6/26 一般質問 避難所での障がい者等への取り組みについて 

地域の障がい者等の受け入れ体制について

① 障がい特性(身体、視覚、聴覚、発達等)に応じた対応は?
② 災害時にどうしてよいか分からず、避難をあきらめている障がい者や高齢者への対応は?

障がい者への新型コロナウイルス感染症対策について

① 障がい特性に合わせたソーシャルディスタンスの確保について

(防災対策課 高齢福祉介護課 障害福祉課)


避難所での障がい者等への取り組みについて 

地域の障がい者等の受け入れ体制について

◆12番(杉本啓子 議員) 
 地域の避難所に避難する障がい者の方には、例えば視覚、聴覚、言語、発達、精神、肢体不自由のある方など、様々な障害特性がある。避難所での対応も様々な障害によって変わってくると思うが、具体的にどのような障害別の配慮が行われているのか?

◎佐藤光 市長
 災害時に指定避難所において何らかの障がいがある方などが来られた場合には、受付時にその状態を申し出ていただき、できる限り配慮するように努めている。
配慮ができるスペースを確保し、そのスペースにご案内するほか、そこで過ごすことが困難な場合は、災害対策本部と連絡、調整を図り、必要な対応を検討させていただいている。
また、避難支援等関係者を対象に実施している研修会等においても、障害の特性に応じた支援のためのパンフレットを配付し、障害特性の理解促進に努めている。


◆12番(杉本啓子 議員) 
 現在、一時避難所に指定されている小・中学校の中には、体育館などに車椅子の方や足が不自由な方が利用することが厳しい施設があり、完全なバリアフリーの環境整備が整っていない状況がある。このことで、避難行動をちゅうちょする方も多く存在する。
 実際、昨年の台風19号では、こういった「災害時にどうしてよいか分からず、避難は無理」と諦めている障がい者や高齢者の方 がいた。どうしたらいいか分からないで迷っている、あるいは自分からの発信ができない障がい者、高齢者の方は取り残されてしまう可能性がある。どのような対応を考えているのか?

◎佐藤光 市長
 本市では、避難の際に支援が必要な障がい者等への対応として、地域に避難行動要支援者が支援者名簿を配付し、平常時から顔の見える関係づくりを進めていただいている。この関係づくりを日頃から行うことで、災害時に支援を必要としている障がい者や高齢者がいることを知ってもらい、避難が必要な際に、避難支援や安否確認といった共助の取組につながっている。

 令和元年台風第19号においても、地域の避難支援者等関係者の皆様のお声がけにより、支援を必要としている多くの方の避難行動に結びつけた。また、その一方で、自助の必要性として、支援を必要としている障がい者等が自ら地域とのつながりを持っておくことや、マイタイムラインの作成を通じて避難の準備をあらかじめ知っておくことなどについて、広報紙等を通じて周知している。
今後も災害等が起こった際に、障害者や高齢者が取り残されることがないよう、自助、共助、公助の取組の推進を図っていく。


◆12番(杉本啓子 議員) 
 ここ数年、市内の障がい者団体の方々が独自に防災訓練を開催し、障がい当事者やその家族たちみずからが積極的に参加し、地域の民生委員・児童委員をはじめとした地域の方々と課題の共有を図るための活動を行った。

さまざまな障害のある方への対応をもっと身近に地域の方に知っていただくことで、災害時に住民の方の協力や理解も得やすくなると考える。地域の避難訓練や防災訓練で、障がいのある方への対応を地域の方に知っていただくためにどのような取組をしているのか?

◎佐藤光 市長
 本市では平成30年度より、茅ヶ崎市障害者団体連絡会と本市の共催で、障害のある方を支援するため、障害者みずから身を守るための防災訓練を実施し、障害のある方とその家族のほか、避難支援等関係者などに参加いただき、煙体験や消火器訓練、避難所設営等を行っている。
 また、地区の防災訓練では、障がいのある方の参加や、車椅子を用いた搬送訓練等の取組をしている地区もある。障がいのある方が日頃から防災訓練をはじめとした活動に参加し、支援する側と支援される側がともに体験しておくことは、災害時における避難誘導を円滑に進めるためにも大切であると考えている。
 自助、共助の充実強化に向けて、これらの取組が障がいのある方をはじめ、地域の方々にも広がっていくよう周知に努めていく。


◆12番(杉本啓子 議員) 
 毎年、各地区や自治会で防災訓練が行われている。障がい者の方も含めた防災訓練の実施を積極的に進めていくためには、まちぢから協議会の主導する防災訓練では、障がいへの専門性や知識が少ない、障がい者の方も含めて訓練を実施する場合の窓口が分からないなど課題がある。
この点については、市の主導で積極的に進めていくことによって裾野が広がっていくと思うが、市の考えを伺う。

◎若林英俊 市民安全部長 
 障害者を含めた要配慮者の方々に防災訓練に参加いただくことで、自助、共助の取組へとつながり、地域防災力の向上につながると考えている。地区防災訓練のみならず、自治会単位で行われる訓練など、様々な訓練において相談をいただき、地域の実情に合わせた訓練内容等について、企画段階から一緒に検討させていただいている。

 このように本市職員が企画段階から関わるなか、車椅子を用いた避難搬送訓練により、障害をお持ちの方に対する避難支援に関する訓練を行っている事例や、障害をお持ちの方が訓練に参加している事例などの好事例を状況に応じて紹介することで、地域での障害特性への理解が深められ、要配慮者も含めた様々な方が訓練に参加することを促進する取組を今後も進めていきたいと考えている。




障がい者への新型コロナウイルス感染症対策について

 
◆12番(杉本啓子 議員) 
 避難所における障がい特性の配慮と同様に、ソーシャルディスタンスにおける障がい特性への配慮は、今後、感染症を前提とした市民生活を想定した場合に重要な視点となる。
避難所での新型コロナウイルス感染症対策の検討は、茅ヶ崎市でも進められているが、その中で特に「障害特性に合わせてソーシャルディスタンスを確保するための取組」について伺う。
 
◎佐藤光 市長
 支援が必要な障がい者については、新型コロナウイルス感染症に感染した場合、身体の状態により重篤化する可能性が高いことから、感染症対策に十分な配慮が必要である。
 地域での見守り活動を行っていただいている避難支援等関係者の皆様には、感染症のリスクがある中で、避難行動要支援者支援制度の取組を進めるに当たって、配慮事項をまとめたチラシを配布する予定としている。また、理解を広げていくために、避難支援者等関係者を対象に研修会を実施する際には、研修テーマに感染症対策を盛り込むことを検討している。
 避難所においては、感染症対策のため、マスクなどの衛生用品の備蓄を進めるほか、必要に応じて個別の避難スペースを確保するなど、濃厚接触を避ける取組の準備を進めている。


◆12番(杉本啓子 議員) 
 福岡県の大牟田市では、新型コロナウイルス感染防止のためや、医療従事者が対応しやすいように、段ボールベッドと間仕切りを手配し、避難者の個別スペースを確保している。
障がい特性によっても発達障がいのある方などは、間仕切りされた個別のスペースがあることで、避難所で落ちついてステイしやすくなる。そのため、仕切りとなる段ボールの備蓄が必要となるが、茅ヶ崎市は障がいのある方を避難所に受け入れるため、どのような備蓄をしているのか、あるいは予定をしているのかを伺う。
  
◎若林英俊 市民安全部長
 段ボールのベッドや間仕切りについては、これまでも大規模災害時に多くの被災地で活用されている。段ボールベッド等は、備蓄スペースの確保や、紙製品であるため、備蓄環境の確保に問題があるものの、国内生産が中心で、全国に事業者があり、工期が短く、発災直後より供給が可能というメリットがある。そのため、市では独自に市内製紙会社と段ボールベッドの供給に関する災害協定を締結し、災害時には市からの要請に基づき、供給を受けることを想定している。

 また、神奈川県においても、県内の被災市町村に災害時に段ボールベッド等を供給すべく、段ボール事業者団体と災害協定を締結するほか、NPO団体と避難所用の組立式間仕切りシステムや簡易ベッドの供給に関する協定を締結している。こうした災害協定を活用し、避難生活が長期化するような場合には、民間事業者や神奈川県と連携しながら、避難所における良好な生活環境の確保に努めていく。