポーツ公園にPFIという新たな事業方式を採用しました。

柳島スポーツ公園のPFI事業は、約74億円で落札され、落札事業者が設計・建設を行っています。

また、落札事業者が出資して企業やNPOで構成された特別目的会社(SPC)を設立し、指定管理者として市と20年間の長期契約を結び、柳島スポーツ公園の維持管理・運営を行っています。(通常の指定管理の契約は、4〜5年です)

 つまり、柳島スポーツ公園の場合、
土地の取得費、計画・設計費、建設費、維持管理費、運営費、修繕業務費などはすべて市の負担(税金)でまかなっています。
事業者(SPC )は、市から維持管理費と運営費として毎年1億円 受け取り、さらに、施設や駐車場の利用料金など収入はすべて事業者(SPC)が受け取ってよいとしています。


PFI のデメリット 
 PFI方式は、民間の経営感覚からすると、事業者は低いリスクで事業を行えるうえに、収入は全部もらえるという至れり尽くせりの方法にも思えます。 

茅ヶ崎市は非常に厳しい財政難で「お金がない」と言ってる状態ですが、PFI方式は最適だったのか非常に疑問です。これを一つ一つ見ていきましょう。

PFI方式には様々なデメリットも指摘されています。

①従来の方法よりコストがかかる可能性がある
②収益の透明性が欠如している
③PFI方式 について市は検証していない

むしろコストが高くついているのでは?

 PFI手法では、資金の調達を事業者が行います。しかし、金融機関から市が直接に借入れるより、事業者が借り入れる金利のほうが高い ことがデメリットとして指摘されています。

「市と事業者と比較してどちらが安上がりの資金調達なのか?」一般質問で聞きましたが、市からは「手元に具体的な数字がない。」という、比較もしていない驚きの回答でした。 

市民への収益の透明性がない

 柳島スポーツ公園の事業者(SPC)からは、収支報告書などは市に提出されています。それを市民が情報開示を求めると、施設利用料など事業者の収入金額が黒塗り で公開されます。(議員が請求しても黒塗りです!)

 いやいや、だって市民は柳島スポーツ公園の建設や周辺整備や維持管理・運営に100億円超えて支払うんですよ。それに、施設の利用料や駐車料などの収入は事業者が受け取ってよいとしているので、市には入りません。それなのに収支報告書が黒塗りでは、市民は税金で柳島スポーツ公園に支払っている金額が適切なのか、その根拠も分からず、判断もできないでしょう。市も事業者も市民への説明責任が果たせない状態です。

いったい市は何を考えているのでしょうか? 

⭐️市民に収益の透明性を示せないなら、PFI 手法は導入すべきでないでしょう。 


(写真上)事業者の選定委員会で満点評価となり、落札の決め手となった自由提案施設(クラブハウス)。事業者は年間120万円の地代を市に払い、独立採算で事業を行い、その収入は事業者に入る。

市民サービスが適正に提供されていますか?

 柳島スポーツ公園のPFI手法は、コストや収支面だけでなく、市民サービスへの不満という問題も抱えています。なぜなら、柳島スポーツ公園の施設利用の優先順位は、
①市 ②指定管理者 ③市の協会・団体 ④そして、最後が市民 という順番だからです。

土日・祝日の昼間という誰もが一番使いたい時間帯を、先に事業者などが優先枠で押さえてしまい、市民の予約抽選が済んだあとも空いていれば、さらに事業者が押さえます。市民の利用する自由度は非常に狭くなっています。

市は、事業者の優先利用枠を次のように定めています。

6時〜12時、12時〜18時、18時〜22時の、それぞれの枠の中で、土日祝日の設定は4分の1以下とし、平日の設定は3分の1以下とすること。 

 
 月別にみると、土日・祝日の12時〜18時で事業者が4分の1をオーバーして使っていることは多々あります。

しかし、月でオーバーしても、年でオーバーしなければいいという考え方なので、GWや連休、週末をまとめて事業者に優先利用されても市民は何も言えないわけです。(一般的な公共スポーツ施設では、事業者にここまでの優先枠は与えていません。)

PFIを導入する必要があったのでしょうか?

 PFI方式は、市の財政負担を削減できるとしていながら、市は検証もしていません。

コストはむしろ従来より高くついている可能性もあり、駐車料金は2時間の減免もなしです。

事業者の自由な発想で運営するといっても、「過剰な施設の優先利用が市民の自由な利用を圧迫している」「優先利用の透明性にも疑問がある」という声もあります。

事業者(SPC) から提出された平成30年度、31年度の事業評価では、収支が想定計画以上で、特に競技場とテニスコートの利用料が想定を上回る結果となっている、と報告されています。

そもそも柳島スポーツ公園は、PFIを導入するほどの規模を持ったスポーツ公園なのか疑問で、公園としてのみどりの扱いや意識も中途半端です。

それならば、従来の委託方式(市が直営で管理運営する)のほうが、利用料は市に入るし、駐車料金を2時間減免するのも可能、市民サービスも市民優先で提供できてよかったのではないでしょうか?

 


(写真上)投てきゲージはほとんど使用されず、雨ざらし。ハンマー投げ、円盤、やり投げの用具は倉庫でさびている。(陸場用具は約8千万円で市が購入)。また、入札時に高点数を受けた、パーク・アンド・ライドは3年間で1度しか実行されていない。 

市民を「たらいまわし」にしないでほしい

 PFI方式を取り入れるなら、市民は相応の市民サービスを事業者から提供してもらうこと、何より運営の透明性が市民にはっきり見えること、これは当然です。

事業者の優先利用についてなど、市民が疑問を持ち説明を求めたときに、市も事業者も明確に説明できずに両者が責任を投げ合い、市民がたらい回しになっています。

 柳島スポーツ公園の駐車料金は、開園当初から「なぜ2時間減免にしないのか?」という声が圧倒的でした。市は「要求水準書で事業者は料金の徴収をする としたので無料にできない」「事業者は駐車場収入を見込んだ収支計画を立てている、その運用は事業者の判断による」と説明しています。

「え〜? 市は 2時間減免 を事業者に求める 権限がないの? なんで?」という市民の疑問はもっともです。いや、だって100億円超の税金を投入してるのですから。

 柳島スポーツ公園のPFI事業の不可解さには、議員になる前から疑問をもっています。一般質問して驚くのは、市が本当にコスト削減につながっているのか検証を行っていないことです。

市は、さらにこの後「道の駅」と「粗大ごみ処理施設整備」の事業方式に「DBO方式」を採用するとしています。DBO方式はPFI方式と違い、資金調達は市が自分で行います。

でも、ちょっと待って。

柳島スポーツ公園に最適であると判断して市が取り入れたのが PFI方式(BTO、混合型)の20年契約です。そのときに、いくつかの事業手法でシミュレーションして、逆に最も評価が低かったのがDBO方式でした。

こうなると、市が正反対な判断をした公共施設が、ふたつ隣り合って建設される訳です。不思議ですね。 


VFM(バリュー・フォー・マネー)とは

 従来の委託方式と比べて、PFIが総事業費をどれだけ削減できるかを示す割合のことです。

PFIの導入で市は財政負担を3億800万円削減できるとしています。問題はこのVFMを計算するときに使う金利の数字です。これが金利4%とか、現実離れした数字が使われていて(長期国債の金利など限りなくゼロに近いのに)、計算上で使う金利の数字が大きいほど、コスト削減効果の数字も大きく出てきます。 
そうなると、どの事業手法を選ぶかを検討する段階で、従来の方式よりPFI方式が有利だと数字的に出てきやすい設定になっている、これもPFIのデメリットとして指摘されています。
ですから、本当に財政負担が減っているのかは、検証が必要不可欠になるのですが、市はこの検証を行っていません。 


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