2021年12月15日
議会の自主解散を求める請願について、本会議では各会派や議員から討論が述べられました。
杉本けいこの討論の主旨
市長の4年間の任期は確約されたものでなく、さまざまな理由により市長の辞職はあるものです。
仮に、市長の辞職が意図的な辞職である場合は、議会解散のタイミングが市長側にコントロールされる可能性も生まれます。
「市長の任期満了に伴い実施される予定の市長選挙に合わせて、議会の解散を求める」という手法、これ自体には、議会側の任期が市長側にコントロールされるリスクがあり、行政側を監視してチェックするという議会の仕事ができなくなるリスクを生じます。
このような理由から、請願には反対いたします。
討論(全文)
請願第1号は、請願の要旨として
「令和4年10月下旬から11月上旬に任期満了に伴い実施される予定の市長選挙に合わせ、茅ヶ崎市議会議員選挙を同時に行うため、市議会の自主解散を求める」としています。
10月下旬から11月上旬という時期が前提になっていますが、
「実施される予定」と予定の言葉が入っている通り、この時期は必ずしも確約されているわけではありません。
市長が任期の途中での辞職をする理由はさまざまです。病気など健康にかかわる理由、逮捕・起訴、衆員選や参院選、知事選といった国政・ 県政への転出による辞職など、何らかの事情により市長が自発的に辞職を選ぶことはあります。これは今回に限ったことでも、茅ヶ崎市に限ったことでもなく、全国的にあることです。
ですから、市長側からの辞職があれば、10月下旬より前に選挙が前倒しになる可能性もあります。それでも議会の自主解散を求めるのかどうか、そこは請願の文面からは読み取れません。
しかしながら、任期の満了前に、何らかの事情により市長が自発的に辞職を選ぶ可能性というのは常にあるものです。
今回の請願の場合、仮に市長が任期完了前に自発的に辞職を選ぶなら、
①さらに議会解散の日程が前倒しになる可能性 に加えて、
②市長側の意図的な辞職である場合は、議会解散のタイミングがコントロールされる可能性 も生まれます。
これは、二元代表制でありながら議会の任期を市長側にコントロールされるリスクであり、二元代表制を根本から崩してしまうリスクです。
今回の請願は、茅ヶ崎市の厳しい財政難のなかで、2回の選挙は財政的にも非効率という理由での請願であり、議会は行政全般についてをきちんと監視してチェックしていないではないか、という思いがあることは十分に理解いたしますが、
「市長の任期満了に伴い実施される予定の市長選挙に合わせて、議会の解散を求める」という手法、これ自体には先に申し述べたように、議会側の任期が市長側にコントロールされるリスクがあり、行政側を監視してチェックするという議会の仕事ができなくなります。
今現在、茅ヶ崎市がなぜこのような財政難におちいっているのか、その原因、要因となったものを充分に議会は議論してきたのか?というご指摘は重く受け止めますが、議会を解散し市長選挙に合わせるという手法そのものには、むしろ議会のチェック機能が働くなるリスクを同時に抱えます。
今後もこの手法が前例となった場合には、二元代表制が崩れて、議会が市長側のコントロール下に置かれてしまう取り返しがつかなくなるリスクと考えます。
さまざまな費用負担で選ばれたからこそ、4年の任期は重く、それを中途で解散するなら、前回の選挙で4年の付託をした市民からの視点で見れば、任期を果たさない解散は前回の選挙費用の損失と考える方もいるでしょう。
議会の解散は、定量的な数字や金額だけでははかれない要素、つまり民主性や二元代表制が機能することと切り離して考えることはできません。
以上の理由で、請願には反対いたしますが、
今、なぜこのような財政難におちいっているのか、その原因、要因となったものを充分に議会が議論していない、チェックしていない、仕事をしていないのではないか、というご指摘は今後も受け止めてまいります。