「知ってビックリ!ちがさき財政」現実になった財政危機 ②

(続き)

・・・という訳で、「市の財政は健全です」と言っていた茅ヶ崎市が、一転して、今度は「厳しい財政難」と繰り返しはじめたのです。

でも、なぜ厳しい財政難になったのか、どう厳しいのか、市民への説明はほとんどないまま今に至っています。 

・令和元年9月 茅ヶ崎市立病院 リバイバルロードマップ 
・令和2年3月 財政健全化緊急対策 

 まず、経営破産寸前の市立病院の立て直しのため「リバイバルロードマップ」が作成され、市税が投入されました。

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 ついで、半年後に、今度は茅ヶ崎市財政の立て直しのため「財政健全化緊急対策」が作成され、発表されました。このままでは、予算のたてようがないほど支出は膨れ上がり、深刻化していたのです。

世界的なコロナ感染が始まる

 聖域を設けずに、抜本的な見直しをする、ということで始まった「財政健全化緊急対策」ですが、その矢先に、世界的なコロナ感染が始まります。

市は、令和2年5月に「コロナ対策政策パッケージ」を作成。いったん市の事業を延期して、総合計画の実施計画の作成も2年間延期して、コロナ感染対策を優先する方向に切り替えます。

しかし、そのような状態でも「財政健全化緊急対策」は進めていかないと、財政が立ちいかなくなります。

    

過去に例がない厳しい予算編成

令和2年9月議会。
「令和3年度 予算編成方針」の説明がありました。

 コロナ感染の影響が長期化するという想定で、市税(市民税、法人税)の減少や、国からの補助金や交付金のカットなど、大幅な歳入の減少を見込んだことで、令和3年度予算は過去に例がないくらい厳しい予算編成になる、というものです。

 11月の記者発表では、予算編成の予算要求段階で81億円足りない、12月時点でも59億円足りないと発表がありました。

そして、令和3年度は、義務的経費+ウィズ・コロナ関連経費 に限定して編成する、という騒然とした予算編成となりました。
 

令和2年度決算 64億8千万円が余る

 そんななか、令和2年度の決算では、64億8千万円が余ったのです。

令和2年度決算で、64億8千万円の ※実質収支 が発生したことになります。

※実質収支 ⇒ 歳入決算総額から歳出決算総額を単純に差引いた額(形式収支)から,翌年度へ繰り越すべき財源を差し引いた額。地方公共団体の純剰余金 又は純損失金を意味する。

そして、そのうち30億円を ※財政調整基金 に積み立てました。
(令和3年度9月議会)

※財政調整基金 ⇒ 経済事情による減収、予期せぬ災害の支出など、まさかに備えるための積立金です。(この時点で、茅ヶ崎市の財政調整基金は80億円。)

財政難のなかで、30億円はインパクトのある金額です。

 現金で持っていても同じだが、財政調整基金に入れて、行方を見える化するということですが、この後、この30億円は「校舎の建て替え」などを行うための基金に移されることになります。

令和3年度決算 71億5千万円が余る

 令和2年度決算で64億8千万円が余り、さらに令和3年度決算では71億5千万円が余るということになりました。

これにはいくつかの理由があるものの、

✴️ お金がない(財政状況が厳しい)と言っておきながら、多額の剰余金が生じているのはなぜか? おかしいではないか?

という市民からの疑問に、市は説明が必要になり、市民向けの資料を作りましたがあまり読まれていないと思います。そもそも、これだけの余剰金が出てること自体が知られていないでしょう。

財政難でありながら、なぜ多額のお金が余ったのか?

 その理由として、市は以下のことを挙げています。

①コロナによるイベントや事業の中止
②市税等の減収を慎重に見込んだ
③コロナ対策の財源として、国から地方創生臨時交付金が配分された
④国庫支出金の加配(生活保護扶助費、ワクチン接種事業、子育て世帯生活支援特別給付金など) ⇨ 17億6000万円は返還する


令和2年度は64億8千万円の実質収支が発生。このうち、30億円は財政調整基金に積み立てたのは前述の通りで、23億円は繰越金として、令和3年度予算の財源となっています。

したがって、71億5千万円が余ったといっても、そのうち17億6千万円は返還、23億円は前年度からのもので、実質収支は30億7000万円、というのが市の説明です。(実質収支は、例年おおむね40億円というボリューム。)


多額のお金が余ったように見えても、経常収支比率は95%以上の推移で、身の丈以上の経常収支が茅ヶ崎財政を圧迫している、という解決には遠く及んでいないのです。
 

今まで、無駄なイベントが多すぎた

 いずれにしても、コロナ感染でのイベント中止や、事業の見送り、財政健全化緊急対策による見直しなどで、令和3年度は71億5000万円が余りました。

✴️イベント中止でこれだけ余るならば、もっと見直して市民サービスに回したらどうなのか?

そんな疑問も湧いてきます。

茅ヶ崎市の財政では、あれもこれも、補助金を出してイベントを行えるような余裕はないはずです。市民もただ漫然とした補助金はいらないと整理する必要があります。
その一方で、補助金の中には、補助金がないと施策が推進されないようなものもあります。たとえば、保存樹林などは、補助金をなくしたら、街の中の緑は無くなります。

また、余ったお金を一般財源に持っておくのでなく、見える化するために基金に入れるというなら、「緑のまちづくり基金」に配分しないのは、おかしな話です。

茅ヶ崎市は何をどうしても街中の緑を保存する気がないようですね。


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