3/7 総括質疑「市民ギャラリー廃止案は、白紙に戻すべき」

市が桁違いのアトリエ機能を理解できていない

◆杉本啓子 議員  
 2月12、15日に「市民ギャラリー廃止・利活用方針について」、市と利用者の意見交換会が開かれた。私も両日とも傍聴したが、多数の方が詰めかけて、市民ギャラリーの存続を希望する声が圧倒的だった。

 今日この場で回答する市長、部長は出席されていないので、報告を聞いただけかもしれないが、市民感情としてあれだけ強い怒りとか失望といったものが表に出てくる意見交換会は久々に見た。なぜこれほどの怒りが飛び交うかといえば、市民ギャラリー廃止方針に示されている市の説明に矛盾点が多いこと、それから、文化的に豊かな創作環境が破壊される、奪われることに対しての怒り、市民ギャラリーの文化的な価値を理解しようとしない市の態度への怒りだと思う。

 市長の施政方針では、文化・スポーツの振興として、「新型コロナにより、文化・スポーツ活動などの人の交流が停滞したことから、市民の皆様が文化芸術やスポーツに親しむことができる環境整備を図っていく必要がある」、また「市内に点在する文化資源の力を生かし、人が集まる文化都市としての価値向上に取り組む」と宣言している。そうでありながら市民ギャラリーの廃止を打ち出している。

 意見交換会でも指摘されていたように、市民ギャラリーはまさに施政方針そのものに該当する価値を持ち、市内だけでなく市外や外国の方も参加して交流している。なぜ施政方針と真逆のことを市が打ち出せてしまうのか、市長の施政方針と照らし合わせて、市民ギャラリーの文化的な価値を市がどう考えているのかを伺う。

◎佐藤光 市長   
 市民ギャラリーの価値観に関する質問についてお答えする。市内には旧南湖院第一病舎や開高健記念館など様々な文化資源がある。これら文化資源の力を生かし、文化都市として価値向上に戦略的に取り組んでいく。

 市民ギャラリーは、市民の皆様の発表、創作、交流ができる施設として約30年にわたり運営してきた。一方で市では、今後も将来にわたって持続可能な行財政運営を実現し、安全・安心な市民サービスを提供することを目的とし公共施設マネジメントを推進しており、施設の統合、複合化、廃止、利活用等を検討している。その中で市民ギャラリーについては廃止とし、展示、創作機能等は市民文化会館をはじめとした類似機能を有する施設に集約するという提案をした。しかしながら、現在まで利用者の皆様から様々なご意見を頂戴したことから、引き続き検討を行っている。
  

廃止方針を白紙に戻すべき

◆杉本啓子 議員  
 アトリエ機能については、市の理解不足が見受けられる。
 市民ギャラリーの創作室は幅広い分野の創作が可能で、アトリエとしての機能も持っている。
「画家だった方が中心になってつくった優れたアトリエで、東海道線沿いでこれだけのものはない」
「茅ヶ崎市が近隣に誇れる施設で、それが駅から1分の場所にある。しかも居心地のいい展示室も同じ場所にある。」
「貴重な市民の宝であって、貸し出して民間のものにするのではなく、創作室を守り維持していくことが市の仕事である。」

そういった利用者の方々の意見が示すように、市民ギャラリーの創作室と展示室は最初から桁違いの機能を持っている。この桁違いであるということを、市が理解できていないところから廃止の方針がスタートしている。

 特にアトリエ機能として桁違いなのに、非常に軽く安易に他の施設と比較している。だから、説明を市が重ねるほどに矛盾点とか、市がアトリエはどういうものか理解できていない点が数多く露呈されている状態なので、一旦方針を白紙に戻して市民ギャラリー創作室の桁違いの機能について認識して考え直すべきだと思う。市はどのように考えているのかを伺う。
  
◎村上穰介 文化生涯学習部長  
 市民ギャラリーについては、公共施設マネジメントに基づき廃止を提案させていただき、現在まで市民アンケート、利用者説明会、パブリックコメント、展示会の自由意見提案会など、様々な形で御意見を伺ってきた。

 利用者の皆様からは、特に創作室の機能面の希少性や類似機能を有する施設に関する意見をいただいた。現在の検討状況として、先日の利用者説明会において、創作機能を補完するため、市民文化会館の会議室に創作機能を付加する改修案や、市民文化会館をはじめとした類似機能を有する施設に機能を集約することについて、案内させていただいた。今後も利用者説明会でいただいた意見なども踏まえ、引き続き検討を続けていく。



市民ギャラリー 機能の高いアトリエ


「市民文化会館の会議室をアトリエに使う改修案」について

 市は、市民ギャラリーの創作室と類似機能を持つ施設があるとしているが、最初からそういったものは存在していない。

 うみかぜテラスの創作室は、アトリエとして設計していながら、油彩、油絵は使えない としています。それは、もはやアトリエではありません。

 市民文化会館の会議室をアトリエとして使うという改修案では、会議用の幅の狭い机で水彩画や水墨画など描く としてますが、幼稚園のお絵描きではあるまいし、描けるわけがありません。

 それから、会議室にカーテンだけの仕切りをつけて、そこでモデルさんに着替えをさせるとしています。「そんなことは恥ずかしくて頼めない」と、利用者の方は言っていましたがその通りです。市の常識が疑われます。

 市民ギャラリーの創作室は、最初からケタ違いの機能をもっているのです。そして、そこで長年活動しているうちに、市民の創作力は、たいへん高いレベルに成長して、文化的にも成熟しています。行政はそれに追いつけていないのか、見て見ぬふりなのか、どちらかです。

 施政方針にもある「文化都市としての価値向上」というのは、こういった成熟であり、高みを目指して行くものです。

 世界各国、文化都市にはスポーツも音楽も同時に高いレベルで存在します。市民ギャラリーの持つケタ違いの高い機能が、市民を成長させて、素晴らしい才能を持った作品が生み出され、展示されています。創作室としてのレベルを大幅に下げた改修案などでは質の高いものは育ちません。このあたりの文化への茅ヶ崎市の考え方は、本当に場当たり的としか言いようがありません。